75歳の女性。左膝痛を訴え、関節可動域が伸展-10°、屈曲95°に制限されている。来院時のエックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。膝関節拘縮に対する治療で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
膝関節拘縮に対する伸張運動では、他の関節の代償運動を防ぎ、目的の関節に効果的な負荷を集中させるために、非対象部位をしっかりと固定することが重要です。大腿部を固定することで、膝関節の屈曲拘縮に対して、下腿を伸展方向に誘導する際に、大腿骨に対して下腿骨が適切に動くように促すことができます。これにより、安定した状態で安全かつ効果的に伸張を加えることが可能になります。
選択肢ごとの解説
- 1. CPMは術後の早期可動域改善に有効ですが、疼痛や拘縮が強い症例では、無理な他動運動は炎症を悪化させる可能性があります。特に疼痛のある関節拘縮治療の初期段階では、必ずしも第一選択ではありません。正しくは:CPMは疼痛が落ち着いた段階で、可動域維持・改善のために使用を検討する。選びやすい理由:CPMは関節可動域訓練の代表的な方法であるため、選択肢として魅力的です。混同注意:CPMと徒手的な関節モビライゼーション、または自己運動との区別。
- 2. 正解。膝関節拘縮に対する伸張運動では、目的とする関節(この場合は膝)以外が動かないように固定することが重要です。大腿部を固定することで、膝関節への効果的な伸張が可能となり、他の部位への負担を軽減できます。正しくは:選択肢の記述で正しい。選びやすい理由:「固定」という言葉が少し強い印象を与えるかもしれませんが、拘縮改善には効果的な方法です。混同注意:単に下腿を引くようなストレッチと、大腿部固定による膝関節への集中した伸張の違い。
- 3. 疼痛を伴うレベルの矯正力は、かえって筋スパズムを引き起こし、炎症を悪化させ、拘縮を増強させる可能性があります。治療は患者の痛みの閾値を超えない範囲で行うべきです。正しくは:痛みが生じない範囲、または軽い痛みを感じる程度の矯正力に留める。選びやすい理由:「矯正力」という言葉から、強い介入が必要だと誤解しやすい。混同注意:効果を出すための「痛み」と、組織損傷につながる「痛み」の区別。
- 4. 動的膝装具(例:スプリントやダイナミックスプリント)は、持続的かつ低負荷で伸張を加えることで、膝関節拘縮の改善に非常に有効な治療法の一つです。積極的な使用が推奨されます。正しくは:動的膝装具は積極的に利用を検討する。選びやすい理由:装具は「固定」のイメージが強く、動かす治療には適さないと誤解する可能性がある。混同注意:静的装具と動的装具の違い、または単なるサポーターとの違い。
- 5. 連続ギプス法では、数日から1週間ごとにギプスを巻き替えながら少しずつ矯正位を強めます。1日ごとに矯正を強めることはしません。正しくは:連続ギプス法では、数日〜1週間に数度ずつ、段階的に矯正位を強める。選びやすい理由:「連続ギプス法」が有効な治療法であることは知っていても、具体的なプロトコルまでは詳しくない場合がある。混同注意:連続ギプス法の目的(持続的低負荷伸張)と、その具体的な適用方法。
国試ポイント
本問題は、膝関節拘縮に対する理学療法介入の基本的な知識と、特に伸張運動の原則、禁忌事項、そして有効な補助具の理解を問うものです。X線画像から変形性膝関節症による拘縮の存在を読み取り、適切な治療法を選択する臨床推論能力も含まれます。
混同注意
関節拘縮に対する治療は、急性期、慢性期、炎症の有無、疼痛の程度によって大きく異なります。特に、疼痛を伴う拘縮への介入は慎重さが求められ、無理な治療は逆効果となる危険性があることを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、関節拘縮の病態(原因、疼痛の有無、急性期/慢性期)を把握し、それに応じた適切な治療原則(例:疼痛がある場合は低負荷・持続的、痛みが落ち着いていれば積極的介入)を適用できるかどうかが問われます。特に、徒手療法、装具療法、運動療法のそれぞれの特性と具体的な適用方法に関する理解が重要になります。
関連知識
関節モビライゼーション、ストレッチングの種類と効果、装具療法(静的/動的スプリント)、CPMの適用と禁忌、疼痛管理。