CRPS typeⅠに分類されるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
複合性局所疼痛症候群(CRPS)タイプIは、外傷や手術、脳卒中、心筋梗塞などの出来事を契機に、特定の神経損傷がないにもかかわらず、その領域を超えて広がる痛み、感覚異常、血管運動症状(皮膚温や色調の変化)、発汗異常、浮腫、運動制限などの症状を示す慢性疼痛症候群です。選択肢3の肩手症候群は脳卒中後などに起こりうるCRPSタイプIの典型例であり、選択肢4のズデック骨萎縮は外傷後に発生するCRPSタイプIの古い呼称またはその特徴的な症状の一つです。これらはいずれもCRPSタイプIに分類されます。一方、選択肢1の幻肢痛や選択肢2の視床痛、選択肢5の帯状疱疹後神経痛は、それぞれ神経切断、中枢神経病変、ウイルス性神経炎という特定の原因による神経障害性疼痛であり、CRPSタイプIの定義とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 幻肢痛は、四肢の喪失後に感じる痛みであり、中枢神経系の再編成や末梢神経の活動異常が関与すると考えられる神経障害性疼痛の一種ですが、CRPSタイプIの診断基準には合致しません。CRPSタイプIは、特定の神経損傷がない状態で、外傷や疾病後に生じる慢性疼痛症候群です。正しくは:この選択肢はCRPSタイプIには分類されません。幻肢痛は、神経障害性疼痛の別の分類に属します。選びやすい理由:痛みの発現機序に交感神経の関与が示唆される場合もあり、自律神経系の症状を伴うCRPSと混同する可能性があります。混同注意:CRPS(特にタイプII)や、他の神経障害性疼痛(例:帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害)と混同されがちです。幻肢痛は特異的な病態です。
- 2. 視床痛は、脳の視床に生じた病変(例:脳卒中、腫瘍)が原因で発生する中枢性神経障害性疼痛です。これは末梢の外傷や手術後に発症するCRPSタイプIの病態とは明確に異なります。正しくは:この選択肢はCRPSタイプIには分類されません。視床痛は、中枢神経系病変に起因する痛みに属します。選びやすい理由:難治性の強い痛みである点でCRPSと共通しますが、原因部位が末梢か中枢かで大きく異なります。混同注意:CRPSと誤解されることは少ないですが、他の神経障害性疼痛(特に末梢性神経障害性疼痛)との鑑別が重要です。
- 3. 正解。肩手症候群は、脳卒中や心筋梗塞、外傷などを契機に、肩、上肢、手の広範囲にわたって痛み、腫脹、皮膚温の変化、発汗異常、運動制限などが生じる病態です。これはCRPSタイプIの典型的な例であり、特定の神経損傷を伴わない広範な疼痛症候群として認識されています。
- 4. 正解。ズデック骨萎縮(Sudeck骨萎縮)は、外傷後に発生する骨の萎縮を伴う病態で、CRPSタイプIの古い名称または主要な症状の一つとして知られています。痛み、浮腫、皮膚の萎縮や変色、骨密度低下などが特徴であり、CRPSタイプIの診断基準と一致します。
- 5. 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹ウイルスによる神経損傷後に持続する神経障害性疼痛です。これは特定のウイルスによる神経炎によって生じるものであり、CRPSタイプIのように特定の神経損傷がない状態で発症するものではありません。ウイルスによる明確な神経病変が存在するため、CRPSタイプII(主要な神経損傷を伴う場合)と混同されることはありますが、CRPSタイプIではありません。正しくは:この選択肢はCRPSタイプIには分類されません。帯状疱疹後神経痛は、明確な神経損傷に起因する神経障害性疼痛です。選びやすい理由:難治性の痛みであり、一部に自律神経症状を伴うことがあるため、CRPSと似た側面があると感じるかもしれません。混同注意:CRPSタイプII(主要な神経損傷を伴うもの)と混同されやすいですが、病因がウイルス性神経炎と明確である点で区別されます。また、他の神経障害性疼痛全般と混同される可能性もあります。
国試ポイント
本問題は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)のタイプIに分類される疾患や病態を正確に識別できるかを問うものです。CRPSの概念、特にタイプIとタイプIIの違い、そしてそれぞれの代表的な例を理解していることが重要です。特定の神経損傷の有無が鑑別のポイントとなります。
混同注意
CRPSタイプIとCRPSタイプII(主要な神経損傷を伴うもの)、および他の神経障害性疼痛(幻肢痛、視床痛、帯状疱疹後神経痛など)との鑑別が非常に重要です。特に痛みの性質や原因が類似しているように見える場合があり、混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず「CRPSタイプI」の定義(特定の神経損傷がないこと、外傷や疾病を契機とすること)を思い出す。次に各選択肢が「特定の神経損傷を伴う病態」か否かを判断し、CRPSタイプIの特徴的な症状(広範な痛み、自律神経症状、浮腫、栄養性変化など)を持つものを選び出す。
関連知識
CRPSは、急性期には疼痛、浮腫、紅潮などが優位に現れ、慢性期になると皮膚の萎縮、関節拘縮、骨萎縮などの栄養性変化が進行することがあります。治療には、薬物療法(神経障害性疼痛治療薬、交感神経ブロックなど)、理学療法(運動療法、温熱・寒冷療法、感覚再教育など)、作業療法、精神科的アプローチなど、多角的な介入が必要です。CRPSタイプIの診断には、国際疼痛学会(IASP)による診断基準が用いられます。