心理検査と評価内容の組合せとして適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
内田・クレペリン精神検査は、単調な計算作業を連続して行わせることで、作業量や作業曲線から、個人の精神的な活動能力の傾向、注意の持続、感情の安定性、そして性格や行動における特徴(例:持続性、衝動性、気分変動など)を客観的に評価する検査です。
選択肢ごとの解説
- 1. SCT(Sentence Completion Test)は、未完成の文章を被験者に補完させることで、その人の性格特性、欲求、葛藤、対人関係のパターンなどを評価する投影法検査です。認知機能を直接的に評価するものではありません。正しくは:SCTは性格特性、欲求、葛藤、対人関係などを評価します。選びやすい理由:心理検査全般を「認知機能」と広義に捉えてしまうと間違えやすいです。また、文章を完成させるという課題から、思考力や表現力といった認知機能と誤解することもあります。混同注意:MMSEやHDS-Rのような具体的な認知機能検査と混同する可能性があります。
- 2. WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は、課題のルールが途中で変更される中で、被験者が柔軟に思考パターンを切り替えられるかを評価するもので、主に前頭葉機能(特に実行機能、概念形成、注意の転換、固執性など)を測定します。自我状態を評価するものではありません。正しくは:WCSTは実行機能、概念形成、注意の転換、固執性などを評価します。選びやすい理由:心理検査の名称が専門的であるため、具体的な評価内容を知らないと、自我状態のような心理的な概念と結びつけてしまいがちです。混同注意:エゴグラムやPIT(人格適応論)など、自我状態を評価する他の心理検査と混同する可能性があります。
- 3. P-Fスタディ(Picture-Frustration Study)は、欲求不満場面に対する個人の反応パターン(攻撃性、責任転嫁など)を評価する投影法検査です。認知症介護負担度を評価するものではありません。正しくは:P-Fスタディは欲求不満場面に対する反応パターンを評価します。選びやすい理由:心理検査には家族関係や介護状況に関連するものもあるため、P-Fスタディの「欲求不満」という言葉から、間接的に介護負担と関連付けて考えてしまう可能性があります。混同注意:ZBI(Zarit Burden Interview)など、介護負担度を評価する具体的な尺度と混同する可能性があります。
- 4. Rorschachテストは、被験者がインクの染みに何を見るかを分析することで、その人の深層心理、パーソナリティ構造、思考様式、感情パターンなどを総合的に評価する投影法検査です。自己効力感を直接的に測定するものではありません。正しくは:Rorschachテストは深層心理、パーソナリティ構造、思考様式、感情パターンなどを評価します。選びやすい理由:自己効力感はパーソナリティの一部と捉えることもできるため、Rorschachテストのような包括的な性格検査で評価できると誤解しやすいです。混同注意:一般的に自己効力感は、自己効力感尺度(GSEなど)といった質問紙法で測定されます。Rorschachテストのような投影法とは目的が異なります。
- 5. 正解。内田・クレペリン精神検査は、簡単な足し算を連続して行わせる作業曲線から、その人の作業能力(能率・正確さ)や、それに伴う性格・行動面の特徴(粘り強さ、変動性、衝動性、集中力、飽きっぽさなど)を評価する検査です。この組み合わせは適切です。
国試ポイント
この問題は、主要な心理検査の名称とその評価内容(目的)を正確に理解しているかを問うものです。特に、投影法検査と質問紙法検査、作業検査法の違い、そしてそれぞれの代表的な検査が何を評価するのかを混同せずに覚えているかがポイントとなります。
混同注意
各心理検査の評価内容について、表面的な名称やキーワードから連想される内容と、実際の評価内容とを混同しやすいです。例えば、「欲求不満」と聞くと介護負担と結びつけたり、「文章完成」を認知機能と捉えたりするなど、安易な連想で誤答を選びがちです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず検査法が大まかにどのカテゴリ(投影法、質問紙法、作業検査法、認知機能検査など)に属するかを判断し、そのカテゴリで評価される主要な内容を想起します。次に、各選択肢の検査固有の評価内容と照らし合わせ、最も適切な組み合わせを選びます。特に、一般的な心理的特性と、より特異的な認知機能や特定の精神状態の評価とを区別することが重要です。
関連知識
主要な心理検査の分類(質問紙法、投影法、作業検査法、神経心理学的検査など)と、それぞれの代表的な検査、評価内容、適応疾患・状態を把握しておく必要があります。特に、MMPI、YG性格検査、TAT、バウムテスト、WAIS、MMSE、HDS-Rなどは頻出です。