脳卒中後の肩手症候群について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肩手症候群は、脳卒中後に腕や手の疼痛、腫脹、皮膚温の変化、発汗異常、運動制限などを特徴とする症候群であり、神経損傷を伴わない複合性局所疼痛症候群(CRPS)Type Iの診断基準を満たします。この分類は国際的な疼痛学会(IASP)によって確立されており、現在の医学的共通認識です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩手症候群は、運動麻痺が重度で肩関節の可動域制限や浮腫が顕著な症例に発症しやすいとされています。重症例では患肢の不動が長く、自律神経系の機能異常が生じやすいためと考えられます。正しくは:運動麻痺が重度の症例に多く見られます。選びやすい理由:麻痺が軽度だとリハビリも積極的に行いやすく、その過程で痛みを誘発するケースも考えられるため、一見すると正しいように感じるかもしれません。混同注意:他の合併症との発症機序の違いや、麻痺の重症度と疼痛の関係について混同しやすいです。
- 2. 肩手症候群の性差については明確なデータはなく、男女間に大きな発症率の差は認められないとされています。特定の要因(例えば年齢、麻痺の程度など)が性差よりも重要視されます。正しくは:性差はほとんどない、または女性が男性より約2倍発症するというデータは一般的ではありません。選びやすい理由:一般的な疾病の中には女性に多いものも存在するため、そのような知識から推測してしまいやすいです。混同注意:他の自己免疫疾患や疼痛性疾患の疫学データと混同する可能性があります。
- 3. 肩手症候群は脳卒中発症後、比較的早期(数週間~数ヶ月以内)に発症することが多く、ピークは発症後2〜3ヶ月以内とされています。6か月以降に新たに発症するケースは稀です。正しくは:脳卒中発症後、比較的早期(数週間~数ヶ月以内)に生じることが多いです。選びやすい理由:慢性期合併症の一つとして捉えられがちであり、時間的な経過を誤解しやすいです。混同注意:脳卒中後の痙縮など、時間が経過してから顕著になる他の合併症と混同しやすいです。
- 4. 肩手症候群の発症頻度は文献によって差がありますが、一般的には5~25%程度と報告されており、40%という数字は過大評価です。正しくは:発症頻度は5~25%程度とされています。選びやすい理由:特定の研究データや、重症例に限定したデータでは高頻度と報告されることもあるため、その数字と混同してしまう可能性があります。混同注意:脳卒中後の他の合併症(例:嚥下障害、高次脳機能障害など)の頻度と混同しやすいです。
- 5. 正解。肩手症候群は、特定できる神経損傷がないにも関わらず、外傷や疾患後に発症する慢性疼痛症候群であり、CRPSの診断基準でType I(反射性交感神経性ジストロフィー:RSDとも呼ばれていた)に合致するため、この分類が正しいです。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:CRPSという診断名自体が比較的専門的であるため、他の病態名と区別できれば正答できます。混同注意:CRPS Type II(主要な神経損傷がある場合)や、他の神経因性疼痛、関節周囲炎などと混同される可能性があります。
国試ポイント
脳卒中後の合併症に関する知識、特に肩手症候群(CRPS Type I)の病態と分類について問われています。発症頻度、時期、重症度との関連性、性差など、疫学的・臨床的特徴を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
脳卒中後の肩関節周囲炎、痙縮による疼痛、中枢性疼痛など、他の疼痛関連の合併症との鑑別や、CRPS Type IとType IIの違いに関する知識が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、肩手症候群の診断基準の詳細(例:ブダペスト基準の内容)、治療法(薬物療法、理学療法、神経ブロックなど)、および予後に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
複合性局所疼痛症候群(CRPS)の診断基準(ブダペスト基準)、CRPSの病態生理(自律神経系の関与、炎症反応、中枢性感作)、脳卒中後の一般的な合併症(痙縮、関節拘縮、異所性骨化、深部静脈血栓症など)。