70歳の男性。食道がんを内視鏡的に切除した後に放射線療法を行ってから6か月が経過した。今後予測される放射線療法の副作用はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
放射線治療の副作用は、治療後すぐに現れる『急性期合併症』と、治療終了から数ヶ月~数年後に現れる『晩期合併症』に大別されます。設問では「数ヶ月が経過した」時点での予測を問うているため、晩期合併症に焦点を当てる必要があります。選択肢1の末梢神経障害は、放射線による神経組織の線維化や血管障害により、治療終了後も長期にわたり進行する可能性のある晩期合併症です。他の選択肢は、一般的に放射線治療の急性期に発現しやすい副作用であり、数ヶ月が経過した時点では既に改善しているか、症状が落ち着いていることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。放射線治療の晩期合併症として、神経組織の損傷による末梢神経障害が起こり得ます。特に治療から数ヶ月から数年後に発症することがあります。選びやすい理由:すぐに症状が出にくい晩期合併症であることを理解していないと選びにくいかもしれません。混同注意:急性期の副作用と混同されやすいです。末梢神経障害は慢性の経過をたどる可能性があります。
- 2. 気道浮腫は、放射線治療の急性期または比較的早期に生じやすい副作用です。数ヶ月経過した時点では、急性期の炎症反応は落ち着いているのが一般的です。正しくは:急性期の合併症であり、治療後数ヶ月経過した時点での予測は不適切です。選びやすい理由:放射線が気道周辺に照射された場合に起こる可能性はありますが、一般的に急性期の反応です。混同注意:放射線治療による急性期反応である放射線食道炎、咽頭炎などと混同されやすいです。
- 3. 食欲不振は、放射線治療による消化器粘膜への急性期の炎症や全身倦怠感に伴って現れやすい副作用です。数ヶ月経過した時点での主たる予測される晩期合併症ではありません。正しくは:急性期に顕著な症状であり、治療後数ヶ月経過した時点では通常改善しています。選びやすい理由:がん治療全体を通じて食欲不振は起こり得ますが、放射線治療の晩期合併症としては適切ではありません。混同注意:治療に伴う全身症状や、消化管の急性期副作用と混同されやすいです。
- 4. 皮膚炎(放射線皮膚炎)は、放射線照射部位に生じる急性期の皮膚反応です。治療終了後数ヶ月の時点では、すでに回復しているか、慢性期の皮膚変化(色素沈着、線維化など)に移行しているのが一般的です。正しくは:急性期の副作用であり、数ヶ月経過した時点での予測は不適切です。晩期には色素沈着や線維化などが起こりえます。選びやすい理由:放射線治療で皮膚症状が出るのは有名ですが、この設問では「数ヶ月経過後」に焦点を当てています。混同注意:放射線治療による急性期の皮膚反応と、晩期の皮膚の変化(瘢痕、線維化、色素沈着など)と混同されやすいです。
- 5. 悪心は、放射線治療による消化器系への急性期の刺激によって生じやすい副作用です。治療終了から数ヶ月経過した時点では、通常は改善しています。正しくは:急性期の副作用であり、治療後数ヶ月経過した時点では予測される症状ではありません。選びやすい理由:抗がん剤治療などでもよく見られる症状ですが、放射線治療においては急性期の反応です。混同注意:消化器系の急性期副作用(放射線腸炎など)と混同されやすいです。
国試ポイント
放射線治療の急性期合併症と晩期合併症の違いを正確に理解しているかが問われる問題です。特に、時間軸に応じた症状の変化を把握しておくことが重要です。
混同注意
放射線治療の急性期に起こる症状と、晩期に起こる症状。また、他の治療法(化学療法など)の副作用と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、放射線治療の『時期別』合併症を問う問題が多いと予想されます。特に、治療後しばらく経ってからの合併症(晩期合併症)について、具体的にどの臓器にどのような症状が出るかを把握しているかを確認するでしょう。また、放射線照射部位と関連する臓器の知識も問われやすいです。
関連知識
放射線治療による消化器症状(食道炎、胃炎、腸炎)、骨髄抑制、肺炎、心筋症、二次がんなど。各合併症の発症時期(急性期、亜急性期、晩期)を把握すること。また、照射部位によって影響を受ける臓器が異なることも重要。