短下肢装具の足継手機能のうち背屈補助が適応となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下垂足は、足関節の背屈筋群(特に前脛骨筋)の麻痺や筋力低下により、足関節を背屈位に保持することが困難な病態です。歩行時に足尖が地面に引っかかりやすくなり、転倒のリスクが高まります。短下肢装具の足継手における背屈補助機能は、スプリングやゴムなどの力で足部を背屈方向にアシストし、足尖のクリアランスを確保することで、安全な歩行をサポートします。
選択肢ごとの解説
- 1. 足関節捻挫は、主に靭帯損傷による足関節の不安定性や疼痛が問題となります。背屈補助は通常適用されず、固定や安定化が優先されます。正しくは:足関節捻挫の急性期には、足関節の安静・固定(RICE処置)や、慢性期にはサポーターによる安定化が適応されます。選びやすい理由:足関節の疾患であるため、装具適応を連想しやすいかもしれませんが、背屈補助が直接的な治療目標ではありません。混同注意:足関節の動揺性に対する装具全般と混同する可能性があります。背屈補助は特定の筋力低下に対する機能です。
- 2. 外反扁平足は、足部のアーチが低下し、踵が外反する変形です。これは足部のアライメント不良が主であり、背屈補助は根本的な解決になりません。内側縦アーチの支持や踵部の安定化が必要です。正しくは:外反扁平足には、アーチサポートや内側ウェッジ付きのインソール、あるいは足底板が一般的に用いられます。選びやすい理由:足部の変形に対する装具治療の一種ですが、背屈補助はアライメント矯正とは目的が異なります。混同注意:足部の変形に対する装具全般と混同しがちですが、背屈補助はあくまで足関節の運動方向に対する補助機能です。
- 3. 正解。下垂足は、足関節の背屈筋(主に前脛骨筋)の麻痺や筋力低下により、足部を背屈位に保つことが困難な状態です。歩行時に足が地面に引っかかりやすくなるため、短下肢装具の背屈補助機能によって、足部を強制的に背屈位または中間位に保持し、クリアランスを確保することで歩行を安定させます。選びやすい理由:下垂足と膝折れは、どちらも歩行時の問題を引き起こすため、混同しやすい可能性があります。
- 4. 膝折れは、主に膝関節の伸展筋(大腿四頭筋)の筋力低下や痙性、不安定性によって、立脚相で膝が屈曲してしまう現象です。この問題に対しては、短下肢装具の足継手による背屈補助ではなく、膝関節の安定化を図るような装具(例:グラウンドリアクション型短下肢装具)が適応されます。正しくは:膝折れに対しては、膝関節の過度な屈曲を防ぐための膝継手を持つ長下肢装具や、膝関節伸展モーメントを発生させるグラウンドリアクション型短下肢装具などが検討されます。選びやすい理由:短下肢装具が適応される可能性のある病態ですが、背屈補助ではなく、別の機能を持つ装具が求められます。混同注意:下垂足と膝折れは、どちらも歩行時の機能障害ですが、原因筋と装具の目的が異なります。下垂足は足関節の背屈筋、膝折れは膝関節の伸展筋が主に関与します。
- 5. 踵足は、足関節が常に背屈位に固定され、尖足とは逆に底屈が困難な状態を指します。この状態では、すでに足関節が背屈位にあるため、背屈補助機能は必要ありません。むしろ底屈制限や、場合によっては底屈方向への補助が必要となることがあります。正しくは:踵足に対しては、足関節の底屈可動域の改善や、底屈補助が必要となる場合があります。選びやすい理由:足部の変形や足関節の機能障害であるため、装具を連想しやすいかもしれませんが、背屈補助とは目的が逆になります。混同注意:尖足(足関節が底屈位で固定される状態)と混同しやすいですが、両者は真逆の状態です。背屈補助は尖足の改善には役立ちますが、踵足には不適です。
国試ポイント
本問は、短下肢装具の足継手機能、特に背屈補助の具体的な適応病態を問う問題です。装具の機能とそれが必要とされる疾患・症状との結びつきを理解しているかが重要となります。理学療法士として、患者の症状に合わせて適切な装具を選択できる基礎知識が求められます。
混同注意
下垂足と膝折れはどちらも歩行時の問題を引き起こし、装具の適応となることがあるため混同しやすいですが、原因となる筋群と装具の目的が異なります。また、踵足と尖足のように、似たような名称で対極的な病態を示すものも混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題される場合は、他の足継手機能(例:底屈制限、背屈制限、自由継手など)の適応病態や、それらの機能を果たすための装具の具体的な構造(例:プラスチック製装具での足部の角度調整など)について問われる可能性があります。また、長下肢装具や体幹装具など、他の装具の適応についても理解を深めておく必要があります。
関連知識
短下肢装具の足継手機能には、背屈補助の他に、底屈補助、背屈制限、底屈制限、遊動性(自由継手)などがあります。それぞれの機能がどのような病態に適応されるか(例:尖足に対する背屈補助や底屈制限、膝折れに対する背屈制限など)を理解することが重要です。