統合失調症の前駆期にみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
統合失調症の前駆期には、睡眠障害、集中力低下、不安、抑うつ、社会的引きこもりなどの非特異的な症状に加え、知覚や思考内容に関する微細な変化が見られることがあります。自生思考は、自分の思考が外部から入れられたように感じる、あるいは自分の思考ではないように感じる体験であり、自己と外界の境界が曖昧になる初期徴候の一つとして前駆期に出現し得ます。他の選択肢の滅裂思考、奇異な妄想、感情の平板化、緊張病症候群は、主に統合失調症の急性期や顕性期、あるいは慢性期に典型的に見られる症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。統合失調症の前駆期には、思考内容に関する微細な変化が生じることがあります。自生思考は、自分の思考ではない、外部から強制されたような思考が頭に浮かぶ感覚であり、自己と外界の境界があいまいになる初期徴候の一つとして前駆期に出現することがあります。
- 2. 滅裂思考は、思考の連合弛緩が著しく、会話が論理的に連続せず支離滅裂になる状態を指します。これは主に統合失調症の急性期や顕性期に見られる特徴的な陽性症状であり、前駆期には通常見られません。正しくは:滅裂思考は統合失調症の急性期または顕性期に主に観察される陽性症状である。選びやすい理由:思考障害の一種なので、漠然と統合失調症に関連すると考えがち。混同注意:思考内容の異常(自生思考)と、思考形式の異常(滅裂思考)は異なる。滅裂思考はより重度な症状で顕性期に多い。
- 3. 奇異な妄想(例:思考奪取、思考挿入、させられ体験)は、統合失調症の顕性期に特徴的に見られる陽性症状であり、疾病の中核をなす精神病症状です。前駆期では、むしろ漠然とした被害的・関係念慮などの非系統的な妄想様体験が見られることはありますが、明確な奇異妄想は顕性期の症状とされます。正しくは:奇異な妄想は統合失調症の顕性期に主に観察される陽性症状である。選びやすい理由:統合失調症といえば妄想、というイメージから選びやすい。混同注意:漠然とした関係念慮や被害的な気分は前駆期にも見られることがあるが、明確で奇異な妄想は顕性期の症状である。
- 4. 感情の平板化は、感情鈍麻とも呼ばれ、統合失調症の陰性症状の一つです。これは主に顕性期以降、特に慢性期において顕著となる症状であり、前駆期に中心的に見られる症状ではありません。前駆期では、感情の動揺や不安、抑うつ気分が見られることが多いです。正しくは:感情の平板化は統合失調症の顕性期以降、特に慢性期に主に観察される陰性症状である。選びやすい理由:統合失調症の代表的な症状の一つであるため、時期を問わず関連付ける誤解。混同注意:前駆期の抑うつ気分や感情の不安定さと混同しやすいが、平板化はより持続的な感情の欠如。
- 5. 緊張病症候群は、昏迷、拒絶症、緘黙、姿勢保持、蝋様屈曲などの運動機能の異常を特徴とする症状群です。これは統合失調症の特定の病型や重症な急性期に見られることがありますが、前駆期に中心的に出現する症状ではありません。前駆期には通常、より軽微で非特異的な症状が見られます。正しくは:緊張病症候群は統合失調症の急性期や特定の病型において観察される重篤な症状である。選びやすい理由:重度の精神疾患症状として、統合失調症全体と結びつけやすい。混同注意:幻覚や妄想のような思考内容の異常と、運動機能の異常を区別できていない。
国試ポイント
統合失調症の病期ごとの症状の特徴を理解しているか、特に前駆期における微細な精神病様症状と顕性期の典型症状を区別できるかが問われている。陽性症状、陰性症状、認知機能障害がどの病期にどのような形で現れるかの知識が重要。
混同注意
前駆期の非特異的な症状(例:不安、抑うつ)と、精神病的な兆候(例:知覚変容、思考内容の変化)の区別。また、顕性期の陽性症状(例:妄想、幻覚)との混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、統合失調症の各病期における精神病理(特に思考障害、知覚障害、感情障害、運動障害)の出現時期と特徴が区別できるか、また、精神病発症リスク群の評価項目に関する知識も問われる可能性がある。
関連知識
統合失調症の経過(前駆期、急性期、顕性期、回復期、残遺期)と、それぞれの病期に特徴的な症状。特に前駆期には、微細な知覚変容、漠然とした被害念慮、関係念慮、自生思考などが挙げられる。精神病発症リスクの状態(At Risk Mental State: ARMS)に関する知識も関連する。