左延髄外側症候群で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
延髄外側症候群は、主に椎骨動脈や後下小脳動脈の閉塞により、延髄外側部の血流が障害されることで起こります。この部位には脊髄視床路が通っており、温痛覚を伝えるこの経路は脊髄で交叉するため、病変の対側(左延髄病変なら右半身)に温痛覚障害が生じます。選択肢4はこの病態生理に基づいた正しい記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. ホルネル徴候は交感神経系の障害によって生じ、延髄外側症候群では病巣と同側に発現します。したがって、左延髄外側症候群では左側にホルネル徴候が出現します。正しくは:左側にホルネル徴候が出現する。選びやすい理由:神経系の左右交差を意識しすぎると、無意識に症状が対側に出ると考えてしまう可能性がある。混同注意:他の運動麻痺や感覚障害が対側に出現するのと同じように考えてしまう。
- 2. 角膜反射の中枢は脳橋に位置する三叉神経核であり、延髄外側症候群の病変部位は延髄です。したがって、通常、角膜反射は影響を受けません。また、仮に障害されるとしても病巣と同側(左側)に生じます。正しくは:角膜反射は通常影響を受けない。仮に障害される場合でも、左側の角膜反射が低下する。選びやすい理由:顔面の感覚に関わるため、反射が障害されるのではないかと考えてしまう。混同注意:顔面の感覚障害と反射の低下を混同しやすい。
- 3. 延髄外側症候群では、病巣と同側の小脳性運動失調(体幹失調や構音障害など)が見られます。小脳からの下肢の協調性に関する線維は交叉しないため、対側の上下肢に運動失調が出現することはありません。正しくは:左上下肢または体幹に運動失調が見られる。選びやすい理由:小脳の機能に関連する症状であり、運動系の左右交差を想起しやすいため。混同注意:皮質脊髄路の運動麻痺と小脳性運動失調の出現部位を混同しやすい。
- 4. 正解。延髄外側症候群では、脊髄視床路が障害されます。脊髄視床路は脊髄で既に交叉しているため、病巣(左延髄)の対側、すなわち右の上下肢に温痛覚障害が生じます。これは典型的な症状の一つです。選びやすい理由:延髄外側症候群の主要な症状の一つであり、病変部位と症状出現部位の関連性を理解していれば正答できる。混同注意:深部感覚との違いを理解していないと誤答しやすい。
- 5. 深部感覚(位置覚、振動覚など)を伝える後索・内側毛帯路は、延髄で交叉します。したがって、延髄外側症候群の病巣部位よりも吻側で交叉するため、障害は病巣と同側(左側)に出現します。また、延髄外側症候群では通常、後索・内側毛帯路は障害されません。正しくは:左上下肢に深部感覚障害が生じる、または深部感覚障害は通常見られない。選びやすい理由:感覚障害全般を対側に出ると誤解してしまう。温痛覚障害と深部感覚障害の経路の違いを理解していないと間違えやすい。混同注意:温痛覚(脊髄視床路)と深部感覚(後索・内側毛帯路)の交叉部位と走行を混同しやすい。
国試ポイント
延髄外側症候群の主要な症状、特に病変部位と症状出現部位の左右関係(同側/対側)を問う問題が頻出です。特に、温痛覚障害と深部感覚障害の経路の違い、ホルネル徴候や小脳性運動失調の同側性を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
脳幹病変における感覚障害(温痛覚と深部感覚)の左右、小脳性運動失調の左右、ホルネル徴候の左右。特に、脊髄視床路と内側毛帯路の交叉部位の違いによる症状出現部位の差異。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、延髄外側症候群以外の脳幹症候群(例:橋内側症候群、中脳症候群)の症状の左右関係や、他の主要な神経路(錐体路など)の交叉部位とそれが関与する症状についても理解できているかを確認する。
関連知識
延髄外側症候群の他の症状:嚥下障害、構音障害(迷走神経核・疑核)、めまい・眼振(前庭神経核)、顔面同側の温痛覚障害(三叉神経脊髄路核)、 Horner徴候(交感神経下行路)。各神経核や神経路が延髄のどの部位を走行し、その交叉部位はどこかを理解することが重要です。