正常成人の立位姿勢で持続的に活動している筋はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
安静立位姿勢では、重心線は足関節のやや前方を通過し、身体には前方に倒れ込む力(背屈モーメント)が持続的に作用します。この倒れ込みを防ぎ、姿勢を安定させるために、足関節の底屈筋であるヒラメ筋が持続的に活動します。ヒラメ筋は遅筋線維の割合が高く、持続的な活動に適した抗重力筋の代表例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 腸腰筋は股関節の屈曲を主に行う筋肉であり、安静立位姿勢を維持するために持続的に活動することは通常ありません。正しくは:腸腰筋は、立位姿勢を維持する目的で持続的に活動する主要な筋肉ではありません。選びやすい理由:立位での姿勢制御には体幹や股関節周囲筋の活動が重要であるため、姿勢筋の一つとして誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:姿勢維持に関わる深部筋や体幹筋と混同することがあります。
- 2. 大殿筋は股関節の伸展を主に行いますが、安静立位姿勢では重力による股関節伸展モーメントが働き、通常は持続的な活動はほとんどありません。重力線が股関節の後方を通るため、主に靭帯や関節包の緊張で安定が保たれます。正しくは:大殿筋は、立位での股関節伸展に主に使われますが、安静立位姿勢では持続的な活動は通常見られません。選びやすい理由:股関節の主要な伸展筋であるため、立位姿勢の維持に重要だと考えやすいです。混同注意:起立動作や階段昇降のような動的な活動時の筋活動と、安静立位での持続的活動を混同しやすいです。
- 3. 大腿四頭筋は膝関節の伸展を主導しますが、安静立位姿勢では重力線が膝関節のやや前方を通るため、膝関節には伸展モーメントがかかります。このため、膝折れを防ぐための持続的な活動は通常ほとんど必要ありません。活動するのは主に姿勢の動揺を抑制する際や、膝関節の過伸展を防ぐ場合です。正しくは:大腿四頭筋は、安静立位姿勢で膝関節を伸展位に保つために持続的に活動することは稀です。選びやすい理由:膝関節の安定性に不可欠な筋肉であり、立位姿勢で膝を伸展位に保つイメージがあるため、選びやすいです。混同注意:動的な活動(歩行の支持期など)や、不安定な立位でのバランス制御時の筋活動と混同しやすいです。
- 4. 大腿二頭筋はハムストリングスの一部で、膝関節の屈曲や股関節の伸展に関与します。安静立位姿勢では、これらの作用のために持続的に活動することは通常ありません。正しくは:大腿二頭筋は、安静立位姿勢を維持するために持続的に活動する主要な筋肉ではありません。選びやすい理由:ハムストリングス全体として姿勢維持に関わるイメージがあるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:大腿二頭筋の機能である膝屈曲や股関節伸展の役割と、安静立位での持続的な活動を混同しやすいです。
- 5. 正解。安静立位姿勢では、重心線が足関節のやや前方を通過するため、身体は前方に傾こうとします(背屈モーメント)。ヒラメ筋は足関節の底屈筋であり、この前方への倒れ込みを防ぐために、持続的に活動して姿勢を安定させる役割を担っています。これは抗重力筋の典型的な例です。
国試ポイント
安静立位姿勢における各関節(足関節、膝関節、股関節)の重力線と筋活動の関係、特に抗重力筋の理解を問う問題です。どの筋肉が姿勢の動揺を制御し、どの筋肉が持続的に活動して安定性を保つかを把握しているかが重要です。
混同注意
腓腹筋、前脛骨筋、ハムストリングス、大腿四頭筋など、下肢の他の主要な筋肉の機能や、動的な動作時(歩行、起立など)の筋活動と混同しやすいです。特に、腓腹筋も底屈筋ですが、膝関節をまたぐため、安静立位での持続的活動はヒラメ筋ほど顕著ではありません。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各関節(足関節、膝関節、股関節、体幹)における重力線と主要な抗重力筋の対応、および姿勢動揺に対する筋活動パターン(例:足関節戦略における前脛骨筋とヒラメ筋の交互活動)を問う問題に注意してください。
関連知識
抗重力筋、姿勢制御、重心線、モーメントアーム、筋の種類(遅筋・速筋)、姿勢動揺(postural sway)、足関節戦略、股関節戦略。