60歳の女性。心不全。運動療法中に心室期外収縮が確認された。このときの心電図(別冊No. 1)を別に示す。この心室期外収縮について正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心室期外収縮は、洞結節からの刺激が心室に到達する前に、心室内の異常な部位から発生する電気的興奮です。そのため、正常な心拍周期よりも早いタイミングでQRS波が出現するという特徴があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 3段脈とは、規則的な2つの正常な拍動に続き、1つの期外収縮が繰り返されるリズムを指します。下に示す心電図では、期外収縮が不規則に出現しており、3段脈のパターンではありません。正しくは:下図の心電図は3段脈ではありません。例えば、正常収縮-正常収縮-期外収縮というパターンが繰り返し出現すれば3段脈と判断されます。選びやすい理由:期外収縮が複数回出現しているため、何らかの規則的なパターンを連想してしまうかもしれません。混同注意:2段脈や3段脈などの期外収縮のパターンと、単発性や多源性といった分類と混同しやすいです。
- 2. 心室期外収縮は心室から異常な興奮が発生するため、その前に心房の収縮を示すP波は認められません。下図の期外収縮(幅の広いQRS波)の直前にはP波がありません。正しくは:心室期外収縮ではP波は先行しません。P波が先行し、その後に幅の広いQRS波が見られる場合は、脚ブロックやWPW症候群による変行伝導などを考慮します。選びやすい理由:正常な心拍ではP波の後にQRS波が続くため、P波の有無を確認しようとする意識から誤ってP波があると判断してしまう可能性があります。混同注意:上室性期外収縮と心室期外収縮の違い、特にP波の有無や形、QRS波の幅で区別することと混同しやすいです。
- 3. Lownの分類グレードbは、単形性の心室期外収縮で、30個/時を超える場合や、連続する2つ以上の心室期外収縮(連発)がある場合を指します。この心電図では単発の心室期外収縮が散見されるのみで、それらの条件を満たしません。Lownの分類はグレード0からグレード5まであり、グレードbのような表現はありません。正しくは:Lownの分類はグレード0〜5で表され、グレードbという分類は存在しません。例えば、下図が単発性で頻度が低いのであれば、Lown分類のグレード1に該当する可能性が高いです。選びやすい理由:Lownの分類を知っていても、その具体的なグレード分けや表現形式を正確に覚えていない場合、適当な選択肢を選んでしまうことがあります。混同注意:Lownの分類の各グレードの内容と、期外収縮の形態(単形性、多形性、連発、R on Tなど)の区別が混同されやすいです。
- 4. 心室期外収縮では、心室内の興奮伝導が通常の経路(ヒス束-プルキンエ線維)を通らないため、QRS波の幅が広くなります。一般的に0.12秒(3小マス)以上が特徴です。下図の心室期外収縮のQRS波は、正常洞調律のQRS波と比較して明らかに幅が広く、0.12秒以上あります。正しくは:心室期外収縮のQRS波幅は通常0.12秒以上です。0.12秒未満の場合は、上室性期外収縮や洞調律による収縮の可能性が高いです。選びやすい理由:正常なQRS幅が0.12秒未満であるため、その知識と混同しやすいです。しかし、期外収縮の種類によってQRS幅の基準が異なります。混同注意:上室性期外収縮や正常なQRS波の幅の基準と、心室期外収縮のQRS波の幅の基準を混同しやすいです。
- 5. 正解。心室期外収縮は、正常な洞結節からの興奮(洞調律)が伝わるよりも早いタイミングで、心室内の異常な部位から興奮が発生し、心室を収縮させる現象です。下図の心電図を見ると、正常なR-R間隔よりも短い間隔で、幅の広いQRS波が出現していることがわかります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:心室期外収縮の基本的な定義であり、他の選択肢が誤っていると判断できれば、この選択肢が正答であると理解しやすいです。混同注意:期外収縮全般に共通する『予定よりも早く出現する』という特徴が理解できていないと、判断に迷うことがあります。
国試ポイント
この問題は、心室期外収縮の基本的な心電図所見と病態生理に関する知識を問うものです。特に、P波の有無、QRS波の幅、出現タイミング、そしてLownの分類などの具体的な特徴を正確に理解しているかが重要となります。画像問題では、実際の心電図波形からこれらの特徴を読み取る能力も求められます。
混同注意
心室期外収縮と上室性期外収縮の心電図所見(P波の有無、QRS幅)の違い、および心室頻拍や心室細動といったより重篤な不整脈との鑑別が混同されやすいです。また、Lownの分類の具体的な基準を正確に覚えていないと、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、まず心電図波形からQRS波の幅と形、P波の有無と先行関係、出現タイミング(先行する正常QRS波との間隔)を正確に判断すること。その上で、Lownの分類のような特定の基準を問われた場合は、各グレードの内容を具体的に想起できるかを確認すること。
関連知識
Lownの分類(グレード0〜5)、期外収縮の分類(単発性、連発、多形性、R on Tなど)、心電図の基本的な波形(P波、QRS波、T波)とその意味、不整脈の種類と治療法、心不全患者における不整脈のリスク管理。