頭頸部の屈曲と伸展の両方に作用する筋はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
胸鎖乳突筋は、両側収縮で頸部の屈曲に作用し、単独では対側回旋と側屈に作用します。また、その付着部と走行から、特に頭部が前方にある状態から、上部頸椎の伸展、すなわち頭頸部の伸展にも関与する多機能な筋です。他の選択肢の筋は、主に屈曲のみ(前斜角筋、前頭直筋)または伸展のみ(頭板状筋、脊柱起立筋)に作用します。
選択肢ごとの解説
- 1. 前斜角筋は主に頸部の側屈と回旋、そして吸気時に作用します。頭頸部の屈曲には関与しますが、伸展には関与しません。正しくは:前斜角筋は主に頸部の側屈と回旋に作用します。選びやすい理由:頸部に位置し、屈曲に関与するため、両方の動きに関与すると誤解しやすいです。混同注意:他の頸部深層筋群の機能と混同しやすいです。
- 2. 前頭直筋は主に頭部の屈曲に作用します。伸展には関与しません。正しくは:前頭直筋は主に頭部の屈曲に作用します。選びやすい理由:頭部の屈曲筋であるため、伸展にも関与すると誤解しやすいですが、その作用は限られています。混同注意:他の頭部屈曲筋群(例:外側頭直筋)の作用と混同しやすいです。
- 3. 頭板状筋は主に頭頸部の伸展、側屈、同側への回旋に作用します。屈曲には関与しません。正しくは:頭板状筋は主に頭頸部の伸展、側屈、同側回旋に作用します。選びやすい理由:頭頸部に広く位置するため、様々な動きに関与すると考えやすいですが、主な作用は伸展です。混同注意:僧帽筋や他の頸部伸展筋群の機能と混同しやすいです。
- 4. 正解。胸鎖乳突筋は、両側が同時に収縮すると頭頸部の屈曲に作用し、片側が収縮すると頭頸部の側屈と対側への回旋に作用します。また、収縮の仕方によっては頭部をやや伸展させる作用も持ちます(特に下顎を固定して顔を上に向ける動き)。そのため、頭頸部の屈曲と伸展の両方の動きに関与します。選びやすい理由:主に屈曲筋として知られていますが、その複雑な走行と付着部から伸展作用も持ちます。混同注意:深層の頸部屈曲筋や、他の頸部回旋筋との作用の違いで迷うことがあります。
- 5. 脊柱起立筋は脊柱全体(頸部、胸部、腰部)の伸展に主要な役割を果たします。頭頸部の伸展には関与しますが、屈曲には関与しません。正しくは:脊柱起立筋は主に脊柱の伸展に作用します。選びやすい理由:広範囲にわたる背部の筋肉であるため、様々な動きに関与すると誤解しやすいです。混同注意:広背筋や僧帽筋など、他の広範な背部筋肉の機能と混同しやすいです。
国試ポイント
筋の作用に関する問題は、単一の動きだけでなく、拮抗する動きや複数の動きに関与する筋を問う形で出題されることがあります。特に、胸鎖乳突筋のように多関節にまたがり、収縮様式や体位によって作用が変化する筋の理解が問われます。この問題は、基本的な筋の解剖学と生理学の知識を応用して、複雑な共同運動を理解しているかを評価するものです。
混同注意
胸鎖乳突筋は、その主要な作用が屈曲と側屈・回旋であるため、伸展作用があることが見落とされがちです。特に、頭板状筋や脊柱起立筋のような主要な伸展筋との区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、単一の動作に特化した筋だけでなく、複数の動作(例:屈曲と伸展、内転と外転)に関与する筋、特にその作用が状況によって変化する筋(例:三角筋の中部線維が外転、前後部線維が屈曲・伸展に関与するなど)に注目して学習することが重要です。また、片側収縮と両側収縮での作用の違いもポイントとなります。
関連知識
胸鎖乳突筋は、深頸筋膜に包まれ、その走行により、呼吸補助筋としても機能します。また、乳様突起への付着のため、胸郭固定による頭部運動の安定化にも寄与します。頸部の安定性と運動機能において非常に重要な筋肉であり、その支配神経は副神経(第XI脳神経)です。