肩甲骨に対する前鋸筋と僧帽筋上部線維の作用で共通するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肩甲骨の上方回旋は、肩関節の屈曲や外転といった上肢の広範囲な運動を可能にするために不可欠な動きです。前鋸筋は肩甲骨の外転および上方回旋の主要な筋であり、関節窩を上方へ向けます。僧帽筋上部線維は肩甲骨の挙上と上方回旋に寄与し、肩甲骨の外側への回転を補助します。この両筋の共同作用により、肩甲骨は上方回旋します。
選択肢ごとの解説
- 1. 前鋸筋には下制作用はほとんどなく、主に上方回旋と外転に作用します。僧帽筋上部線維は挙上と上方回旋に作用するため、両者に共通する下制作用はありません。正しくは:肩甲骨の下制作用は、僧帽筋下部線維や小胸筋などが担います。選びやすい理由:肩甲骨の運動は複数の筋が協調・拮抗して働くため、個々の筋の作用を混同しやすいです。混同注意:僧帽筋下部線維や小胸筋、広背筋などの下制筋の作用と混同する可能性があります。
- 2. 僧帽筋上部線維は肩甲骨の挙上作用を持ちますが、前鋸筋には挙上作用はありません。前鋸筋は外転作用を主とします。したがって、両者に共通する作用ではありません。正しくは:前鋸筋と僧帽筋上部線維に共通する挙上作用はありません。挙上作用は主に僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、菱形筋などが担います。選びやすい理由:僧帽筋上部線維の主要な作用の一つであるため、部分的に正しいと誤解する可能性があります。混同注意:僧帽筋上部線維の単独作用と、両筋の共通作用を区別できていない場合に誤って選択しやすいです。
- 3. 前鋸筋は肩甲骨を外転(脊柱から離す動き)させる作用を持ちます。僧帽筋上部線維は挙上・上方回旋作用が主であり、内転作用は強くありません。両者に共通の内転作用はありません。正しくは:前鋸筋は外転作用を持ちます。肩甲骨の内転は、主に僧帽筋中部線維や菱形筋の作用です。選びやすい理由:肩甲骨の動きを外転と内転で混同しやすいことや、僧帽筋の作用を全体としてとらえ、各線維の役割を区別できていない場合に選びやすいです。混同注意:前鋸筋の拮抗筋である菱形筋や、僧帽筋中部線維の作用と混同する可能性があります。
- 4. この動きは肩甲骨の下方回旋を指しますが、前鋸筋も僧帽筋上部線維も上方回旋に作用する筋です。両者に下方回旋の作用はありません。正しくは:前鋸筋と僧帽筋上部線維は上方回旋に寄与します。下方回旋は、主に小胸筋、肩甲挙筋、菱形筋などが担います。選びやすい理由:肩甲骨の回旋運動は方向を混同しやすく、上方回旋と下方回旋のどちらかを判断しづらい場合に誤りやすいです。混同注意:小胸筋、肩甲挙筋、菱形筋といった下方回旋筋の作用と混同する可能性があります。
- 5. 正解。この動きは肩甲骨の上方回旋を指します。前鋸筋は肩甲骨を外転させるとともに、関節窩を上方に向ける主要な上方回旋筋です。僧帽筋上部線維も肩甲骨を挙上させながら、外側への回転を補助し、上方回旋に寄与します。これら両筋は肩関節の屈曲・外転時に共同して上方回旋を行います。
国試ポイント
肩甲骨の運動に関わる各筋の具体的な作用(挙上、下制、内転、外転、上方回旋、下方回旋)を正確に理解しているかが問われる問題です。特に、複数の筋が共同して行う運動は、その機能的意義と合わせて出題されやすい傾向があります。肩関節の機能解剖学は臨床的にも重要であり、基礎知識として頻出します。
混同注意
肩甲骨の回旋運動(上方回旋と下方回旋)に関わる筋群は特に混同しやすいポイントです。また、前鋸筋と菱形筋(外転と内転)、および僧帽筋の各線維(上部、中部、下部)の異なる作用を区別することも重要です。
次に同じ論点が出たら
「肩甲骨の〇〇運動に作用する筋は?」という問題が出た場合、まずその運動が具体的にどのような方向の動きであるかを正確に把握します。次に、その動きに関わる主要な筋を複数想起し、選択肢の中から最も適切な筋、または共同作用を持つ筋を選びます。同時に、その運動の拮抗筋の作用も理解しておくことで、より確実に正解を導き出せます。
関連知識
前鋸筋は長胸神経に支配され、麻痺すると翼状肩甲の原因となります。僧帽筋は副神経(第XI脳神経)に支配され、上部線維は挙上と上方回旋、中部線維は内転、下部線維は下制と上方回旋に作用します。肩甲上腕リズムという上腕骨と肩甲骨の協調運動も、肩甲骨の上方回旋が上腕の屈曲・外転に必須であることを示しています。