糖尿病性神経障害に特徴的な所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
糖尿病性多発神経障害は、末梢神経が障害されることで起こります。この障害は特に足先などの体の末端から始まり、左右対称性に感覚が鈍くなる、しびれる、痛むといった症状が現れます。足首から下腿にかけて靴下を履いたような範囲で感覚が障害される『靴下型感覚障害』は、その代表的な特徴です。深部腱反射は低下または消失し、筋力低下も遠位から出現します。自律神経障害は合併しますが、過反射というより機能低下が主です。
選択肢ごとの解説
- 1. 糖尿病性神経障害は、通常は時間をかけてゆっくりと進行する慢性的な合併症です。急激な発症は稀であり、他の疾患や急性の合併症で多く見られます。正しくは:症状はゆっくりと進行する選びやすい理由:急性増悪や特定の急性疼痛性神経障害といったケースも存在するため、『神経障害』という言葉から急性の問題を連想しやすいかもしれませんが、一般的な糖尿病性神経障害の経過ではありません。混同注意:ギラン・バレー症候群などの急性炎症性脱髄性多発神経炎の急激な発症と混同しやすいです。
- 2. 糖尿病性神経障害には自律神経障害が含まれますが、これは自律神経機能の低下や調節障害が主体であり、『過反射』という表現は一般的ではありません。特に、脊髄損傷などで見られる『自律神経過反射(autonomic dysreflexia)』とは病態が異なります。正しくは:自律神経機能の低下や調節障害選びやすい理由:糖尿病性神経障害に自律神経障害が含まれることは事実であるため、言葉の響きから選択肢を選んでしまいやすいかもしれません。混同注意:脊髄損傷患者に見られる『自律神経過反射』や、糖尿病性自律神経障害の具体的な症状(起立性低血圧、排尿障害など)と混同しやすいです。
- 3. 糖尿病性神経障害では、末梢神経の障害により深部腱反射は低下するか、最終的には消失するのが典型的です。特にアキレス腱反射から障害されることが多いです。深部腱反射の亢進は、中枢神経系の障害で見られる所見です。正しくは:深部腱反射の低下または消失選びやすい理由:神経系の問題全般で反射の変化があるという認識から、亢進を誤って選ぶ可能性があります。混同注意:脳血管疾患や脊髄疾患などの中枢神経障害による深部腱反射亢進と混同しやすいです。
- 4. 正解。糖尿病性多発神経障害の最も典型的な所見であり、左右対称性で遠位優位性(足先から始まり、徐々に上方に広がる)の感覚障害を特徴とします。これは『手袋・靴下型(stocking-glove type)』と表現されます。
- 5. 糖尿病性多発神経障害による筋力低下は、通常、遠位の筋肉(足趾や足関節周囲)から始まり、進行すると近位にも及ぶことがあります。しかし、初期の典型的な所見は遠位優位性であり、近位筋優位の筋力低下は糖尿病性筋萎縮症(糖尿病性アミロトロフィー)のような稀な病態でみられることがあります。正しくは:遠位筋優位の筋力低下選びやすい理由:筋力低下自体は神経障害で起こりうる症状であるため、その部位の区別を見落として選択してしまう可能性があります。混同注意:多発性筋炎や皮膚筋炎、ステロイドミオパチーなどの筋疾患、または一部の神経根障害による近位筋優位の筋力低下と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、糖尿病性神経障害、特に最も頻度が高い糖尿病性多発神経障害の典型的な臨床像と、他の神経疾患や中枢神経障害との鑑別点に関する基本的な知識を問うものです。遠位優位性、左右対称性、『手袋・靴下型』といったキーワードを理解しているかが重要です。
混同注意
自律神経過反射(脊髄損傷)、深部腱反射の亢進(中枢神経障害)、近位筋優位の筋力低下(筋疾患、一部の神経根障害、糖尿病性アミロトロフィー)と混同しやすいです。また、急激な発症は他の急性神経疾患(ギラン・バレー症候群など)の特徴です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、まず『遠位優位性』『左右対称性』『進行性』といったキーワードに注目し、感覚障害の種類(特に『靴下型』や『手袋型』)や腱反射の変化(低下・消失)、筋力低下の分布(遠位か近位か)を確認しましょう。また、急激な発症なのか緩徐な発症なのかも重要な判断材料です。
関連知識
糖尿病性神経障害には、多発神経障害の他に、自律神経障害(起立性低血圧、排尿・排便障害、胃不全麻痺など)、単神経障害(眼筋麻痺、顔面神経麻痺など)、根性神経障害(糖尿病性アミロトロフィーなど)があります。それぞれの障害部位と症状を理解することが重要です。