患者の股関節部エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。大腿骨および下腿骨に骨折はなく、膝関節の変形や可動域制限はない。右大腿長44.0 cm、両側の下腿長35.5 cm、右下肢の棘果長83.0 cmであった。 左下肢の肢長検査で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図の股関節部エックス線写真から、左股関節に先天性股関節脱臼の亜脱臼が示唆されます。具体的には、左大腿骨頭が臼蓋に対し上方に変位しており、この状態では大腿骨の見かけ上の長さ、および下肢全体の長さが短縮します。右大腿長が44.0 cm、両側の下腿長が35.5 cm、右下肢の棘果長が83.0 cmという情報が与えられています。左股関節の亜脱臼による短縮を考慮すると、左大腿長は右よりも短くなると予測されます。例えば、2.0 cmの短縮を仮定すると、左大腿長は42.0 cmとなります。この場合、左下肢の棘果長(上前腸骨棘から内果までの距離)は、左大腿長と左下腿長の合計に、股関節の変形による骨盤の傾斜や大腿骨頭の上方移動による影響を加味して判断する必要があります。選択肢1では、81.0 cmと79.5 cmという値が提示されています。これは、左大腿長が42.0 cm(右と比較して2.0 cm短縮)と左下肢棘果長が79.5 cm(右と比較して3.5 cm短縮)を示唆しており、左股関節の亜脱臼に伴う短縮所見と最も整合性が高いと考えられます。他の選択肢は、短縮の度合いが不適切であったり、大腿骨長が延長を示唆するなど、画像の所見と矛盾する内容が含まれています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。設問の画像から、左股関節に先天性股関節脱臼の亜脱臼が示唆されます。そのため、左大腿骨頭が臼蓋から上方へ変位しており、左大腿骨長が右と比較して短縮していると考えられます。大腿長は右が44.0 cmなので、短縮を考慮すると左は42.0 cmとなる。左下肢の棘果長は、左大腿長42.0 cm + 左下腿長35.5 cm = 77.5 cmとなる。また、画像から左股関節の脱臼により、骨盤の左側が挙上していると判断でき、そのため左上前腸骨棘から内果までの距離(棘果長)は、右下肢の83.0 cmより短縮します。一方で、計測された左大腿長(42.0 cm)と左下腿長(35.5 cm)を合計した値(77.5 cm)よりも、実際の上前腸骨棘から内果までの距離は、股関節の変形によってさらに短縮することがあります。この選択肢では、股関節の異常による短縮が反映された棘果長が79.5cmと提示されており、これは骨の長さの合計77.5cmに比べやや長く、骨盤の傾斜が原因で棘果長が短縮した値であると考えられる。しかし、この選択肢の組み合わせで、左大腿長42.0 cmと左下肢棘果長79.5 cmは、画像所見と整合する。この問題の選択肢は二つの値(例: 左大腿長と左下肢棘果長)を示しているため、画像所見から予測される左大腿長の短縮と、それによって生じる左下肢棘果長の短縮の組み合わせを判断する必要がある。画像から、左股関節の亜脱臼により大腿骨頭が上方へ偏位しているため、左大腿骨長は右の44.0cmよりも短いと推定される。具体的な短縮度合いは画像によって判断されるが、一般的に先天性股関節脱臼では大腿骨が短縮することが知られている。よって、左大腿長が81.0cmと79.5cmの組み合わせが最も妥当なものとなる。これは、左大腿長が約42.0cm、左下肢棘果長が約79.5cmという値を示唆する。左大腿長が右よりも2.0cm短い42.0cm、左下肢の棘果長が右よりも3.5cm短い79.5cmは、左股関節脱臼の亜脱臼所見と合致する。選びやすい理由:他の選択肢も短縮を示唆するが、画像から判断される短縮の程度が選択肢1と最も合致する。混同注意:左下肢の棘果長は、股関節の脱臼により骨盤の傾斜や大腿骨の短縮によっても変動するため、単純な大腿長と下腿長の合計だけでは判断できない場合がある。
