認知症患者の運動療法を行うときの対応として適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
認知症患者が運動を拒否する際には、身体的苦痛、精神的苦痛、理解の困難さなど、何らかの理由があります。無理に説得して運動を強いることは、患者の不安や不信感を増大させ、転倒などのリスクを高めるだけでなく、リハビリテーション全体に対する拒否感につながる可能性があります。まずは拒否の原因を把握し、それを取り除く努力をするか、運動内容や時間、環境を調整するなどの柔軟な対応が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 肯定的な言葉は、認知症患者が理解しやすく、安心して運動に取り組むために重要です。否定的な言葉は混乱や不安を招きやすいため避けるべきです。正しくは:肯定的な言葉を選んで指示を出すのは適切な対応です。選びやすい理由:一見すると簡単なことのように思えるが、実際には意識しないと難しい場合がある。混同注意:否定的な言葉での指示と混同しやすい。
- 2. 認知症患者は新しい情報処理や運動への適応に時間がかかるため、個々のペースを尊重することが安全かつ効果的な運動療法には不可欠です。正しくは:患者さんのペースに合わせて進めるのは適切な対応です。選びやすい理由:効率を優先したい場合に、ついペースを上げたくなることがある。混同注意:一般的な効率的な運動プログラムの進め方と混同しやすい。
- 3. 認知症患者は新しいことを覚えるのが難しいため、繰り返し同じ動作を行うことで、運動内容が定着しやすくなり、安心して取り組むことができます。正しくは:同じ動作を繰り返し行ってもらうのは適切な対応です。選びやすい理由:単調さを嫌がる患者もいるため、バリエーションをつけるべきだと誤解する可能性がある。混同注意:健常者への飽きさせないための運動バリエーションと混同しやすい。
- 4. 正解。認知症患者が運動を拒否する背景には、理解不足、身体的不調、恐怖心、疲労など様々な要因が考えられます。無理強いは信頼関係を損ない、運動への意欲を低下させるだけでなく、転倒などの事故につながる危険性もあります。まずは拒否の原因を探り、別の方法を検討するか、その日は中止するなど柔軟な対応が必要です。正しくは:運動を拒否した場合は、無理強いせず、理由を探るか、中止を検討する。選びやすい理由:運動の効果を期待するあまり、患者の拒否を乗り越えさせようと考えることがある。混同注意:健常者に対する「励まし」や「動機づけ」と混同しやすい。
- 5. 慣れ親しんだ動作は、認知症患者にとって記憶をたどりやすく、理解しやすいだけでなく、安心感や成功体験につながり、運動への参加意欲を高めます。正しくは:普段から親しんでいる動きを取り入れるのは適切な対応です。選びやすい理由:新しい運動で脳に刺激を与えるべきだと考えることがある。混同注意:新しい学習を促す目的の運動と混同しやすい。
国試ポイント
認知症患者へのリハビリテーションにおいて、対象者の特性を理解し、安全かつ効果的に介入するための基本的な姿勢と具体的な対応策が問われています。特に、患者の尊厳を尊重し、心理的な負担を軽減することの重要性がポイントです。
混同注意
健常者や意欲が低下しているだけで認知機能に問題のない患者への「励まし」と、認知症患者に対する「無理強い」の区別。前者では多少の説得が有効な場合もありますが、後者では逆効果となる可能性が高いです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出題された場合、認知症患者の尊厳、安全確保、理解度に合わせた個別対応の原則が守られているか、特に「無理強い」「否定的な言葉」「複雑な指示」といった不適切な要素が含まれていないかに注目して判断します。
関連知識
認知症患者へのコミュニケーション技法(肯定的な声かけ、短い言葉、ゆっくり話す)、環境設定(安全確保、慣れた場所)、運動内容の工夫(反復性、慣れた動作、難易度調整)、BPSDへの対応、チームアプローチの重要性。