Gowers徴候を生じやすい疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Gowers徴候は、下肢や体幹の近位筋の筋力低下がある患者が、立ち上がる際に手で自分の膝や太ももを押し上げ、体幹を前に倒しながら徐々に伸ばしていく特徴的な動作です。これはDuchenne型筋ジストロフィーの代表的な症状の一つであり、筋細胞の変性・壊死による進行性の近位筋力低下を代償するために行われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節リウマチは自己免疫疾患であり、主に滑膜の炎症を特徴とし、関節の変形や機能障害を引き起こしますが、Gowers徴候のような近位筋力低下に起因する動作異常とは直接関連しません。正しくは:Gowers徴候は主に筋ジストロフィーなどの筋疾患で見られる所見です。選びやすい理由:関節の機能障害があるため、立ち上がりの困難さをイメージするかもしれませんが、Gowers徴候とは異なります。混同注意:筋力低下とは異なる関節の痛みや可動域制限による動作困難と混同しやすいです。
- 2. パーキンソン病は中枢神経系の進行性疾患で、運動症状として振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などを呈しますが、Gowers徴候の原因となる近位筋力低下は主要な症状ではありません。正しくは:Gowers徴候は主に筋ジストロフィーなどの筋疾患で見られる所見です。選びやすい理由:運動機能の障害があるため、立ち上がりの困難さをイメージするかもしれませんが、Gowers徴候とは原因が異なります。混同注意:運動機能障害全般と混同しやすいですが、パーキンソン病の姿勢異常や歩行障害はGowers徴候とは機序が異なります。
- 3. 神経叢引き抜き損傷は末梢神経の損傷であり、損傷部位に応じた筋力低下や感覚障害を引き起こしますが、Gowers徴候は広範な近位筋力低下、特に体幹や下肢の近位筋の弱さに起因する特徴的な起立動作です。神経叢損傷は局所的な神経支配領域に限定されることが多いです。正しくは:Gowers徴候は主に筋ジストロフィーなどの筋疾患で見られる所見です。選びやすい理由:筋力低下があるため、Gowers徴候も起こりうると考えるかもしれませんが、Gowers徴候は全身性または広範囲の近位筋力低下が背景にあります。混同注意:局所的な筋力低下と全身性の近位筋力低下による症状とを混同しやすいです。
- 4. 中心性頸髄損傷は脊髄の中心部に損傷が生じ、上肢に下肢よりも強い運動麻痺や感覚障害を引き起こすことがありますが、Gowers徴候の原因となる近位筋の進行性の筋力低下とは異なります。脊髄損傷は神経路の障害であり、筋自体の疾患ではありません。正しくは:Gowers徴候は主に筋ジストロフィーなどの筋疾患で見られる所見です。選びやすい理由:四肢の麻痺があるため、立ち上がりの困難さをイメージするかもしれませんが、Gowers徴候は筋疾患に特有の起立動作です。混同注意:神経損傷による麻痺と筋疾患による筋力低下を混同しやすいです。
- 5. 正解。Duchenne型筋ジストロフィーは、ジストロフィン遺伝子の異常により筋細胞が変性・壊死していく進行性の筋疾患です。特徴的に体幹や下肢の近位筋の筋力低下が顕著であり、この筋力低下を代償するために、立ち上がる際に両手を膝や太ももに置き、体幹を押し上げるようなGowers徴候がみられます。
国試ポイント
Gowers徴候は、特定の筋疾患、特にDuchenne型筋ジストロフィーに特徴的な身体所見として頻繁に問われます。他の疾患による運動障害との鑑別が重要です。臨床症状と疾患を結びつける知識が求められます。
混同注意
Gowers徴候は、単なる立ち上がりの困難さとは異なり、近位筋力低下を代償する特定の動作パターンを指します。他の神経疾患(例:脊髄損傷、パーキンソン病)や関節疾患による運動機能障害と混同しないように注意が必要です。これらは立ち上がりが困難であっても、その機序や代償動作が異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、Gowers徴候の動画や写真が提示され、それを呈する疾患を複数選択させる問題や、Gowers徴候以外の筋ジストロフィーに特徴的な所見(例:仮性肥大、動揺性歩行)と疾患を結びつける問題が出題される可能性があります。また、小児期の神経筋疾患の鑑別診断における重要性も問われるでしょう。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーのその他の特徴として、Waddling gait(動揺性歩行)、仮性肥大(特に腓腹筋)、血清CK値の著しい上昇などがあります。Gowers徴候は筋ジストロフィーだけでなく、他の筋疾患(例:多発性筋炎、一部の先天性ミオパチー)でも見られることがありますが、国家試験ではDuchenne型筋ジストロフィーとの関連で問われることが多いです。