急性炎症初期にみられないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
壊疽は組織の不可逆的な壊死と腐敗を指し、急性炎症の初期にみられる典型的な症状ではありません。急性炎症の初期には、血管の変化(血管拡張、血管透過性亢進)と細胞の遊走が主な病態であり、これによりCelsusの5徴候(発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害)が特徴的に現れます。壊疽は、炎症が重症化したり、虚血や特定の病原体感染などが引き金となって生じる組織破壊の最終的な病態です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。壊疽は、組織が虚血や感染などによって不可逆的な壊死を起こし、腐敗が進行した状態を指します。これは炎症の初期症状というよりは、炎症が重症化したり、特定の原因によって生じる組織破壊の結果として現れる病態であり、急性炎症の典型的かつ初期の兆候とは異なります。急性炎症初期には、血管拡張や透過性亢進による浮腫(腫脹)や、神経刺激による疼痛などが主に見られますが、広範囲な組織の壊死・腐敗は通常含まれません。
- 2. 急性炎症の初期には、血管透過性の亢進により血漿成分が血管外に漏出し、組織間に水分が貯留するため、浮腫(腫れ)が生じます。これは急性炎症の5徴候の一つです。正しくは:急性炎症の初期にみられる現象である。選びやすい理由:炎症の代表的な症状であるため、選択肢として注意を引く。混同注意:慢性炎症に伴う線維化や肉芽形成による組織の肥厚など、他の組織変化と混同しないように注意が必要です。
- 3. 急性炎症の初期には、炎症部位で産生されるブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミンなどの化学伝達物質が神経終末を刺激し、痛みを引き起こします。これは急性炎症の5徴候の一つです。正しくは:急性炎症の初期にみられる現象である。選びやすい理由:痛みは様々な病態でみられるため、炎症と直接結びつかないと考える可能性もあるが、炎症の主要な症状である。混同注意:虚血性疼痛や神経性疼痛など、炎症以外の原因による痛みと混同しないこと。
- 4. 急性炎症の初期には、動脈の拡張により血流量が増加するため、炎症部位の温度が上昇し、熱感を伴います。これは急性炎症の5徴候の一つです。正しくは:急性炎症の初期にみられる現象である。選びやすい理由:全身の発熱と局所の熱感を混同しやすいかもしれないが、局所的な熱感も炎症の徴候である。混同注意:全身性の発熱(全身性炎症反応)と、局所的な熱感(局所炎症反応)を混同しないこと。
- 5. 急性炎症の初期には、細動脈が拡張し血流が増加するため、炎症部位が赤く見えます。これは急性炎症の5徴候の一つです。正しくは:急性炎症の初期にみられる現象である。選びやすい理由:皮膚病変や血管腫など、炎症以外の原因による赤みと混同する可能性も考えられる。混同注意:出血斑(紫斑など)や、アレルギー反応による紅斑など、他の皮膚変化と混同しないこと。
国試ポイント
この問題は、急性炎症の基本的な徴候(Celsusの5徴候)と、それ以外の病態(壊死、壊疽など)との区別を問うものです。特に、急性炎症の初期に何が起こるかという時間軸の理解が重要です。国家試験では、炎症の病態生理学的な知識、特に初期の血管反応や細胞反応、それによって引き起こされる臨床症状について正確に理解しているかが試されます。また、他の疾患でみられる症状や病態との鑑別能力も問われます。
混同注意
壊死と壊疽の違い、急性炎症と慢性炎症の徴候の違い、感染と炎症の違い。また、炎症の5徴候(発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害)を正確に覚えているか、他の一般的な症状と混同しないように注意が必要です。特に、壊死(組織が死ぬこと)と壊疽(壊死した組織が腐敗すること)は関連しますが、壊疽はより進行した状態です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず問題が「急性炎症初期」に焦点を当てているか、あるいは「慢性炎症」や「炎症の合併症」について問われているかを確認することが重要です。また、炎症の5徴候を確実に頭に入れた上で、それぞれの徴候がどのような病態生理学的変化によって引き起こされるのか(例:発赤・熱感は血管拡張、腫脹は血管透過性亢進、疼痛は化学メディエーターによる神経刺激など)を理解しているかを確認します。さらに、選択肢に挙がっている病態が炎症の「初期」に限定されるものか、それとも「進行期」や「合併症」として現れるものかを判断する視点も必要です。
関連知識
炎症の定義、急性炎症の血管反応(一時的血管収縮、動脈拡張、毛細血管の透過性亢進)、細胞反応(白血球の辺縁付着、遊走、貪食)、炎症メディエーター(ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカインなど)の作用、慢性炎症の病理組織学的特徴(線維芽細胞の増殖、肉芽形成など)、炎症の転帰(治癒、膿瘍形成、慢性化など)。