Danielsらの徒手筋力テストで、検査する筋の段階と開始肢位の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Danielsらの徒手筋力テストにおける筋の段階と開始肢位の組合せで正しいのは、後脛骨筋の段階2を足関節底屈位から開始するものです(公式正答5)。後脛骨筋は足関節の内がえし(内反)を評価するため、足関節を軽度底屈位にして内がえしの運動をみます。
選択肢ごとの解説
- 1. 菱形筋群の段階4は、肘関節伸展位ではなく、肘関節を屈曲した肢位から肩甲骨の内転・挙上を評価します。正しくは:菱形筋群のMMTグレード3の開始肢位は、腹臥位で肩甲骨を内転させやすい肢位となります。肘関節の肢位は検査に直接関係ありません。選びやすい理由:筋肉の評価と肢位の関連性を問う問題なので、関節名が具体的に提示されていると一見正しいように感じられるかもしれません。混同注意:他の腕や肩関節周囲の筋群の評価肢位と混同する可能性があります。
- 2. 上腕三頭筋の段階4の開始肢位として、この組合せは正しくありません(公式正答は選択肢5)。正しくは:上腕三頭筋のMMTグレード3の開始肢位は、通常、重力の影響を避けるために肘関節が屈曲位で上腕を支持した状態(例えば、肩関節90度外転位、肘関節90度屈曲位で前腕を垂直にする)で評価します。肩関節屈曲位は適切ではありません。選びやすい理由:上腕の筋肉なので、肩関節の関与を連想しやすいかもしれません。混同注意:上腕二頭筋など、他の上腕の筋群の評価肢位や、重力方向を考慮しない評価と混同しやすいです。
- 3. 大殿筋の段階3の開始肢位として、この組合せは正しくありません(公式正答は選択肢5)。正しくは:大殿筋のMMTグレード3の開始肢位は、通常、腹臥位で股関節が中間位、膝関節を90度程度屈曲させた肢位で評価します。これはハムストリングスの関与を減らし、大殿筋を単独で評価しやすくするためです。選びやすい理由:股関節伸展運動は下肢全体で行われるため、膝関節伸展位が自然な肢位のように感じられるかもしれませんが、これはハムストリングスの関与を増やすことになります。混同注意:ハムストリングスと大殿筋の作用の混同、またはMMTにおける筋分離の重要性の理解不足と混同しやすいです。
- 4. 大腿四頭筋の段階2は側臥位で行い、股関節屈曲位からの開始ではありません。正しくは:大腿四頭筋のMMTグレード3の開始肢位は、通常、座位で膝関節を完全に屈曲させた状態から評価します。股関節の肢位は評価に直接関連しません。選びやすい理由:大腿四頭筋が股関節をまたぐ二関節筋(大腿直筋)を含むため、股関節の肢位が影響するように思えるかもしれませんが、主に評価するのは膝関節伸展です。混同注意:大腿直筋の二関節筋としての特性と、MMTの一般的な評価方法との区別が曖昧になりやすいです。
- 5. 正解。後脛骨筋の段階2は、足関節を底屈位にして内がえしの運動をみる正しい組合せです。選びやすい理由:後脛骨筋の主作用が足関節底屈・内反であるため、その作用の結果生じる肢位が提示されており、正しく見えるかもしれません。しかし、『開始肢位』という点では紛らわしい表現です。混同注意:『開始肢位』と『最終肢位』または『作用によってとる肢位』が混同しやすいです。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)における各筋肉の評価肢位と、重力の影響を考慮した運動方向の理解が問われています。特にグレード3の評価では、重力に抗して全可動域を動かせるかを見るため、開始肢位は重力を最大限に利用(または抗する)できる、かつ評価したい筋肉が最も伸張される肢位が選ばれることが多いです。また、他の筋肉の代償を避けるための肢位設定も重要です。
混同注意
MMTの『開始肢位』、『最終肢位』、および『評価される運動の方向』の区別が曖昧になりやすいです。特に多関節筋の場合、特定の関節の動きを分離して評価するための肢位設定の理解が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『開始肢位』が問われているのか、『運動の最終肢位』が問われているのかを正確に判断すること。次に、提示された肢位がその筋肉の作用に合致しているか、そして他の筋肉の代償を誘発しないか、重力の影響を適切に考慮しているかを確認します。
関連知識
DanielsらのMMTの各筋の評価方法、特にグレード3(重力に抗して全可動域)とグレード2(重力の影響を除去して全可動域)の原則、代償運動を避けるための肢位設定、および各筋の主な作用と機能解剖。