環椎骨折(Jefferson骨折)に対する運動療法で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Jefferson骨折は環椎の破裂骨折であり、初期は安定化と固定が最優先されます。しかし、骨癒合が進み、頸椎の可動性が許容される段階になれば、頸椎周囲筋の強化が不可欠です。この時期に等張性筋力増強練習を行うことで、頸部の安定性を高め、機能回復を促進します。他の選択肢は、不安定な骨折であるJefferson骨折の病態を考慮すると、不適切か、リスクが高い運動療法の内容です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Jefferson骨折は環椎の骨折であり、安定性が確保され、ある程度の骨癒合が進み、頸椎の可動域が許可された段階で、頸椎周囲筋の強化は安定性向上と機能回復のために重要となります。この時期には等張性運動が適切です。選びやすい理由:すぐに等尺性運動から始めがちだが、可動性が得られてからの等張性運動という段階を踏むことが重要。混同注意:受傷直後からの運動療法と混同しやすい。
- 2. Jefferson骨折は不安定性の高い骨折であるため、初期の段階での他動運動は、骨折部位への過度な負荷や転位のリスクを高める可能性があります。まずは安定化と固定が最優先されます。正しくは:頸椎の関節可動域訓練は、医師の指示と骨癒合の程度を確認し、慎重に自動運動または他動介助運動から開始します。選びやすい理由:一般的に他動運動から開始する疾患もあるため、選びやすい。混同注意:他の一般的な関節疾患のリハビリテーション開始時期と混同しやすい。
- 3. Jefferson骨折であっても、全身状態が安定しており、頸椎の固定が適切に行われていれば、早期からの歩行練習は全身機能の維持や廃用症候群の予防のために推奨されます。ただし、頸椎に負担をかけないよう注意が必要です。正しくは:骨癒合の状況や頸椎の安定性を確認しながら、装具装着下で早期から歩行練習を開始することが多いです。選びやすい理由:重症な骨折であるため、安静を重視しがちになる。混同注意:脊椎の重度な不安定骨折で、免荷が必須な場合と混同しやすい。
- 4. 体幹筋は姿勢の安定に重要であり、頸椎に直接的な負荷をかけない範囲で、早期から体幹筋力運動(例:腹式呼吸、軽度の等尺性収縮)を行うことは、全身機能維持やリハビリテーションの進行に寄与します。ただし、頸椎に無理な力がかからないように細心の注意が必要です。正しくは:骨癒合が得られる前から、頸椎に負担をかけない範囲で体幹筋力運動を開始することが望ましいです。選びやすい理由:全身の運動が頸部に影響を与えると考えてしまいがち。混同注意:頸部への直接的な負荷を伴う運動と混同しやすい。
- 5. Jefferson骨折は不安定な骨折であり、受傷直後から頸椎装具による確実な固定が不可欠です。装具なしでの立位練習は、骨折部位の転位や脊髄損傷のリスクを著しく高めるため、極めて危険です。正しくは:受傷直後から適切な頸椎装具を装着し、医師の指示のもと、段階的に立位練習を行います。選びやすい理由:早期離床の重要性は認識しつつも、装具の重要性を見落とす。混同注意:安定した骨折や、装具が不要な軽度な損傷と混同しやすい。
国試ポイント
環椎骨折(Jefferson骨折)の特性を理解し、病期に応じた適切な運動療法の原則を問う問題です。特に、不安定な脊椎骨折における初期のリハビリテーションと、骨癒合後の機能回復期の運動療法の違いを正確に把握しているかが重要です。
混同注意
他の脊椎骨折(特に安定型骨折)のリハビリテーション開始時期や、一般的な関節疾患のリハビリテーションプロトコルと混同しやすいです。また、早期離床の重要性と、骨折部位への負担軽減のバランスを誤解しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず骨折の部位と安定性を判断し、その骨折がどの時期(急性期、回復期、維持期)にあるかを特定します。次に、その病期におけるリハビリテーションの最も重要な原則(例:固定、免荷、疼痛管理、可動域改善、筋力強化)を想起し、各選択肢がその原則に合致するかを評価します。
関連知識
環椎の解剖学(破裂骨折の機序)、脊髄損傷のリスク評価、頸椎装具の種類と役割、骨癒合の段階、各期における運動療法の目標と禁忌事項、廃用症候群の予防。