図に示す姿勢のうち、労働災害予防を目的とした動作指導で適切な作業姿勢はどれか。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
選択肢5は、膝を曲げてしゃがみ込み、対象物に近づいて作業しているため、腰部への負担が少なく、労働災害、特に腰痛を予防する上で最も適切な姿勢です。腰椎への負荷を軽減し、安定した体勢で作業が可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 背中が丸まり、椅子に浅く座っているため、腰椎への負担が大きい不適切な姿勢です。特に長時間の作業では腰痛のリスクが高まります。正しくは:深く座り、背もたれに背中をしっかりつけ、足裏が床につくように椅子の高さを調整し、必要であればフットレストを使用する。選びやすい理由:一見リラックスした姿勢に見えるかもしれませんが、体幹の支持が不十分で、腰椎に過度な負担がかかります。混同注意:正しい座位姿勢。正しい座位姿勢は骨盤がニュートラルポジションを保ち、脊柱の生理的彎曲が維持される姿勢です。
- 2. 腰を大きく前屈させて机の上の物に手を伸ばす姿勢は、腰椎に大きな剪断力と圧迫力がかかり、腰痛の原因となりやすい不適切な姿勢です。正しくは:作業対象に近づき、体幹を立てて腕を伸ばす。あるいは、机の高さを調整し、無理のない姿勢で作業できるようにする。選びやすい理由:手が届く範囲にある物を取る際に無意識にとりやすい姿勢ですが、腰への負担を考慮していません。混同注意:適切なリーチ動作。適切なリーチ動作は、体幹を安定させ、必要に応じて踏み出したり、台を使用したりして、無理のない範囲で行われます。
- 3. 背伸びをして棚の上の物を取る姿勢は、不安定な体勢でバランスを崩しやすく、転落や物の落下による事故のリスクがあります。また、肩や首への負担も大きいです。正しくは:踏み台や脚立を使用して、目の高さで安全に作業できる高さまで体を持ち上げる。選びやすい理由:短時間の作業であれば行いがちですが、重心が高くなり不安定であるため、転倒リスクが高まります。混同注意:適切な高所作業。適切な高所作業は、安定した足場を確保し、重心を低く保ちながら行われるべきです。
- 4. 腰をかがめて重い物を持ち上げようとする姿勢は、腰椎に最も大きな負担をかける代表的な不適切な姿勢です。椎間板ヘルニアなどの腰部疾患のリスクが非常に高いです。正しくは:膝を曲げて腰を落とし、物を体に近づけて、膝と股関節の力を使って持ち上げる(スクワットの要領)。選びやすい理由:特に急いでいる時や物が軽いと感じる時に無意識にとりがちな姿勢ですが、腰椎への負荷は想像以上に大きいです。混同注意:正しい物の持ち上げ方。正しい持ち上げ方では、膝と股関節を主体に使い、腰椎の生理的彎曲を保ちます。
- 5. 正解。膝を曲げてしゃがみ込み、対象物に近づいて作業しているため、腰椎への負担が少なく、安定した体勢で作業が可能です。これは労働災害予防のための適切な作業姿勢です。選びやすい理由:この姿勢は腰への負担が少ないだけでなく、体幹を安定させ、バランスを保ちやすいという利点があります。混同注意:背筋を伸ばし、膝を深く曲げることで、腰部の負担を最小限に抑えつつ、大腿四頭筋などの下肢の大きな筋肉を使って作業負荷を分散させます。
国試ポイント
労働災害予防のための正しい作業姿勢、特に腰部への負担軽減に関する知識が問われています。身体の重心と作用点の位置関係、関節の適切な使い方を理解することが重要です。
混同注意
前屈みでの作業(選択肢2、4)と、膝を曲げて重心を下げた作業(選択肢5)の区別が混同しやすいです。前屈みは腰椎への剪断力が増大しやすく、腰痛リスクを高めます。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合は、身体の重心が安定しているか、脊柱(特に腰椎)に不必要な負担がかかっていないか、関節が自然な位置にあるか、という点に着目して判断します。
関連知識
重い物を持ち上げる際の原則:膝を使い、腰を落とし、対象物を体に近づけて持ち上げる。腕だけで持ち上げたり、腰をかがめて持ち上げたりしない。不自然な体勢での長時間作業は避ける。