正常細胞と比較したときの悪性腫瘍細胞の特徴はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
悪性腫瘍細胞は、正常な細胞とは異なり、無秩序な増殖、浸潤、転移能を持つことが特徴です。これらの特徴は、細胞の分化度と密接に関連しており、悪性腫瘍細胞は一般的に分化の程度が低い(未分化に近い)状態を示します。これにより、元の組織の機能や形態を喪失し、異常な形態を示すことが病理組織学的に観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 悪性腫瘍細胞は、多くの場合、正常細胞よりも急速に増殖します。これは、細胞周期の制御が失われ、無制限に分裂を繰り返す性質があるためです。正しくは:細胞分裂のスピードが速い。選びやすい理由:一見すると、細胞が増えすぎると栄養が行き届かず、増殖が遅くなることもあるように思えるかもしれませんが、基本的な特徴は無制限な増殖です。混同注意:良性腫瘍の細胞増殖速度や、特定の治療によって増殖が抑制された状態と混同する可能性があります。
- 2. 正解。悪性腫瘍細胞は、元の組織の細胞としての特徴を失い、未熟な状態に戻る「脱分化」の傾向があります。分化度が低いほど、悪性度が高いと判断されることが多いです。選びやすい理由:分化度が高いと正常細胞に近い性質を持つため、悪性度が低いように感じるかもしれませんが、悪性腫瘍は分化を抑制された状態であるのが特徴です。
- 3. 悪性腫瘍細胞では、数や構造にわたる様々な染色体異常が高頻度に見られます。これは遺伝子変異の蓄積により起こり、腫瘍の発生や進行に関与します。正しくは:染色体の異常が多い。選びやすい理由:正常な細胞から発生するため、初期には染色体異常が少ないと思うかもしれませんが、悪性化の過程で多くの異常を獲得します。混同注意:正常細胞や、一部の特定の疾患における染色体異常の有無・程度と混同する可能性があります。
- 4. 悪性腫瘍細胞は、細胞周期の制御異常により、活発かつ不規則な核分裂を頻繁に繰り返します。組織検査では、核分裂像の増加が悪性度を示す指標の一つとなります。正しくは:核分裂の頻度が多い。選びやすい理由:細胞増殖が活発であることは理解できても、核分裂そのものに意識がいかないと誤りやすいかもしれません。混同注意:細胞周期の特定の段階や、休止期の細胞と混同する可能性があります。
- 5. 悪性腫瘍細胞では、核が大きく肥大化し、細胞質が減少する傾向があるため、核と細胞質の比率(N/C比)は正常細胞よりも大きくなるのが特徴です。正しくは:核と細胞質の比率(N/C比)が大きい。選びやすい理由:細胞が全体的に小さい場合もあるため、N/C比が小さいと誤解するかもしれませんが、核の相対的な肥大が特徴です。混同注意:正常な未分化細胞や、良性腫瘍の細胞と混同する可能性があります。
国試ポイント
悪性腫瘍細胞の基本的な生物学的特性と、正常細胞との違いについて問われる問題です。特に、増殖速度、分化度、染色体異常、核分裂頻度、N/C比などの形態学的・機能的特徴が頻出論点です。選択肢の知識を正確に理解し、正常細胞の特徴と比較して考えることが求められます。
混同注意
良性腫瘍細胞と悪性腫瘍細胞の特徴、あるいは正常な未分化細胞と腫瘍細胞の区別。また、悪性腫瘍であっても、分化度が高い(高分化型)腫瘍も存在するため、一概に「全て分化度が低い」とは言い切れない場合もありますが、一般論としては「分化度が低い」が特徴とされます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、悪性腫瘍細胞の「異型性」や「増殖能」に焦点を当てた記述が選択肢に含まれていないか、また、細胞の機能的な異常(例:アポトーシス抵抗性、血管新生)に関する記述がないかを確認すると良いでしょう。
関連知識
細胞周期、アポトーシス、遺伝子変異、浸潤・転移メカニズム、癌抑制遺伝子、癌遺伝子、病理組織診断における悪性度分類(Gleason scoreなど)。