異常歩行と原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
大殿筋歩行は、股関節伸展筋である大殿筋の筋力低下により、体幹を後方に反らすことで重心を後方に移動させ、股関節の伸展を代償する歩行パターンです。筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を特徴とする疾患であり、特に下肢の近位筋から筋力低下が始まることが多いため、大殿筋の筋力低下を呈し、大殿筋歩行の原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 鶏歩(下垂足歩行)は、足関節の背屈ができず、つま先が垂れ下がるために、つまずかないように大腿を高く上げて歩く歩行です。これは総腓骨神経麻痺やL4〜L5神経根障害によって生じます。脛骨神経麻痺では足関節底屈筋や足趾屈筋が麻痺するため、踵での接地が困難となり踵立位ができない、または立脚後期につま先で地面を蹴ることが難しくなるなどの症状を呈します。正しくは:鶏歩(けいほ)と総腓骨神経麻痺(またはL4〜L5神経根障害)選びやすい理由:下腿の神経麻痺と関連することから、総腓骨神経麻痺と脛骨神経麻痺を混同しやすい。混同注意:総腓骨神経麻痺による下垂足と脛骨神経麻痺による足底筋群の麻痺。
- 2. 踵足(しょうそく)歩行は、アキレス腱断裂や腓腹筋・ヒラメ筋麻痺などにより、足関節の底屈ができず、常に足関節が背屈位をとり、踵から強く接地する歩行です。脳卒中では、片麻痺により弛緩性麻痺や痙性麻痺を呈し、典型的には痙性麻痺による尖足歩行や、ぶん回し歩行が見られます。正しくは:踵足(しょうそく)歩行とアキレス腱断裂(または腓腹筋・ヒラメ筋麻痺)選びやすい理由:脳卒中も歩行障害の原因としてよく挙げられるため、安易に結びつけてしまう可能性がある。混同注意:脳卒中による尖足(痙性麻痺)と踵足(弛緩性麻痺や腱断裂)の違い。
- 3. 動揺(どうよう)歩行は、体幹や骨盤が左右に大きく揺れ動く歩行で、股関節外転筋(中殿筋など)の筋力低下によって生じます。特に両側性の場合はトレンデレンブルグ歩行の連続像として、あひる歩行とも呼ばれます。小脳性運動失調症では、体幹失調や平衡機能障害により、歩隔を広げた不安定でふらつきのある酩酊様歩行(酔っぱらい歩行)が特徴的です。正しくは:動揺(どうよう)歩行と股関節外転筋力低下(または筋ジストロフィーなど)選びやすい理由:両者ともに体幹の動揺が見られるため、混同しやすい。特に「動揺」という言葉から小脳失調を連想しやすい。混同注意:小脳失調による体幹のふらつきと、股関節外転筋力低下による骨盤の動揺。
- 4. 正解。大殿筋歩行は、大殿筋の筋力低下を代償するために、体幹を後方に反らせて重心を移動させる歩行です。筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を特徴とし、特に下肢の近位筋から侵されやすいため、大殿筋の筋力低下を呈し、大殿筋歩行の原因となります。選びやすい理由:この組み合わせは典型的で、診断基準にも含まれる。混同注意:特に混同するものはないが、他の歩行パターンと原因疾患との関連を明確に理解することが重要。
- 5. はさみ脚歩行は、両下肢の痙性が強く、内転筋の緊張亢進により両膝が交差するように歩く歩行で、脳性麻痺の両麻痺型や、脊髄病変による両下肢の痙性麻痺でみられます。正常圧水頭症では、すり足で小刻みに歩き、足が地面から離れにくく、方向転換が困難な磁石様歩行や失行性歩行が見られます。正しくは:はさみ脚歩行と脳性麻痺(両麻痺型)または脊髄痙性麻痺選びやすい理由:両者ともに歩行障害を呈する疾患であるため、関連づけて考えやすい。混同注意:正常圧水頭症の磁石様歩行と、痙性麻痺によるはさみ脚歩行の鑑別。
国試ポイント
各異常歩行の名称と、その特徴的な原因疾患・神経麻痺の組み合わせを正確に覚える。
混同注意
異常歩行の原因となる神経麻痺と疾患を混同しやすい。例えば、感覚障害による異常歩行と運動麻痺による異常歩行の区別。
次に同じ論点が出たら
異常歩行の問題が出題された際は、まず選択肢にある異常歩行がどのような歩き方をするのかを頭の中でイメージし、そのイメージと各疾患・神経麻痺によって生じる身体機能障害がどのように結びつくかを論理的に判断する。
関連知識
異常歩行の分類(麻痺性歩行、失調性歩行、疼痛性歩行など)、各歩行の具体的な観察点(歩幅、歩隔、姿勢、リズムなど)。