バランス練習の難度を高める方法として正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
バランス練習の難易度を上げるには、支持基底面を狭くする、重心を高くする、視覚情報を遮断する、不安定な支持面を使用する、外部からの擾乱を加える(二重課題)、予測不能な動きを要求する、などの方法があります。選択肢2と4はこれらの原則に基づいています。2は視覚情報の遮断による難度向上、4は外乱の追加と二重課題による難度向上です。
選択肢ごとの解説
- 1. 重心が低い姿勢は安定性が増すため、バランス練習の難易度は下がります。正しくは:重心を高くする、または重心の移動範囲を大きくすることで難易度が上がります。選びやすい理由:一見、体幹の安定性を高めるように思えるかもしれませんが、重心が低いこと自体は安定性を向上させます。混同注意:特定の運動では重心を低く保つことが重要ですが、バランス練習の『難度向上』という文脈では異なります。
- 2. 正解。視覚情報を遮断することで、バランス維持において前庭覚や体性感覚への依存度が高まり、難易度が向上します。これはバランス能力を評価する際にも用いられる手法です。選びやすい理由:バランス能力の評価項目としてメジャーなため、理解しやすいです。
- 3. 支持基底面が広いと安定性が増し、バランスを保ちやすくなるため、難易度は下がります。正しくは:支持基底面を狭くする(例:片足立ち、踵とつま先を揃える)ことで難易度が上がります。選びやすい理由:広い面でより多くの動きを練習すると錯覚するかもしれませんが、静的な姿勢保持においては安定性が増します。混同注意:動的なバランス練習で支持基底面内で大きく動くことと、静的に広い支持基底面で姿勢を保つことの区別。
- 4. 正解。バランス練習中に外部からの刺激(ボールの投受)や、上肢の運動による重心移動を生じさせることで、体幹の安定性や予測的な姿勢制御能力が求められ、難易度が向上します。選びやすい理由:二重課題としてよく用いられる手法であり、理解しやすいです。
- 5. 重心の移動範囲を小さくすることは、安定性を高める行為であり、バランス練習の難易度は下がります。難易度を上げるためには、重心の移動範囲を大きくする必要があります。正しくは:支持基底面内での重心移動範囲を大きくする(例:リーチ動作など)ことで難易度が上がります。選びやすい理由:微細なバランス制御が必要なように思えるかもしれませんが、それは移動範囲を大きくした場合に重心を制御することです。混同注意:重心が小さく動くことで精密な制御が必要と勘違いするかもしれませんが、これは制御が容易な状態です。不安定な状況で重心をコントロールすることと混同しやすいです。
国試ポイント
理学療法におけるバランス練習の原則と、その難易度調整方法について問われる問題です。基本的な運動学・生体力学の知識に基づいて、どのような要素がバランスに影響するかを理解しているかが重要となります。特に、支持基底面、重心、感覚入力(視覚、前庭覚、体性感覚)、外部からの刺激(外乱、二重課題)がポイントです。
混同注意
重心を低くすることや支持基底面を広くすることは安定性を高めるため、難易度は下がります。これらを難易度向上と混同しないように注意が必要です。また、微細な重心移動の制御と、大きな重心移動の制御の難易度を混同しないようにしましょう。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、支持基底面や重心の位置、感覚入力(視覚、前庭覚、体性感覚)、そして外的要因(二重課題、不安定面、予測不能な動き)のどの要素が変化しているか、それがバランス能力にどう影響するか(安定性を高めるか、難度を高めるか)に注目して判断します。
関連知識
バランス評価スケール(例:Berg Balance Scale, Functional Reach Test)、感覚入力の重要性(視覚、前庭覚、体性感覚)、運動学習の原則、二重課題の効果、運動制御理論(予測的姿勢制御、反応的姿勢制御)。