強迫性障害で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
強迫性障害の治療において、認知行動療法の一種である曝露反応妨害法(Exposure and Response Prevention: ERP)は、薬物療法(主にSSRI)と並んで第一選択とされる有効な治療法です。不安の原因となる状況や対象に意図的に身をさらし(曝露)、通常であれば行う強迫行為(反応)を意図的に行わないことで、不安が時間とともに自然に軽減することを学習させ、強迫症状を改善させます。
選択肢ごとの解説
- 1. 強迫性障害の薬物療法は、特にセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効であり、第一選択薬の一つとして広く用いられます。正しくは:薬物療法(特にSSRI)は有効とされており、治療の重要な柱です。選びやすい理由:精神疾患に対する薬物療法への否定的なイメージや、治療が難しいという認識から、効果がないと考えてしまう可能性があります。混同注意:すべての精神疾患に薬物療法が効くわけではないという一般論と混同する可能性があります。
- 2. 正解。曝露反応妨害法は、強迫性障害に対する認知行動療法の一種で、不安を引き起こす状況に意図的に身を置き(曝露)、強迫行為を行わないよう妨害する(反応妨害)ことで、不安が自然に軽減することを学習させる治療法であり、有効性が確立されています。選びやすい理由:治療法の名称が専門的であるため、内容を理解していないと選びにくいかもしれませんが、これが正答です。混同注意:他の認知行動療法や精神療法と混同する可能性がありますが、強迫性障害に特化した代表的な行動療法です。
- 3. 強迫行為は、自身の内面から生じる不快な強迫観念を打ち消すため、あるいは特定の不安を避けるために行われるものであり、「させられ体験」とは異なります。「させられ体験」は統合失調症などの精神病性障害でみられる症状です。正しくは:強迫行為は、強迫観念による不安を打ち消すために、患者自身の意思に反して反復的に行われる行動です。選びやすい理由:「強迫」という言葉から、本人の意思とは異なる形で行動が強いられる様子を「させられ体験」と誤解する可能性があります。混同注意:「させられ体験」は統合失調症などの精神病性障害に特徴的な症状であり、強迫性障害とは区別されます。
- 4. 強迫性障害の患者は、その症状による苦痛や生活への支障から、約半数がうつ病を合併すると言われており、決して珍しいことではありません。正しくは:うつ病を合併することは比較的よく見られます(高い頻度で合併します)。選びやすい理由:強迫性障害とうつ病は異なる疾患であるため、直接的な関連性が薄いと誤解する可能性があります。混同注意:他の精神疾患の合併率との比較や、単一の精神疾患として捉えることで、合併の頻度を見誤る可能性があります。
- 5. 強迫性障害の患者は、自身の強迫行為が不合理であることを自覚していることがほとんどです。しかし、その行為を止めようとしても不安が募るため、やめられない状態に陥ります。正しくは:患者は自身の強迫行為が不合理であることをほとんどの場合、自覚しています。選びやすい理由:精神疾患を持つ患者は病識がないという一般的な誤解から、この選択肢を選びたくなる可能性があります。しかし、強迫性障害においては、多くの場合、自身の行動の不合理性を認識しています。混同注意:統合失調症などの精神病性障害における病識の欠如と混同する可能性があります。強迫性障害は、自己の行動への認識がある点が特徴です。
国試ポイント
強迫性障害の基本的な病態理解、特に治療法(薬物療法と精神療法)に関する知識が問われています。各選択肢は、疾患の一般的な特徴、合併症、症状のメカニズムに関する誤解を誘う形で作成されています。特に、病識の有無や「させられ体験」のような精神病症状との鑑別は頻出です。
混同注意
「させられ体験」と強迫観念・行為の区別、精神病性障害と神経症性障害(不安症群)の病識の有無、うつ病との合併頻度、薬物療法の有効性。
次に同じ論点が出たら
次回、強迫性障害について問われた場合は、症状(強迫観念、強迫行為の種類)、鑑別診断(精神病性障害との区別)、主要な治療法(薬物療法、曝露反応妨害法)の有効性とその内容、合併症(特にうつ病)に注意して選択肢を検討しましょう。
関連知識
強迫性障害の診断基準(DSM-5またはICD-11)、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の作用機序、他の不安症群(パニック症、社会不安症など)との比較、精神科リハビリテーションにおける作業療法の役割(行動変容の支援、生活機能の向上)。