76歳の男性。左足関節の痛みに対して手術療法が行われた。術後エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。術後の理学療法で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
足関節の手術後、患部はしばしば固定され、免荷期間が設けられます。この期間中、関連する関節である膝関節は、長期間の非活動や不適切な肢位により拘縮を起こしやすい状態になります。そのため、膝関節の可動域を維持・改善するための運動は、二次的な機能障害の予防として非常に重要です。設問のX線画像からは足関節に観血的整復内固定術が施行されたと判断され、足関節の運動が制限される状況において、隣接する膝関節の可動域確保は理学療法の重要な課題となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 手術直後からの荷重は、骨癒合が不十分な場合や内固定がある場合に、固定の破損や再転位のリスクを高めるため、一般的には避けられます。X線画像から観血的整復内固定術が施行されたことが示唆されており、通常は一定期間の非荷重期間が設けられます。正しくは:術直後は非荷重とし、段階的に荷重を増やす。選びやすい理由:荷重の早期開始は回復を早めるイメージがあるが、足関節手術後は慎重である。混同注意:患者の年齢や骨の状態によっては早期荷重が検討されるケースもあるが、一般的には足関節手術後は段階的な荷重が原則となる。
- 2. 電磁波療法は疼痛緩和に用いられることもありますが、術後の炎症が強い時期や内固定がある場合は、熱の蓄積や組織への影響を考慮し、慎重に行う必要があります。術後早期の疼痛管理は安静、アイシング、薬物療法などが中心となります。正しくは:疼痛管理にはアイシングや薬物療法、適切な体位などを検討する。選びやすい理由:物理療法として電磁波療法は疼痛軽減に有効な手段の一つである。混同注意:術後早期の物理療法には禁忌や注意点が多い。特に内固定がある場合は温熱効果のある物理療法は慎重に判断する必要がある。
- 3. 正解。左足関節の手術後、患部である足関節は固定されることが多く、その影響で関連する関節である膝関節や股関節の可動域が制限されやすくなります。特に膝関節は、長期間の免荷や安静によって拘縮しやすい部位であるため、積極的に可動域練習を行うことで二次的な機能障害の予防につながります。設問の画像から、足関節に固定がされていることが推測されます。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:足関節にばかり意識が向き、関連関節のケアを忘れがちになる。混同注意:足関節の手術なので、直接関係ないように感じるかもしれないが、二次的障害の予防は重要である。
- 4. 足関節が外固定されている期間であっても、足指(趾)の運動は通常、術直後から積極的に行うことが推奨されます。これは、血行促進、浮腫軽減、深部静脈血栓症予防、および足趾の拘縮予防に有効であるためです。外固定が外れるまで待つ必要はありません。正しくは:外固定の有無にかかわらず、術直後から足指の可動域練習を開始する。選びやすい理由:外固定中は患部全体を安静に保つべきだと誤解しがち。混同注意:患部を固定しているからといって、その周囲の運動まで制限する必要はない。
- 5. 短下肢装具の目的は、足関節の不安定性軽減や特定の運動の制限などですが、内固定の破損リスクが高い期間においては、免荷やより強固な固定が優先されます。骨癒合が得られるまでは、一般的に荷重制限が伴うことが多く、短下肢装具のみでは不十分な場合があります。X線画像からは内固定が行われていることが示唆されますが、その破損リスクを直接的に短下肢装具で回避するというよりは、荷重制限や場合によっては免荷期間の延長、より強固な固定具の使用が検討されます。正しくは:骨癒合が得られるまでは荷重制限を遵守し、必要に応じて適切な装具や免荷期間を設定する。選びやすい理由:装具の使用は固定の保護に役立つという点で一見正しいように思える。混同注意:内固定破損の予防には、荷重制限が最も重要であり、短下肢装具は荷重を許容する時期に用いられることが多い。
国試ポイント
足関節手術後の理学療法における、周辺関節の管理の重要性を理解しているか、また、固定期間中の注意点や禁忌を把握しているかが問われる問題です。患部だけでなく、全身的な視点でのリハビリテーション計画立案能力が求められます。
混同注意
選択肢1と5は荷重と固定に関する内容であり、内固定の状態によっては一見正しく思える部分もありますが、術後早期の一般的な原則からは外れます。選択肢4は足指の運動は外固定中も推奨されるため、誤りです。選択肢2の電磁波療法も術後早期の熱作用への注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この問題から、足関節だけでなく膝関節や足指の動きも考慮する必要があることを学び、術後の理学療法では患部周辺の関節や全身状態への配慮が不可欠であることを再確認すべきです。
関連知識
足関節骨折後のリハビリテーション、術後合併症(拘縮、深部静脈血栓症など)、各物理療法の適応と禁忌、装具療法の種類と目的。