アミロイドの沈着がみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
アルツハイマー病の主要な病理学的特徴の一つは、アミロイドβタンパク質が脳内に異常に沈着し、老人斑を形成することです。このアミロイド沈着は、神経細胞死や認知機能低下に深く関わっていると考えられています。他の選択肢の疾患は、それぞれ異なる病理学的メカニズムや異常タンパク質が関与しており、アミロイド沈着が主な病態ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβタンパク質が異常に蓄積し、老人斑を形成することが病態の主要な特徴の一つです。このアミロイド沈着が神経細胞の機能障害や死滅に深く関与していると考えられています。
- 2. ハンチントン病は、ハンチンチンというタンパク質の遺伝子におけるポリグルタミン鎖の異常伸長が原因で、この異常タンパク質が凝集することによって神経細胞が変性する疾患です。アミロイド沈着は主要な病態ではありません。正しくは:ハンチントン病は、ポリグルタミン鎖の異常伸長を持つハンチンチンタンパク質の凝集が特徴です。選びやすい理由:遺伝性の神経変性疾患であり、脳の変性が起こる点で混同しやすいかもしれません。混同注意:他の遺伝性神経変性疾患や、特定のタンパク質が関与する疾患と混同されることがあります。
- 3. ピック病は、主にタウタンパク質の異常な蓄積によって形成されるピック小体が特徴的な病理所見です。アミロイド沈着は主要な病態ではありません。正しくは:ピック病は、タウタンパク質からなるピック小体の出現が特徴です。選びやすい理由:アルツハイマー病と同じく認知症の原因疾患であるため、関連する病理が似ていると誤解されやすいです。混同注意:タウオパチー(タウタンパク質異常症)の一つですが、アルツハイマー病とアミロイドの関与の度合いが異なります。アルツハイマー病はアミロイド沈着とタウ蓄積の両方が見られますが、ピック病はタウ蓄積が主です。
- 4. ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって引き起こされる急性脳症であり、アミロイド沈着は病態に全く関与しません。正しくは:ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1欠乏によって引き起こされる脳障害です。選びやすい理由:脳の機能障害を伴う疾患であるため、神経変性疾患と混同される可能性があります。混同注意:栄養障害による脳疾患と、タンパク質異常による神経変性疾患の区別が曖昧な場合。
- 5. 多発性硬化症は、中枢神経系の自己免疫疾患であり、ミエリン鞘が破壊される「脱髄」が特徴です。アミロイド沈着とは関係がありません。正しくは:多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄性疾患で、自己免疫反応によりミエリン鞘が障害されます。選びやすい理由:神経系の疾患全般、特に変性や炎症を伴う疾患として、名称からくるイメージで混同されるかもしれません。混同注意:神経変性疾患と炎症性・自己免疫性疾患の区別。
国試ポイント
神経変性疾患の病理学的特徴(異常タンパク質の種類、沈着部位、主な病態など)は国家試験で頻繁に問われます。特にアルツハイマー病のアミロイドβとタウ、パーキンソン病のαシヌクレイン、ハンチントン病のハンチンチンタンパクなどは重要です。疾患名と、その疾患に特徴的な異常タンパク質や病理所見を結びつけて覚える必要があります。
混同注意
アルツハイマー病におけるアミロイドβとタウタンパク質の二つの主要な病理を混同しないこと。また、他の神経変性疾患(例:パーキンソン病のレビー小体、ピック病のピック小体)との病理学的特徴を明確に区別することが重要です。アミロイドーシス全般と、脳のアミロイド沈着を区別することも問われることがあります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず各疾患の主たる病理学的特徴(どのタンパク質が、どのような形態で、どこに沈着するか)を明確に区別できているかを確認する。特に、認知症を引き起こす疾患群において、アミロイド、タウ、αシヌクレインなどの異常タンパク質の関連性を把握していることが重要です。
関連知識
タウオパチー(アルツハイマー病、ピック病、進行性核上性麻痺など)、シヌクレイノパチー(パーキンソン病、レビー小体型認知症など)、ポリグルタミン病(ハンチントン病、脊髄小脳変性症の一部など)、アミロイドーシスの全身疾患と局所性アミロイドーシス。