他者の模範行動を観察して、自らの行動変容をきたすようにする治療法はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
モデリング法は、アルベルト・バンデューラの社会的学習理論に基づき、他者(モデル)の行動を観察し、その行動やスキルを学習・獲得する心理療法です。設問にある「他者の模範行動を観察して、自らの行動変容をきたす」という説明は、モデリング法の核心を捉えています。
選択肢ごとの解説
- 1. 系統的脱感作法は、不安や恐怖の対象に段階的に曝露させつつ、リラクセーションを学習することで恐怖反応を軽減する行動療法です。他者の行動を観察して自身の行動を変容させる、という目的とは異なります。正しくは:恐怖や不安を感じる状況に段階的に曝露し、リラクセーション反応を学習させる治療法である。選びやすい理由:行動療法の一種であるため、他の行動療法と混同しやすいかもしれません。混同注意:エクスポージャー療法(暴露療法)と概念が似ていますが、系統的脱感作法はリラクセーションを伴う点が特徴です。
- 2. 行動活性化技法は、うつ病の治療に用いられ、活動量を増やし、快感や達成感を得られる行動を促すことで気分改善を目指します。他者の模範行動の観察は主要な要素ではありません。正しくは:抑うつ状態にある患者の活動量を増やし、快感や達成感を得られる行動を計画・実行するよう促す治療法である。選びやすい理由:「行動変容」という言葉から、行動そのものを変えるこの技法と関連があるように感じるかもしれません。混同注意:認知行動療法の一部として実施されることが多いですが、認知的な側面よりも行動面に焦点を当てています。
- 3. マインドフルネスは、瞑想などを通じて、今この瞬間の自己の思考や感情、身体感覚に気づき、それを判断せずに受け入れる心の状態を育むものです。他者の行動を観察することとは直接的な関連はありません。正しくは:現在の瞬間に注意を向け、思考や感情を評価せずにあるがままに受け入れる心の状態を育む実践である。選びやすい理由:ストレス軽減や精神の安定に効果があり、近年注目されている心理療法の一つであるため、他の療法と並列で出題されると選びやすいかもしれません。混同注意:単なるリラクゼーション法や集中力を高める訓練とは異なり、非判断的な観察が重要な要素です。
- 4. 正解。モデリング法は、観察学習の原理に基づいており、他者の行動を模範として観察し、それを真似ることで新しい行動を獲得したり、既存の行動を変容させたりする治療法です。設問の記述内容と完全に一致します。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:この記述は設問の定義と直接的に合致するため、正答として選びやすいでしょう。混同注意:ロールプレイングと混同することがありますが、モデリングは「観察」が主であり、ロールプレイングは「実際に演じる」ことが主眼となります。
- 5. 問題解決技法は、患者が抱える問題の原因を特定し、複数の解決策を検討し、その中から最適なものを選んで実行するプロセスを構造化して学ぶものです。他者の行動観察は、この技法の主要な要素ではありません。正しくは:個人の抱える問題について、具体的な解決策を段階的に導き出し、実行するためのスキルを習得する治療法である。選びやすい理由:「行動変容」という結果につながるため、間接的に関連があるように感じるかもしれませんが、プロセスが異なります。混同注意:認知行動療法の一環として用いられることがありますが、特定の行動を観察して真似るものではありません。
国試ポイント
理学療法士国家試験において、行動療法や認知行動療法の各技法の基本的な定義と特徴、およびその適用対象を正確に理解しているかが問われます。特に、それぞれの技法がどのようなメカニズムで効果を発揮するのかを区別できる知識が重要です。
混同注意
モデリング法と混同しやすい概念としては、ロールプレイング(役割演技)、シェイピング(段階的接近法)、レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)などがあります。それぞれの技法が強調する要素(観察、実践、段階的強化、刺激と反応の連合)を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された際は、「他者の観察」「模倣」「学習」といったキーワードに注目し、これらが記述されている選択肢がモデリング法に該当すると判断してください。他の選択肢は、それぞれが持つ主要な特徴(例:段階的曝露、活動量の増加、今ここへの注意、問題解決プロセス)と照らし合わせて区別しましょう。
関連知識
モデリング法は、バンデューラが提唱した社会的学習理論(観察学習)を基盤としており、新しい技能の習得、恐怖や不安の軽減、社会的スキルの向上などに用いられます。関連する概念として、系統的脱感作法(恐怖症治療)、行動活性化技法(うつ病治療)、マインドフルネス(ストレス軽減、再発防止)、問題解決技法(認知行動療法の一部)も、それぞれが特定の心理的課題に対応する行動変容アプローチとして理解しておく必要があります。