一次予防で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
一次予防は、疾病の発生自体を未然に防ぐための介入を指します。選択肢5では、まだ転倒していない「健康な高齢者」に対して、転倒を「未然に防ぐ」ための講演会という形で、健康問題が発生する前の段階でリスクを低減しようとする活動であるため、一次予防の定義に最も合致しています。他の選択肢は、既に疾病が発症している、または疾病の早期発見を目的としているため、二次予防や三次予防に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 高血圧と診断された後の薬物療法は、病状の悪化を防ぐための治療であり、二次予防(早期治療)または三次予防(機能維持・悪化防止)に該当します。発症前の段階で行うのが一次予防です。正しくは:高血圧を予防するための食生活指導や運動習慣の推奨選びやすい理由:生活習慣病の予防と聞くと、治療も含まれると誤解しやすいですが、一次予防は「発症前」の段階を指します。混同注意:二次予防や三次予防
- 2. 既に糖尿病と診断されている患者への運動療法は、病気の進行を遅らせたり、合併症を予防したりするための治療介入であり、二次予防(早期治療・重症化予防)に該当します。正しくは:糖尿病の発症リスクが高い人への運動習慣の導入指導選びやすい理由:運動療法は健康増進のイメージが強く、一次予防と関連付けやすいですが、この選択肢では「糖尿病に対する」と明記されており、治療段階を指します。混同注意:二次予防
- 3. 内視鏡検査による胃がん検診は、胃がんの早期発見・早期治療を目的としており、これは二次予防に該当します。病気の発症「前」ではなく、発症「後」の早期発見が主眼です。正しくは:胃がんのリスク低減のための生活習慣改善の啓発活動選びやすい理由:「検診」は予防のイメージが強いですが、公衆衛生学的な予防の概念では「早期発見・早期治療」は二次予防です。混同注意:一次予防(発症予防)と二次予防(早期発見・早期治療)
- 4. 既に骨折という健康問題が発生しており、その再発を防ぐための介入は三次予防に該当します。障害の進行や再発を防止し、機能維持・改善を図る段階です。正しくは:健康な高齢者への骨粗鬆症予防のための栄養指導や運動プログラム選びやすい理由:「予防」という言葉が使われているため一次予防と誤解しやすいですが、この場合の予防は「再発予防」であり、治療後の介入です。混同注意:三次予防
- 5. 正解。この活動は、まだ転倒を経験していない「健康な高齢者」を対象としており、転倒という健康問題が「発生する前」にそのリスクを低減させることを目的としています。これは疾病や事故の発生自体を未然に防ぐ一次予防の典型的な例です。正しくは:この記述は一次予防の定義に合致しており、修正の必要はありません。
国試ポイント
公衆衛生学における予防の概念(一次予防、二次予防、三次予防)を正確に理解し、具体的な事例と結びつけられるかが問われています。特に「予防」という言葉が使われていても、それがどの段階の予防を指すのかを区別する能力が必要です。
混同注意
「予防」という言葉は日常的に広く使われるため、一次予防、二次予防、三次予防の専門的な区別がつきにくいことがあります。特に「早期発見・早期治療(二次予防)」と「発症予防(一次予防)」、そして「再発予防・重症化予防(三次予防)」の境目が混同されがちです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、介入の対象者が「疾病・問題発生前」か「疾病・問題発生後(診断後)」か、介入の目的が「発症自体を防ぐ」か「早期発見・早期治療」か「重症化・再発を防ぐ」かを判断する。
関連知識
一次予防: 健康増進、特定疾患の予防(例: 予防接種、生活習慣病予防のための健康教育)。二次予防: 早期発見・早期治療(例: 健康診断、がん検診)。三次予防: 機能維持、リハビリテーション、再発防止、社会復帰支援(例: 脳卒中後のリハビリ、糖尿病性合併症の進行防止)。