病原体と腫瘍発生との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
A型肝炎ウイルスは急性肝炎を引き起こしますが、慢性化することはないため、肝細胞癌の原因とはなりません。肝細胞癌の主な原因ウイルスはB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスです。他の選択肢は、それぞれが引き起こす腫瘍との関連が医学的に確立されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。A型肝炎ウイルスは急性肝炎を引き起こしますが、慢性化することはなく、肝細胞癌の直接的な原因とはなりません。肝細胞癌の主な原因はB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコールの過剰摂取、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などです。正しくは:A型肝炎ウイルスではなく、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが肝細胞癌の原因となります。選びやすい理由:肝炎ウイルスと癌の関連性は知られているため、深く考えずに「肝炎ウイルスだから肝臓の癌」と連想しやすいです。混同注意:B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)と混同しやすいです。これらは慢性肝炎から肝硬変を経て肝細胞癌へと進行するリスクを高めます。
- 2. EBウイルスはBurkittリンパ腫の原因の一つとして確立されています。特にアフリカ型Burkittリンパ腫との関連が強いです。選びやすい理由:病原体と癌の組み合わせが数多くあるため、個々の関連性を正確に覚えていないと、誤った選択肢として選んでしまう可能性があります。混同注意:EBウイルスは伝染性単核球症のほか、上咽頭癌やホジキンリンパ腫との関連も知られています。
- 3. HTLV-Iは成人T細胞白血病(ATL)の直接的な原因ウイルスであり、この関連性は明確です。選びやすい理由:HTLV-Iは神経疾患(HTLV-I関連脊髄症:HAM)も引き起こすため、癌との関連が薄いと感じて誤った選択肢と考えるかもしれません。混同注意:HTLV-IIなど他のレトロウイルスと混同する可能性があります。
- 4. 高リスク型のHPVは子宮頸癌の主要な原因であり、その関連性は非常に強いです。HPVワクチンはこの癌の予防に有効です。選びやすい理由:HPVは疣贅(いぼ)の原因としても知られているため、癌との関連性がピンとこない人もいるかもしれません。混同注意:HPVには多数の型があり、すべての型が子宮頸癌の原因になるわけではありません。高リスク型(例:16型、18型)が癌化に関与します。
- 5. ヘリコバクター・ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍を引き起こし、胃MALTリンパ腫や胃癌のリスクを著しく高めることが知られています。WHOはピロリ菌を明確な発癌物質と認定しています。選びやすい理由:細菌が癌を引き起こすという概念になじみが薄い場合、この選択肢を誤りだと判断するかもしれません。混同注意:胃癌の原因はピロリ菌だけでなく、塩分の過剰摂取や喫煙なども関与しますが、ピロリ菌の関与は特に重要です。
国試ポイント
病原体とそれに関連する腫瘍の組み合わせに関する基本的な知識が問われています。特に、特定のウイルスや細菌がどの癌に関与するかを正確に理解しているかが試されます。
混同注意
各病原体がどの臓器の、どの種類の腫瘍と関連しているかを混同しやすいです。特に肝炎ウイルスのように型によって慢性化と癌化のリスクが異なる点に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、各病原体の特性(DNA/RNAウイルス、細菌など)、感染経路、引き起こす病態(急性/慢性、炎症など)、そしてどの臓器のどのような種類の腫瘍と関連が深いかを複合的に確認する必要があります。特に、癌化の直接的な原因となるか、リスク因子となるかの区別も重要です。
関連知識
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)、ヘリコバクター・ピロリ菌などが引き起こす癌とそのメカニズム。発がんプロセスの多段階説。