肩関節外転90度での水平屈曲に作用する筋はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
烏口腕筋は、肩関節の屈曲および内転に寄与する筋肉です。肩関節が90度外転位にある状態で、腕を水平に体幹前方へ動かす動作は、肩関節の水平屈曲と呼ばれます。この動きにおいて、烏口腕筋はその起始(烏口突起)と停止(上腕骨内側)の関係から、効果的に腕を内側に引き寄せる働きをします。したがって、この状況下での水平屈曲の主動作筋の一つとして烏口腕筋が適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 広背筋は肩関節の内転、伸展、内旋に主に作用します。90度外転位からの水平屈曲の主動作筋ではありません。正しくは:広背筋は肩関節の内転、伸展、内旋に作用します。選びやすい理由:背部の大きな筋肉であり、肩甲骨の動きにも関与するため、一部の動きと混同しやすいかもしれません。混同注意:広背筋は主に肩関節の伸展・内転・内旋に作用し、水平屈曲とは逆の動きに関わります。
- 2. 大円筋は広背筋と同様に、肩関節の伸展、内転、内旋に作用します。90度外転位からの水平屈曲には関与しません。正しくは:大円筋は肩関節の伸展、内転、内旋に作用します。選びやすい理由:広背筋と協同して働くことが多いため、広背筋の誤解につられて選択してしまう可能性があります。混同注意:大円筋も広背筋と同様に、肩関節の伸展・内転・内旋に作用し、水平屈曲とは逆の動きに関わります。
- 3. 棘下筋は肩関節の外旋に作用する筋肉です。水平屈曲とは機能が異なります。正しくは:棘下筋は肩関節の外旋に作用します。選びやすい理由:回旋筋腱板の一つであり、肩関節の複雑な動きに関わるため、勘違いしやすいかもしれません。混同注意:棘下筋は外旋筋であり、水平屈曲とは異なる機能を持っています。
- 4. 正解。烏口腕筋は、肩関節の屈曲と内転に作用します。肩関節が90度外転位にある場合、この筋肉は腕を水平に体幹前方へ引き寄せる、すなわち水平屈曲の動きに効果的に働きます。選びやすい理由:上腕二頭筋の短頭の近くにあるため、上腕の主要な動きに関わるイメージがつきにくいかもしれませんが、肩関節屈曲の補助筋として重要です。混同注意:上腕二頭筋と混同されがちですが、烏口腕筋は独立した肩関節屈曲・内転筋です。
- 5. 肩甲挙筋は肩甲骨の挙上と下方回旋に作用する筋肉であり、肩関節の水平屈曲には直接作用しません。正しくは:肩甲挙筋は肩甲骨の挙上と下方回旋に作用します。選びやすい理由:首から肩甲骨にかけて位置するため、肩関節周辺の動きと関連しているように感じるかもしれませんが、肩甲骨の動きが主であり、上腕の動きとは直接関係が薄いです。混同注意:肩甲挙筋は肩甲骨の動きに関わる筋肉であり、上腕の動きである肩関節水平屈曲とは直接関係がありません。
国試ポイント
肩関節の複雑な運動における各筋の作用を問う問題です。特に、基本的な屈曲・伸展・内転・外転だけでなく、特定の位置(例:外転90度位)からの派生的な運動(例:水平屈曲)にどの筋が関与するかを理解しているかが重要となります。多くの学生が主要な筋の作用は覚えているものの、特定の条件下での補助的な作用や、ややマイナーな筋の作用を混同しやすいため、注意が必要です。
混同注意
大胸筋の鎖骨部も水平屈曲に作用しますが、選択肢にはありません。烏口腕筋は、上腕二頭筋の短頭と走行が類似しているため混同されやすいですが、作用は異なります。また、広背筋や大円筋といった大きな筋肉が肩関節の内転や伸展に働くため、それらの筋と水平屈曲が混同されることもあります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、他の関節(例:股関節)における特定位置からの複合的な動きの主動作筋、あるいは肩関節の別の複雑な運動(例:水平伸展、回旋運動)における主動作筋が問われる可能性があります。また、主要な筋だけでなく、補助筋や安定筋の役割も問われるかもしれません。
関連知識
肩関節の水平屈曲には、烏口腕筋の他に、大胸筋(特に鎖骨部)や三角筋前部線維も関与します。これらの筋は、共同して肩関節の安定性と運動を支えています。筋の起始・停止、走行、神経支配を正確に理解することが、その作用を推測する上で不可欠です。