NICUに入院中の低出生体重児。在胎週数30週。腹臥位での姿勢を図に示す。この児に対する適切なポジショニングはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
未熟児のポジショニングでは、生理的な屈曲位を促し、発達をサポートすることが重要です。肩甲帯を前方に突出させることで上肢の安定性が向上し、手の口への到達を助けます。また、股関節の内外転中間位は股関節の安定性を保ち、脱臼リスクを軽減します。頭部伸展位や体幹伸展位、肩関節外転位は、それぞれ気道狭窄、異常な筋緊張の発達、呼吸運動の制限などを引き起こす可能性があるため不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 未熟児の場合、頭部伸展位は気道狭窄のリスクを高め、呼吸を阻害する可能性があります。また、病的姿勢パターンを助長することにもつながります。正しくは:頭部は中間位または軽度屈曲位に保ち、顎が胸に近づくようにします。これは気道確保と安定した呼吸パターンに寄与します。選びやすい理由:成人のポジショニングでは頭部伸展位が用いられる場合があるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:成人の気道確保のためのポジショニングと混同する可能性があります。
- 2. 未熟児は生理的屈曲位が自然であり、体幹伸展位は不自然な姿勢であり、筋緊張の異常な発達を促す可能性があります。また、呼吸筋の効率的な動きを阻害することもあります。正しくは:体幹は穏やかな屈曲位を保ち、丸みを帯びたC字型に近づけることが望ましいです。これにより、より安定した姿勢と呼吸の効率化が図れます。選びやすい理由:一見すると安定しているように見えるかもしれませんが、未熟児の生理的特性には合いません。混同注意:成人の安楽な姿勢や、一部の疾患における体幹伸展位の必要性と混同する可能性があります。
- 3. 正解。未熟児は出生後、屈筋の優位性が未発達で、肩甲帯が後退しやすいため、肩甲帯を前方に突出させるポジショニングは、上肢の安定性を高め、上肢機能の発達を促進します。これにより、手の口への接近が容易になり、自己組織化行動をサポートします。選びやすい理由:通常の成人ケアではあまり意識されないポジショニングですが、未熟児特有の姿勢発達を考慮すると重要です。混同注意:成人の肩甲骨の理想的な位置(下方回旋・内転位)と混同することがあるかもしれません。
- 4. 未熟児の肩関節外転位は、胸郭の拡張を妨げ、呼吸運動を制限する可能性があります。また、上肢の異常な伸展パターンを助長することにもつながります。正しくは:肩関節は軽度屈曲・内転位に保ち、腕が体幹の近くにある状態が望ましいです。これにより、胸郭の自由な動きが確保され、手の口への誘導も容易になります。選びやすい理由:広々と手足を動かせるように見えるため、良いポジショニングだと誤解しやすいかもしれません。混同注意:拘縮予防のための広い関節可動域の確保と混同する可能性がありますが、未熟児の生理的屈曲位を重視する必要があります。
- 5. 正解。未熟児において、股関節の内外転中間位は、股関節脱臼のリスクを軽減し、骨盤と下肢の安定性を高めます。極端な内外転は股関節に負担をかけるため、この中間位が最も生理的で、適切な発達を促します。選びやすい理由:特別なテクニックを必要としないため、見過ごされがちですが、股関節の安定性維持には非常に重要です。混同注意:股関節屈曲位との組み合わせは重要ですが、内外転位自体も重要であることを忘れてはなりません。
国試ポイント
この問題は、低出生体重児に対する適切なポジショニングに関する知識を問うものです。特に未熟児特有の身体特性を理解し、その発達を促し、合併症を予防するためのポジショニングの原則が問われます。生理的屈曲位の重要性、関節の安定性、気道確保、および異常な運動パターンの予防がポイントとなります。
混同注意
未熟児のポジショニングは、成人の患者や、特定の疾患(例:脳性麻痺など)のポジショニングとは異なる原則に基づくため、他の臨床場面でのポジショニングの知識と混同しやすいです。特に、成人の気道確保のための頭部伸展や、広い関節可動域を保つための外転位などが誤選択肢として誘発される可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、未熟児のポジショニングの目的に加えて、具体的なポジショニング用品の選択や、特定の状態(例:呼吸障害、脳室内出血のリスクなど)に応じた調整点について問われる可能性があります。
関連知識
未熟児の生理的特徴(筋緊張、呼吸機能、皮膚脆弱性、体温調節能)、発達段階に応じたポジショニングの目的(安定性、自己組織化、発達促進、合併症予防)、ポジショニングに使用する物品(ネスト、ロール、ブランケットなど)。