末梢血に大型の赤血球が出現するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
葉酸は赤血球のDNA合成に不可欠な栄養素です。葉酸が不足すると、赤血球前駆細胞のDNA合成が障害され、細胞分裂が正常に行われなくなります。これにより、細胞質だけが成熟し、核の成熟が遅れる「核と細胞質の成熟非同調」が生じ、結果として大型で未熟な赤血球(巨赤芽球)が末梢血に出現する「巨赤芽球性貧血」となります。ビタミンB12欠乏性貧血も同様の機序で巨赤芽球性貧血を引き起こします。
選択肢ごとの解説
- 1. 再生不良性貧血では、骨髄の造血機能が低下するため、赤血球の数自体が減少しますが、残った赤血球の大きさは正常またはやや小さめ(正球性または小球性)であることが一般的です。正しくは:再生不良性貧血では、赤血球は正球性または小球性であることが多いです。選びやすい理由:「貧血」という言葉から、赤血球の異常を広く連想しやすいですが、大きさの異常に特化するとこの選択肢は誤りです。混同注意:巨赤芽球性貧血のような「大型赤血球を伴う貧血」と混同しやすいです。
- 2. 消化管からの出血が原因の貧血は、体内の鉄分が失われることで起こる鉄欠乏性貧血の一種とみなされます。この場合、赤血球は小さく(小球性)なります。正しくは:消化管出血による貧血では、赤血球は小球性であることが多いです。選びやすい理由:出血により赤血球が失われるため、貧血の一般的な原因として認識されやすいですが、赤血球の大きさの異常とは直接関係ありません。混同注意:急性出血による貧血は正球性貧血ですが、慢性出血による貧血(鉄欠乏性貧血)では小球性低色素性貧血となります。問題は「大型の赤血球」なので、いずれも該当しません。
- 3. 鉄欠乏性貧血では、ヘモグロビンの合成に必要な鉄が不足するため、赤血球は通常よりも小さく(小球性)なり、色も薄く(低色素性)なります。正しくは:鉄欠乏性貧血では、赤血球は小球性かつ低色素性となります。選びやすい理由:貧血の最も一般的なタイプであり、赤血球の異常を連想しやすいですが、大きさの点では「小型」の赤血球が特徴です。混同注意:ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏による「大型赤血球性貧血」と混同しやすいです。
- 4. 溶血性貧血では、赤血球が早期に破壊されることで貧血が生じます。この場合、骨髄は代償的に赤血球を活発に生産するため、未熟な赤血球(網状赤血球)が増加しますが、成熟した赤血球の大きさは通常、正球性であることが多いです。正しくは:溶血性貧血では、赤血球は正球性であることが多いですが、網状赤血球が増加します。選びやすい理由:赤血球が破壊されるという点で、何らかの形態異常があるように思えるかもしれませんが、大型化は主症状ではありません。混同注意:再生不良性貧血や消化管出血による貧血と、赤血球の大きさに関する特徴が異なります。
- 5. 正解。葉酸が不足すると、赤血球のDNA合成がうまく行われず、核の成熟が細胞質の成熟に遅れることで、細胞分裂が遅延します。結果として、通常の細胞よりも大きな赤血球(大球性赤血球、巨赤芽球)が作られます。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:ビタミンB12欠乏性貧血と合わせて「巨赤芽球性貧血」として認識されるため、この特徴が当てはまります。混同注意:鉄欠乏性貧血と混同して、すべての貧血が小型赤血球を呈すると思い込むことがあります。
国試ポイント
この問題は、貧血の種類と、それに伴う末梢血の赤血球の形態変化(特に大きさ)に関する基本的な知識を問うものです。臨床検査値(MCV: 平均赤血球容積)との関連を理解しているかが重要です。
混同注意
様々な貧血の種類とそれぞれの原因、そして赤血球の形態(大きさ、色調)の変化を混同しやすいです。特に、鉄欠乏性貧血(小球性低色素性)と巨赤芽球性貧血(大球性)は対比して覚えるべき重要なポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、選択肢にビタミンB12欠乏性貧血があるか、またはMCV値が提示され、それに基づいて貧血の種類を判断させる問題が考えられます。また、特定の疾患(例:胃切除後の貧血)から原因を推測させる応用問題も想定されます。
関連知識
貧血の分類(形態学的分類:小球性、正球性、大球性/病態生理学的分類:出血性、溶血性、造血機能低下性など)。各栄養素(鉄、ビタミンB12、葉酸)が赤血球形成に果たす役割。MCV(平均赤血球容積)などの血液検査指標。