交感神経および副交感神経の両方の刺激で促進されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
唾液腺分泌は、交感神経と副交感神経の両方の刺激によって促進される代表的な例です。交感神経は少ないが粘り気のある唾液(粘液性唾液)の分泌を促し、副交感神経は多量のサラサラした唾液(漿液性唾液)の分泌を促します。このように分泌される唾液の質や量は異なりますが、どちらの刺激も「促進」という点で共通しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 発汗は基本的に交感神経の刺激によって促進されますが、その伝達物質はアセチルコリン(副交感神経の伝達物質と同じ)です。副交感神経が直接的に発汗を促進することはありません。正しくは:発汗は主に交感神経の刺激によって促進されます。選びやすい理由:発汗時の伝達物質がアセチルコリンであるため、副交感神経の関与を連想しがちです。混同注意:交感神経によるコリン作動性神経支配と、副交感神経による神経支配を混同しやすいです。
- 2. 心拍数は交感神経の刺激で促進(増加)し、副交感神経の刺激で抑制(減少)されます。両方の刺激で促進されるわけではありません。正しくは:心拍数は交感神経の刺激で増加し、副交感神経の刺激で減少します。選びやすい理由:自律神経による調節が強く、拮抗作用が働くため、両方の作用を想像しやすいかもしれません。混同注意:交感神経と副交感神経の拮抗的な作用を、相乗的な作用と誤解しやすいです。
- 3. 胃の蠕動運動は、副交感神経の刺激によって促進され、交感神経の刺激によって抑制されます。両方の刺激で促進されるわけではありません。正しくは:胃の蠕動運動は、副交感神経の刺激で促進され、交感神経の刺激で抑制されます。選びやすい理由:消化器系の活動は副交感神経が優位ですが、自律神経の関与は明白なので、選択肢として目を引きやすいです。混同注意:心拍数と同様に、自律神経の拮抗作用を混同する可能性があります。
- 4. 正解。唾液腺の分泌は、交感神経の刺激によって粘稠度の高い唾液が、副交感神経の刺激によって漿液性の唾液がそれぞれ促進されます。質は異なりますが、どちらの神経も分泌を促進する作用があります。正しくは:唾液腺分泌は、交感神経と副交感神経の両方によって促進されます。交感神経は粘稠度の高い唾液、副交感神経は漿液性の唾液を分泌促進します。選びやすい理由:多くの器官では交感神経と副交感神経が拮抗的に作用するため、この例外的なケースが盲点になりやすいです。混同注意:両神経の作用が拮抗的であるという一般的な原則と、唾液腺の協調的な作用を混同しやすいです。
- 5. 立毛筋の収縮は、交感神経の刺激によってのみ促進されます。副交感神経は立毛筋にほとんど作用しません。正しくは:立毛筋の収縮は、主に交感神経の刺激によって促進されます。選びやすい理由:寒冷時などの生体反応として、自律神経の関与を想像しやすいです。混同注意:交感神経単独の作用と、両神経の作用を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、自律神経系(交感神経と副交感神経)が各臓器に及ぼす影響について、基本的な知識だけでなく、例外的な協調作用を持つケースを理解しているかを問うものです。特に、多くの臓器で拮抗的に作用するのに対し、唾液腺のように両方の神経が促進的に作用する例外がある点を正確に覚えているかが重要です。それぞれの神経が分泌する唾液の質の違いまで理解していると、より応用的な問題にも対応できます。
混同注意
一般的な自律神経の拮抗作用(例えば心拍数や消化管運動)と、唾液腺のように両神経が「促進」する協調作用を混同しやすい。また、発汗の伝達物質がアセチルコリンであるため、副交感神経の作用と誤解する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、各臓器における交感神経と副交感神経の作用について、特に『促進』と『抑制』の区別、そして唾液腺のような『両方促進』の例外を正しく判別できるかを確認します。また、分泌される物質の質的な違い(例:唾液の粘稠度)まで問われる可能性があります。
関連知識
自律神経系の作用、交感神経のコリン作動性線維(例:発汗)、唾液腺の種類と分泌される唾液の性状(漿液腺、粘液腺、混合腺)、各臓器に対する自律神経の二重支配とその作用。