変形性膝関節症の進行に伴う関節構成体の変化で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
変形性膝関節症が進行すると、関節内の慢性炎症により滑膜が増殖・肥厚します(公式正答1)。軟骨の摩耗により関節裂隙は狭小化し、骨嚢胞は消失せずにむしろ形成されます。軟骨下骨の変化は骨硬化(硬化像)として表現され、関節靱帯は緊張するのではなく、変形に伴って弛緩・不安定化することが多いとされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。変形性膝関節症(膝OA)が進行すると、関節内の炎症反応が持続し、滑膜炎が生じます。この慢性的な炎症により、滑膜組織は増殖して肥厚します。肥厚した滑膜は、さらに炎症性サイトカインを産生し、軟骨破壊を促進する悪循環を引き起こします。選びやすい理由:滑膜の変化は関節炎の症状と直接関連するため、疾患の進行を示す重要な指標です。混同注意:初期には炎症が主体ですが、進行すると組織の増殖が顕著になります。
- 2. 変形性膝関節症が進行すると、軟骨下骨の脆弱化や微小骨折、骨髄圧の上昇などにより、骨嚢胞(骨のう胞)が形成され、その数は増加する傾向にあります。消失することはありません。正しくは:骨嚢胞の形成または増大選びやすい理由:骨の変化に注目する点は正しいですが、その変化の方向性が誤っています。混同注意:骨棘形成と混同しやすいですが、骨嚢胞は骨内にできる空洞です。
- 3. 変形性膝関節症の軟骨下骨の変化は、エックス線上の骨硬化(硬化像)として表現されます。公式の正答は1(滑膜の肥厚)のみで、この選択肢は正答とされていません。正しくは:軟骨下骨の肥厚または硬化選びやすい理由:軟骨の摩耗に伴う骨への影響を考える点は正しいですが、骨の反応が逆です。混同注意:骨粗鬆症と混同して、骨全体が薄くなると考えるかもしれません。
- 4. 変形性膝関節症の進行により、関節軟骨が摩耗・消失するため、大腿骨と脛骨の間の関節裂隙(関節の隙間)は狭小化します。広がることはありません。正しくは:関節裂隙の狭小化選びやすい理由:関節に関わる変化であるため、関連性があるように見えます。混同注意:関節液の貯留(水がたまる)と混同して、一時的に膨隆することはありますが、レントゲン上の関節裂隙は狭くなります。
- 5. 変形性膝関節症が進行すると、関節の変形や軟骨の摩耗に伴って関節靱帯は弛緩し、関節が不安定になることが多く、靱帯が緊張するわけではありません。正しくは:関節靭帯の線維化または拘縮(あるいは一部の靭帯の弛緩による不安定性増大)選びやすい理由:関節の安定性に関する変化として、関連があるように感じられます。混同注意:外傷性の靭帯損傷と混同したり、関節の不安定性を漠然と靭帯の弛緩と結びつけたりしやすいかもしれません。変形性膝関節症では不安定性からくる二次的な変化が複雑に絡み合います。
国試ポイント
変形性膝関節症の病態生理における関節構成体ごとの具体的な変化を正確に理解しているかが問われています。特に、レントゲン画像で確認できる骨や関節裂隙の変化だけでなく、滑膜のような軟部組織の変化も重要です。
混同注意
各選択肢が示す変化は、一見すると関節疾患に関連するものに見えるため、どの変化が変形性膝関節症の『進行に伴う』特徴的な変化であるかを区別する必要があります。特に、骨棘形成や骨嚢胞形成、軟骨下骨硬化といった骨の変化と、関節裂隙の狭小化を正確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、各関節構成体(軟骨、軟骨下骨、滑膜、靭帯、関節包、半月板など)において、変形性膝関節症のどの病期でどのような変化が生じるかを具体的に問う問題が予想されます。
関連知識
変形性膝関節症のレントゲン所見(関節裂隙狭小化、骨棘形成、軟骨下骨硬化、骨嚢胞)、病理学的変化(軟骨の変性・破壊、滑膜炎)、臨床症状(疼痛、可動域制限、不安定性、軋轢音)など。