頭痛を感じる痛覚受容器が存在しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
大脳皮質を含む脳実質には痛覚受容器がありません。頭痛は、脳実質以外の頭蓋内・外の痛覚受容器を有する組織の刺激によって生じます。具体的には、頭蓋内の硬膜、脳を走る動脈・静脈、静脈洞、脳神経(特に三叉神経)、外頭蓋の皮膚、筋肉、筋膜、血管、骨膜などが痛覚受容器を有しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 硬膜、特に大脳鎌や小脳テント、そしてそれらを走行する大血管周辺には多くの痛覚受容器が分布しています。これらの部位が刺激されると、強い頭痛を引き起こします。正しくは:硬膜には豊富な痛覚受容器が存在します。選びやすい理由:脳実質に近く、脳自体には痛覚がないため、周辺の膜も同様に痛覚がないと誤解しやすい。混同注意:脳実質には痛覚がないことと、それを覆う膜(硬膜など)には痛覚があることの違い。
- 2. 脳内の大血管、特に脳底動脈やその主要な分枝、さらに静脈洞などには痛覚受容器が豊富に存在します。血管の拡張や炎症は片頭痛などの頭痛の主要な原因となります。正しくは:脳動脈には痛覚受容器が存在します。選びやすい理由:脳実質内に位置する血管であるため、脳実質と同じく痛覚がないと誤解する可能性がある。混同注意:脳実質と、それを栄養する血管の神経支配が異なること。
- 3. 脳軟膜自体には痛覚受容器は少ないとされますが、軟膜の下のクモ膜下腔を走る大脳表面の血管(動脈や静脈)には痛覚受容器が豊富に存在します。これらの血管への刺激は頭痛を引き起こすため、頭痛の原因となる組織群に含まれます。正しくは:脳軟膜とその周囲の血管には痛覚受容器が存在します。選びやすい理由:脳実質に最も近く、軟膜「そのもの」には痛覚が少ないという知識から、全体に痛覚がないと判断しやすい。混同注意:脳軟膜そのものの感覚神経の有無と、軟膜に密着して走行する血管の痛覚受容器の有無。
- 4. 頭蓋骨膜(骨膜)は、非常に多くの痛覚受容器に富んでいます。頭部の外傷や打撲、炎症などが生じると、この骨膜が刺激されて強い痛み(頭痛や圧痛)を感じます。正しくは:頭蓋骨膜には豊富な痛覚受容器が存在します。選びやすい理由:骨そのものには痛覚が少ないイメージがあり、骨膜も同様だと誤解する可能性がある。混同注意:骨そのものの感覚と、骨膜の感覚は異なること。
- 5. 正解。大脳皮質を含む脳実質全体には、痛覚受容器が一切存在しません。そのため、脳組織自体が損傷を受けたり刺激されたりしても痛みを感じることはありません。開頭手術中に患者が意識のある状態で脳を触っても痛みを感じないのはこのためです。
国試ポイント
この問題は、頭部の痛覚に関わる基本的な解剖学的知識を問うものです。特に「脳実質には痛覚がない」という核心的な知識は、頭痛のメカニズムを理解する上で不可欠であり、国家試験でも頻繁に問われる重要事項です。頭蓋内のどの組織に痛覚受容器が存在し、どの組織には存在しないかを正確に区別できるかがポイントとなります。
混同注意
脳実質と、それを覆う髄膜(特に硬膜やクモ膜、軟膜)、および脳内の血管の痛覚の有無は混同されやすいです。脳実質そのものには痛覚はありませんが、脳を覆う膜や血管には痛覚受容器が存在します。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた際には、まず「脳実質には痛覚がない」という基本原則を思い出すことが重要です。その上で、頭痛の原因となるその他の組織(硬膜、血管、筋肉、骨膜など)が持つ痛覚受容器の有無を検討し、与えられた選択肢の中から痛覚受容器が存在しないもの(または存在するもののうち最も特徴的なもの)を選び出す判断が求められます。
関連知識
頭痛の分類(一次性頭痛、二次性頭痛)や、それぞれの病態生理と関連する組織(例:片頭痛は脳血管の拡張、緊張型頭痛は頭頚部筋の収縮など)についても理解を深めることが重要です。また、三叉神経痛など、特定の神経が関与する頭痛のメカニズムも関連知識として挙げられます。