図に示す姿勢のうち、労働災害予防を目的とした動作指導で適切な作業姿勢はどれか。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
選択肢5のしゃがむ姿勢は、脊柱をほぼ垂直に保ち、股関節と膝関節を深く曲げることで、物の持ち上げや低い位置での作業時に腰への負担を最小限に抑えます。この姿勢は、重心を低く保ち、大腿四頭筋や臀筋といった大きな筋肉群を使うことで、腰部の筋力のみに頼ることを避け、腰痛などの労働災害予防に最も効果的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 深く座りすぎているため、腰椎の生理的湾曲が失われ(後弯)、腰に負担がかかる可能性があります。また、背もたれのない椅子であるため、長時間の作業には不適切です。正しくは:背もたれのある椅子に深く座り、足裏全体が床につくように椅子の高さを調節し、腰椎の生理的湾曲を保つ姿勢が良いでしょう。必要に応じてクッションを使用することも有効です。選びやすい理由:一見、座っている姿勢は楽そうに見えますが、腰椎への負担を考慮すると必ずしも適切ではありません。混同注意:適切な座位姿勢。背筋を伸ばし、骨盤を立てて座る姿勢と混同しやすいです。
- 2. 腰をかがめて作業しており、腰椎に大きな負担がかかる姿勢です。特に、上体を前傾させることで、腰部の筋肉や椎間板への圧迫が増大します。正しくは:作業台の高さを作業者に合わせ、腰をかがめずに作業できる高さに調整するか、作業台に近づき、膝を軽く曲げて作業することが望ましいです。選びやすい理由:一般的な作業姿勢として見慣れているため、無意識に選択しやすい可能性があります。短時間の作業であれば問題ないと考える人もいるかもしれません。混同注意:少し前かがみになる程度の姿勢と、深く前屈する姿勢の区別。
- 3. 腕を伸ばして高い位置にある物を取ろうとしており、肩や首、背中への負担が大きい姿勢です。また、不安定な体勢で物を取ろうとすると転倒のリスクもあります。正しくは:踏み台などを使用して、物の高さに目線を合わせ、体全体で安全に取れるようにすることが重要です。腕を無理に伸ばすのは避けるべきです。選びやすい理由:日常生活でよくある動作であるため、特に問題視しない人もいるかもしれません。すぐに手が届くという安易さから選びやすいです。混同注意:適切なリーチ範囲での作業姿勢。安全な高さで作業することと、無理に手を伸ばすことの区別。
- 4. 膝を曲げずに腰を深くかがめて物を持ち上げようとしており、腰椎に非常に大きな負担がかかります。これは腰痛の原因となる典型的な不適切な姿勢です。正しくは:膝を深く曲げてしゃがみ込み、物と体を近づけ、大腿の筋肉を使って持ち上げるようにします。背筋は伸ばし、腰に負担をかけないようにすることが重要です。選びやすい理由:立ったまま簡単に物を持ち上げようとする心理が働きやすく、膝を曲げるのが面倒だと感じるため、選びやすい選択肢です。混同注意:正しい物の持ち上げ方。スクワットのように膝を曲げて持ち上げる方法と混同しやすいです。
- 5. 正解。膝と股関節を十分に屈曲させ、しゃがむことで脊柱の生理的湾曲を保ちながら低い位置での作業を行っています。これにより、腰椎への負担を最小限に抑え、大腿の大きな筋肉を使うことができるため、労働災害予防に最も適切な姿勢です。選びやすい理由:深くしゃがむ姿勢は、膝への負担が大きいと感じることがあるため、他の選択肢と迷う場合があります。しかし、腰部への負担軽減という観点からは最も優れています。混同注意:中腰姿勢。中腰は腰を少し曲げる程度ですが、この選択肢は完全にしゃがみ込んでおり、腰への負担が格段に少ないです。
国試ポイント
労働災害予防のための適切な作業姿勢に関する知識が問われています。特に、腰部への負担を軽減する姿勢、すなわち「腰を落とす」「膝を使う」姿勢が重要です。
混同注意
前屈位と中腰の区別が重要です。前屈位は腰椎に大きな負担がかかり、中腰は股関節と膝関節を適切に使うことで腰への負担を減らすことができます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、脊柱の湾曲度合い、膝や股関節の屈曲度合い、および物と体との距離に着目し、腰椎への負担が最も少ない姿勢がどれであるかを判断します。
関連知識
重い物を持ち上げる際は、物と体を近づけ、重心を低くし、膝を曲げて腰を落とし、大腿の筋肉を使って持ち上げることが推奨されます。また、作業台の高さや椅子の高さを調整することも、適切な作業姿勢を維持するために重要です。