脳血管障害に対して行われる検査で、誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
拡散強調画像(DWI)は、主に脳梗塞の超急性期から急性期において、細胞内浮腫による水の拡散制限を反映して高信号を示すことで、早期診断に非常に有効です。しかし、陳旧性梗塞では拡散制限は消失し、むしろ脳組織の破壊や血管性浮腫により水分子の拡散が促進されるため、DWIでは高信号を示さなくなります。陳旧性梗塞の検出には、T2強調画像やFLAIR画像が適しており、これらの画像では梗塞巣は高信号として描出されます。したがって、「陳旧性梗塞の検索にMRIの拡散強調像が用いられる」という記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 頸部MRA(磁気共鳴血管造影)は、非侵襲的に頸動脈の形態や狭窄の有無・程度を評価するのに非常に有用な検査です。脳虚血の原因として重要な頸動脈狭窄の診断に広く用いられます。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:一般的な知識であり、正しい選択肢だと判断しやすいです。混同注意:MRAが血管病変の評価に適していることは理解されているため、誤りとは考えにくいです。
- 2. T2*強調画像は、ヘモグロビンの分解産物であるヘモジデリンを検出する能力が高く、特に微小出血や陳旧性出血、海綿状血管腫などの出血性病変の描出に優れています。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:MRIの様々なシーケンスの特性を理解していると、T2*が出血に有効だと判断しやすいです。混同注意:T2強調画像やFLAIR画像など、他のMRIシーケンスとの違いを混同すると判断に迷うかもしれませんが、T2*が出血描出に優れるのは基本的な知識です。
- 3. 正解。拡散強調画像(DWI)は、主に超急性期から急性期の脳梗塞を早期に検出するのに非常に有用な画像です。細胞の浮腫により水の拡散が制限されることを捉えます。陳旧性梗塞では、細胞外空間の水の拡散は正常化するか、むしろ増大するため、拡散強調画像では高信号を示さなくなり、むしろ低信号になることもあります。陳旧性梗塞の検索には、T2強調画像やFLAIR画像が適しています。正しくは:陳旧性梗塞の検索には、T2強調画像やFLAIR画像が適しています。拡散強調画像は、急性期脳梗塞の検出に主に用いられます。選びやすい理由:MRIは脳梗塞の検査に用いられるため、拡散強調画像も漠然と脳梗塞全体に有効だと誤解しやすいです。特に「強調」という言葉が、あらゆる病変をよく見せてくれるかのような印象を与えるかもしれません。混同注意:拡散強調画像が急性期脳梗塞の早期診断に非常に有用であるため、その特性を陳旧性梗塞にも当てはめてしまうと間違いやすいです。急性期梗塞と陳旧性梗塞でのDWI信号変化の違いを混同しがちです。
- 4. ホルター心電図は、24時間などの長時間にわたる心電図を記録することで、発作性心房細動やその他の不整脈(特に脳塞栓の原因となりうるもの)を検出するのに非常に有効な検査です。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:心臓由来の塞栓が脳梗塞の原因となることはよく知られており、ホルター心電図がその原因検索に用いられるのは理解しやすいです。混同注意:通常の心電図とホルター心電図の違い(時間的連続性)を理解していれば、発作性の不整脈検出に優れていることがわかるため、誤りとは考えにくいです。
- 5. 脳血管撮影(DSA: Digital Subtraction Angiography)は、侵襲的な検査ではありますが、血管の詳細な解剖学的情報、特に動脈瘤の形態、大きさ、親動脈との関係などを最も正確に評価できる検査であり、治療方針の決定に不可欠な情報を提供します。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:脳動脈瘤の検査として、MRAやCTAも一般的ですが、DSAが最も詳細な情報を提供する「ゴールドスタンダード」の一つであることは知られているため、正しいと判断しやすいです。混同注意:MRAやCTAといった非侵襲的な検査との違いを混同すると戸惑うかもしれませんが、DSAが最も詳細な評価に適しているのは事実です。
国試ポイント
本問題は、脳血管障害の診断に用いられる各種画像検査(MRA、MRIの各種シーケンス、ホルター心電図、脳血管撮影)の適切な適応と、それぞれの検査で何が評価できるかを問うものです。特にMRIの拡散強調画像が急性期脳梗塞の早期診断に特化している点を理解しているかがポイントとなります。各検査の特性、特にどの病期や病態に有効かという区別が問われます。
混同注意
MRIの拡散強調画像が脳梗塞の検査に用いられることは広く知られているため、急性期と陳旧期での画像所見の違いを混同しやすいです。T2強調画像やFLAIR画像との適応の違いも混同の元となります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、MRIの各シーケンス(T1、T2、FLAIR、DWI、T2*)の適応病態と、病期の違い(急性期、亜急性期、慢性期/陳旧期)による画像所見の変化を正しく判断できるかが問われるでしょう。特に、拡散強調画像が急性期脳梗塞の診断に特異的であること、T2*強調画像が出血性病変に有効であること、FLAIR画像が浮腫や脱髄病変に有用であることなどを確実に理解しておく必要があります。
関連知識
MRIの基本原理(T1強調画像、T2強調画像、FLAIR、拡散強調画像、T2*強調画像)と、それぞれのシーケンスがどのような病変の描出に優れているかを理解しておく必要があります。また、非侵襲的検査(MRA、CTA)と侵襲的検査(DSA)のメリット・デメリットと適応、心原性脳塞栓症のスクリーニングとしてのホルター心電図の役割も重要です。