介護予防事業におけるスクリーニングテストを図に示す。このテストで確認可能なのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
介護予防事業におけるスクリーニングテストとして提示されている図は、『ロコモ度テスト』などのロコモティブシンドロームを評価するための簡易テストに類似しています。ロコモティブシンドロームとは、骨、関節、筋肉などの運動器の障害によって、歩行能力や日常生活動作能力が低下し、要介護状態となるリスクが高い状態を指します。したがって、このテストで確認可能なのはロコモティブシンドロームです。
選択肢ごとの解説
- 1. サルコペニアは筋肉量の減少を指しますが、図に示されたテストは運動器の機能低下全般を評価するものです。筋肉量のみを直接評価するものではありません。正しくは:このテストは運動器の障害が進行し、要介護になるリスクが高い状態を評価するものです。選びやすい理由:高齢者の運動機能低下に関連するため、一見正しそうに見えます。サルコペニアも介護予防の重要な要素です。混同注意:サルコペニアとロコモティブシンドロームは関連が深い概念ですが、このテストはロコモティブシンドロームの簡易評価として開発されたものです。サルコペニアの診断には、より詳細な評価(身体組成分析など)が必要です。
- 2. ダイナペニアは加齢に伴う筋力低下を指しますが、図のテストは筋力だけでなく、バランス能力や移動能力といった運動器機能の複合的な低下を評価するものです。正しくは:このテストは運動器の障害が進行し、要介護になるリスクが高い状態を評価するものです。選びやすい理由:高齢者の運動機能低下に関連するため、これも正しそうに思えるかもしれません。サルコペニアと同様に介護予防の重要な要素です。混同注意:ダイナペニアは筋力低下に特化した概念であり、ロコモティブシンドロームは運動器全体の機能低下を指します。このテストはロコモティブティブシンドロームの評価に用いられます。
- 3. ポストポリオ症候群はポリオ罹患後に遅れて出現する筋力低下や疲労などの症状を指し、その評価に特化したものではありません。図のテストは一般的な高齢者の運動器機能低下をスクリーニングするものです。正しくは:このテストは運動器の障害が進行し、要介護になるリスクが高い状態を評価するものです。選びやすい理由:特定の疾患に関連する症状のため、他の選択肢と異なり、誤りであると判断しやすいかもしれません。混同注意:特定の神経筋疾患であり、広く高齢者全般の運動器機能評価とは異なります。
- 4. メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満を基盤とし、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が複合的に現れる状態を指します。図のテストは運動器の機能評価であり、代謝の状態を直接評価するものではありません。正しくは:このテストは運動器の障害が進行し、要介護になるリスクが高い状態を評価するものです。選びやすい理由:高齢者の健康問題としてよく知られており、介護予防事業でも取り組まれるため、混同しやすいかもしれません。しかし、評価項目が全く異なります。混同注意:生活習慣病の一部であり、運動器の機能とは直接関連しません。検査項目も腹囲、血圧、血糖、脂質などが中心です。
- 5. 正解。図に示されたテストは、ロコモティブシンドロームの簡易スクリーニングとして一般的に用いられる『ロコモ度テスト』の一部または類似の運動器機能評価です。運動器の衰えにより、移動機能の低下をきたし、将来的に要介護状態となるリスクが高い状態であるロコモティブシンドロームを確認する目的で実施されます。
国試ポイント
この問題は、介護予防事業における主要な健康問題の一つである「ロコモティブシンドローム」とそのスクリーニングテストに関する知識を問うものです。運動器の機能評価と関連する疾患・症候群を結びつける能力が求められます。特に、具体的なテスト(例:ロコモ度テスト)の目的を理解しているかがポイントです。
混同注意
サルコペニアやダイナペニアはロコモティブシンドロームを構成する要素ですが、ロコモティブシンドロームはそれらを包括するより広範な概念です。このテストは総合的な運動器機能の低下を評価するため、サルコペニアやダイナペニアのみに限定されません。メタボリックシンドロームは生活習慣病であり、運動器疾患とは異なります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『図がどのような身体機能を評価しているか』を正確に把握し、その機能低下がどのような状態や疾患と関連が深いかを判断する。特に介護予防分野で重視される概念(ロコモ、サルコペニア、フレイルなど)との関連を意識して選択肢を検討する。
関連知識
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で移動機能が低下し、将来的に要介護状態になるリスクが高まる状態を指します。日本では、日本整形外科学会が提唱し、高齢者の健康寿命延伸のための重要な課題とされています。ロコモ度テストは『立ち上がりテスト』『2ステップテスト』『ロコモ25(問診票)』など複数の要素から構成され、ロコモ度1、ロコモ度2という段階で評価されます。