歩行パターンを図に示す。筋力低下を生じている筋はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
図に示される歩行パターンは、立脚期に体幹を後方に大きく傾けることで、股関節の伸展モーメントを代償しようとする「大殿筋歩行」の特徴を示している。この動きは、股関節の主たる伸展筋である大殿筋の筋力低下を補うために生じる。
選択肢ごとの解説
- 1. 下腿三頭筋の筋力低下は、立脚後期での踵離地の困難や推進力の低下として現れることが多い。正しくは:下腿三頭筋の筋力低下では、通常、立脚後期での踵離地が困難となり、足関節の底屈力も弱まる。選びやすい理由:歩行異常全般に対する知識が曖昧だと、どの筋がどの相で影響するかを特定しにくい。混同注意:他の足関節周囲筋の機能不全と混同しやすい。
- 2. 前脛骨筋の筋力低下は、遊脚期でのクリアランス障害(垂れ足、foot drop)や、踵接地時の足底接地速度の制御不能として現れることが多い。正しくは:前脛骨筋の筋力低下は、遊脚期に足先が下垂し、つまずきやすくなる(垂れ足)。選びやすい理由:歩行の各相における筋の役割を十分に理解していないと、鑑別が難しい。混同注意:下腿三頭筋の機能不全や他の足関節周囲筋の問題と混同しやすい。
- 3. 正解。大殿筋の筋力低下があると、立脚初期(踵接地直後)に体幹を後方に反らすことで重心線を股関節の後方に移動させ、股関節伸展位を保持しようとする(大殿筋歩行)。これは、股関節伸展筋力不足を代償する動きである。
- 4. 中殿筋の筋力低下は、立脚期に骨盤が支持側とは反対側に傾く(トレンデレンブルグ徴候)ことで特徴づけられる(中殿筋歩行)。正しくは:中殿筋の筋力低下では、立脚期に非支持側の骨盤が下垂する。選びやすい理由:大殿筋と同じ殿筋群であるため、混同しやすい。混同注意:大殿筋歩行(体幹後方傾斜)と中殿筋歩行(骨盤側方傾斜)の所見を混同しやすい。
- 5. 長内転筋を含む股関節内転筋群の筋力低下は、股関節の外転傾向や、遊脚期に下肢を振り出す際の運動制御の不安定さとして現れることがあるが、図に示されるような体幹後方傾斜の直接的な原因とはなりにくい。正しくは:股関節内転筋群の筋力低下は、主に下肢の安定性や振り出し時の制御に影響を与える。選びやすい理由:股関節周囲の他の筋と混同しやすい。混同注意:股関節の外転筋群との機能的拮抗を誤解しやすい。
国試ポイント
歩行異常の種類と、その原因となる筋力低下の関係性を問う問題。特に、特徴的な歩行パターン(大殿筋歩行、中殿筋歩行、垂れ足歩行など)と、それに対応する主要な筋の知識が求められる。
混同注意
大殿筋歩行(体幹後方傾斜)と中殿筋歩行(トレンデレンブルグ徴候)の鑑別がポイント。両者とも殿筋群の筋力低下によるが、動きの様式が異なるため、図からの正確な判読が重要となる。また、足関節周囲の筋力低下による歩行異常との鑑別もよく問われる。
次に同じ論点が出たら
同様の歩行パターン問題が出題された場合、まず『どの相で、どのような特徴的な動きが見られるか』を正確に観察する。次に、その動きを代償している、あるいはその動きを引き起こしている主要な筋は何かを考える。特に、体幹や骨盤の異常な動きには、股関節や体幹の筋力低下が関与している可能性が高い。
関連知識
各関節の主要な動きに関わる筋群とその作用。歩行周期の各相(立脚相、遊脚相)における主要な筋の活動と役割。代償運動のメカニズム。