肝不全でみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
肝不全では、肝臓におけるアルブミン合成能力の低下により、血中のアルブミン濃度が低下(低アルブミン血症)します。これにより血管内の膠質浸透圧が低下し、血管外への水分漏出が促進されます。また、肝硬変に伴う門脈圧亢進症も腹水貯留の主要な原因となります。これらの機序により、腹腔内に過剰な水分が溜まる腹水貯留が高頻度で認められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝不全で見られる中枢神経系の異常は肝性脳症であり、これは肝臓でのアンモニア代謝障害が原因で起こる意識障害を主徴とする状態です。脳炎は脳組織の炎症であり、直接的に肝不全の症状ではありません。正しくは:肝性脳症選びやすい理由:肝性脳症と似ているように聞こえるため、選んでしまう可能性があります。どちらも脳に影響を与えるため混同しやすいです。混同注意:肝性脳症と脳炎
- 2. 裂肛は肛門の皮膚が裂ける状態であり、肝不全と直接的な関連は通常ありません。肝不全では、食道静脈瘤破裂による吐血や下血などの消化器出血リスクは高まりますが、裂肛とは異なります。正しくは:食道静脈瘤破裂による吐血選びやすい理由:消化器系の症状という点で連想するかもしれませんが、直接的な症状ではありません。混同注意:消化器系の他の出血症状
- 3. 正解。肝不全では、肝臓でのアルブミン合成能の低下による低アルブミン血症(膠質浸透圧の低下)と、門脈圧亢進症による毛細血管からの漏出が主な原因となり、腹腔内に水分が貯留する腹水が頻繁にみられます。
- 4. 肝不全では、肝臓でのトロンボポエチン産生低下や脾機能亢進症(脾腫による血小板破壊の促進)により、血小板数はむしろ減少することが多いです。血小板増加は一般的に見られません。正しくは:血小板減少選びやすい理由:凝固因子異常が起こりやすい疾患であるため、血球成分の異常を疑うのは正しいですが、方向性が逆です。混同注意:凝固因子の異常や他の血液疾患による血小板増多症
- 5. 肝臓はアルブミンを合成する主要な臓器です。肝不全では、肝機能の低下によりアルブミンの合成能力が落ちるため、血中のアルブミン濃度は低下し、低アルブミン血症を呈します。高アルブミン血症は見られません。正しくは:低アルブミン血症選びやすい理由:肝臓が関連する重要な物質であるため、アルブミンに関する選択肢は注意を引きますが、その変化の方向性が逆です。混同注意:血漿タンパク質の総量変化と、アルブミン・グロブリンといった個別のタンパク質の変化
国試ポイント
肝不全の主要な臨床症状や病態生理を理解しているか問う問題です。特に、低アルブミン血症と門脈圧亢進症に起因する症状が重要です。血球成分の変化や中枢神経症状など、他の全身症状との区別も求められます。
混同注意
肝不全は多臓器に影響を及ぼすため、多くの症状が関連します。特に肝性脳症と脳炎、低アルブミン血症と高アルブミン血症、血小板減少と血小板増加など、類似の用語や逆の病態との混同に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
肝不全の病態生理について、主要な症状とそれに関連する検査値(例: アルブミン、アンモニア、プロトロンビン時間、ビリルビン、血小板数)を問う問題が出題される可能性があります。また、肝性脳症の具体的な症状や治療法についても問われるかもしれません。
関連知識
肝不全の他の症状として、黄疸、肝性脳症、出血傾向(凝固因子産生低下)、低血糖、腎機能障害(肝腎症候群)などがあります。これらの病態生理も合わせて理解することが重要です。