図に示す排痰体位に対応する肺区域で正しいのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
下図の体位は、腹臥位で頭側が低くなるようにベッドが傾斜している状態を示しています。この姿勢は、重力により肺の後下部に位置する区域の分泌物を排出するために用いられます。選択肢の中で、上-下葉区(S⁶)と後肺底区(S¹⁰)は、この体位で効率的に排痰が促される区域です。S⁶は下葉に属しながらも比較的上部に位置し、腹臥位で頭側が低い体位が有効です。S¹⁰は下葉の最も後下方に位置するため、腹臥位で頭側を低くする体位が最も効果的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺尖区(S¹)の排痰には、座位で前屈する体位が一般的です。下図の体位はこれに該当しません。正しくは:この体位では肺尖区(S¹)の排痰は困難です。選びやすい理由:上葉に位置する区域であるため、勘違いしやすいかもしれません。混同注意:他の上葉区域と混同されることがあります。
- 2. 後上葉区(S²)の排痰には、座位で前傾または腹臥位で枕を置く体位が用いられますが、下図の体位とは異なります。正しくは:この体位は後上葉区(S²)の排痰体位ではありません。選びやすい理由:上葉の区域の一つであるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、体位が異なります。混同注意:上葉の他の区域の排痰体位と混同することがあります。
- 3. 正解。下図の体位は、患者が腹臥位でベッドが傾斜しており、上半身が低くなるような姿勢を示しています。これは、上-下葉区(S⁶)からの排痰を促進するための典型的な体位です。正しくは:この体位は上-下葉区(S⁶)の排痰を効果的に行います。混同注意:他の下葉区域の体位と混同されることは少ないですが、S⁶が下葉の中で例外的に上方に位置するため、体位のイメージがつきにくい場合があります。
- 4. 前肺底区(S⁸)の排痰には、背臥位で足元を挙上する体位が一般的です。下図の腹臥位の体位とは異なります。正しくは:この体位は前肺底区(S⁸)の排痰には適していません。選びやすい理由:下葉の区域であるため、足元挙上という共通点から選択肢に入りやすいですが、臥位が異なります。混同注意:他の下葉区域、特に前方の区域と混同されることがあります。
- 5. 正解。下図の体位は腹臥位で足側を挙上している姿勢を示しており、これは後肺底区(S¹⁰)からの排痰を促すために用いられる体位と一致します。この体位では、重力によって分泌物が気管支に向かって流れやすくなります。正しくは:この体位は後肺底区(S¹⁰)の排痰を効果的に促します。混同注意:他の肺底区域の体位と混同されることがありますが、腹臥位であることがポイントです。
国試ポイント
排痰体位は、肺の各区域の解剖学的位置と重力の関係を理解しているかが問われる頻出テーマです。特に下葉の区域は体位による違いを把握しておく必要があります。
混同注意
前肺底区(S⁸)と後肺底区(S¹⁰)の排痰体位は、どちらも足側挙上が基本ですが、臥位(仰臥位か腹臥位か)が異なるため、混同しやすいです。また、上-下葉区(S⁶)は下葉に属しながらも他の肺底区域とは異なる体位が推奨されるため、注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
個々の肺区域の排痰体位を記憶するだけでなく、なぜその体位が有効なのか、重力と分泌物の流れをイメージできることが重要です。また、具体的な患者の症例に対して、どの区域の排痰をターゲットにするかを判断する能力も求められます。
関連知識
排痰体位は、体位ドレナージの基本的な手技であり、各肺区域の解剖学的知識が不可欠です。パーカッションやバイブレーションなどの徒手療法と併用されることが多く、呼吸理学療法の重要な要素の一つです。また、患者の全身状態(心疾患、頭蓋内圧亢進など)によっては禁忌となる体位もあるため、臨床での適用には十分な注意が必要です。