- 2. 左大腿長が81.0cmである場合、左下肢棘果長が78.5cmであると、画像所見から予測される短縮の度合いと整合しない可能性がある。特に、棘果長は骨盤の傾斜も反映するため、この組み合わせは不適切。正しくは:左大腿長、左下肢棘果長ともに画像所見と合致するように修正する必要がある。選びやすい理由:短縮を示唆する値ではあるが、その度合いが画像の所見と完全に一致しない可能性がある。混同注意:左大腿長と左下肢棘果長の具体的な短縮度合いの判断が難しい。
- 3. 左大腿長が81.0cmである場合、左下肢棘果長が77.5cmであると、画像所見から予測される短縮の度合いと整合しない可能性がある。特に棘果長は骨盤の傾斜も反映するため、この組み合わせは不適切。正しくは:左大腿長、左下肢棘果長ともに画像所見と合致するように修正する必要がある。選びやすい理由:短縮を示唆する値ではあるが、その度合いが画像の所見と完全に一致しない可能性がある。混同注意:左大腿長と左下肢棘果長の具体的な短縮度合いの判断が難しい。
- 4. 左大腿長が83.0cmであることは、右大腿長が44.0cmであり、画像から左股関節に亜脱臼が示唆されることを考慮すると、短縮ではなく延長を示唆しており、画像の所見と矛盾する。また、左下肢棘果長が79.5cmであるとすると、右の棘果長83.0cmよりも短縮していることになるため、左大腿長83.0cmとは整合しない。正しくは:左大腿長は右と比較して短縮しているはずであるため、83.0cmは不適切。選びやすい理由:棘果長の値自体は短縮を示唆しているが、左大腿長の値が画像の所見と矛盾する。混同注意:大腿骨長の計測値と棘果長の計測値のどちらに重点を置くかによって判断が異なる可能性がある。
- 5. 左大腿長が83.0cmであることは、右大腿長が44.0cmであり、画像から左股関節に亜脱臼が示唆されることを考慮すると、短縮ではなく延長を示唆しており、画像の所見と矛盾する。また、左下肢棘果長が77.5cmであるとすると、右の棘果長83.0cmよりも短縮していることになるため、左大腿長83.0cmとは整合しない。正しくは:左大腿長は右と比較して短縮しているはずであるため、83.0cmは不適切。選びやすい理由:棘果長の値自体は短縮を示唆しているが、左大腿長の値が画像の所見と矛盾する。混同注意:大腿骨長の計測値と棘果長の計測値のどちらに重点を置くかによって判断が異なる可能性がある。
国試ポイント
本問題は、画像所見(股関節X線写真)から診断名を推測し、その疾患に典型的な身体計測結果(肢長検査)を正確に判断する能力を問うものです。先天性股関節脱臼における肢長の変化、特に大腿骨の見かけ上の短縮と、それによって生じる棘果長の変化を理解しているかが重要となります。また、単に骨の長さを合計するだけでなく、関節の変形や骨盤の傾斜が計測値に与える影響を考慮する必要があります。
混同注意
股関節疾患における肢長計測のポイントを正確に把握していないと、見かけ上の短縮と真の骨長の短縮を混同したり、骨盤の傾斜による影響を考慮できないと誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。特に棘果長は、股関節の脱臼だけでなく、骨盤の傾斜によっても大きく影響を受けるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
画像の読み取りと肢長計測の関係について、さらに複雑な症例や、複数の疾患が合併している場合の肢長変化を判断できるか。また、これらの計測結果に基づいてどのような理学療法介入が適切か。
関連知識
先天性股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭すべり症などの股関節疾患における肢長計測の意義と方法(大腿長、下腿長、棘果長、臍果長など)。これらの疾患において、患肢の短縮がどのように生じるか(真の短縮、見かけ上の短縮、骨盤の傾斜など)を理解しておくことが重要です。