インシデントレポートについて正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
インシデントレポートは、医療事故やその一歩手前の事象(ヒヤリ・ハット)の情報を収集し、原因を分析して再発防止策を講じるための重要なツールです。報告者が安心して報告できる環境がなければ、真の情報が集まらず、医療安全の向上につながりません。そのため、管理者が報告しやすい文化を醸成することは極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. インシデントレポートは、事象発生後速やかに作成することが重要です。時間が経過すると、記憶が曖昧になったり、状況が変化したりして、正確な情報収集が困難になるためです。正しくは:インシデントレポートは、事象発生後、速やかに作成するべきである。選びやすい理由:正確な情報収集や分析には時間が必要という一般的な考えから、正しい選択肢だと誤解しやすい。混同注意:詳細な分析と迅速な報告の優先順位。レポート作成は迅速に、その後の分析は時間をかけて行うべき。
- 2. インシデントレポートには、客観的な事実のみを記載することが求められます。主観的な意見や推測は、原因分析を誤らせる可能性があり、含めるべきではありません。正しくは:インシデントレポートには、客観的な事実のみを記載するべきである。選びやすい理由:報告者の視点からの考察も重要であると感じるかもしれない。混同注意:事実の報告と考察・分析の区別。レポートは事実報告に徹する。
- 3. インシデントレポートは、患者に実害がなかった「ヒヤリ・ハット」事例でも作成することが重要です。これらの事例を分析することで、将来の医療事故を未然に防ぐための対策を講じることができます。正しくは:インシデントレポートは、実際に患者に被害が及ばなかった医療事故未遂の場合にも作成するべきである。選びやすい理由:被害がなければ問題ない、と考えるかもしれない。混同注意:医療事故とインシデントの定義。インシデントは医療事故につながる可能性のある事象全般を指す。
- 4. インシデントレポートの目的は、個人の責任追及ではなく、事故の原因を究明し、再発防止策を講じることによって医療安全体制を強化することにあります。責任追及の姿勢は報告を阻害します。正しくは:主な目的は、医療安全体制の改善と事故の再発防止である。選びやすい理由:問題が起きたら誰かに責任がある、という考えから、目的が責任追及だと誤解しやすい。混同注意:責任追及とシステム改善。インシデント報告はシステム改善が主目的。
- 5. 正解。インシデント報告システムが効果的に機能するためには、報告者が責任追及を恐れず、自由に情報を共有できる安全な環境が必要です。管理者はその環境作りを主導する役割を担います。選びやすい理由:この選択肢は医療安全文化の根幹に関わるため、正解と判断しやすい。混同注意:特になし。医療安全の基本的な考え方と合致している。
国試ポイント
インシデントレポートの基本的な目的、役割、そして医療安全文化における位置づけを理解しているかが問われています。特に、責任追及ではなくシステム改善を目的とすること、ヒヤリ・ハットも報告対象であること、そして報告しやすい環境の重要性が頻出ポイントです。
混同注意
インシデントレポートの目的(責任追及 vs 再発防止)、報告の対象(事故のみ vs ヒヤリ・ハット含む)、報告内容(事実のみ vs 主観含む)。
次に同じ論点が出たら
この問題で誤答した場合は、インシデントレポートの定義、目的、作成時の留意点、そして医療安全管理におけるその役割について、テキストやガイドラインで再確認してください。特に、組織としての医療安全文化の重要性を理解しているかどうかが鍵となります。
関連知識
医療安全管理体制、ヒューマンエラーの考え方、ノーフォールト(No-Fault)システム、リスクマネジメント。