左上肢の感覚と伝導路が通る部位との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
痛覚は外側脊髄視床路(脊髄側索)を上行します。この経路は、一次ニューロンが脊髄後角に入り、そこで二次ニューロンに乗り換えた後、脊髄内ですぐに対側に交差します。したがって、左上肢からの痛覚情報は、脊髄に入った後に対側である右側の脊髄側索を上行します。
選択肢ごとの解説
- 1. 圧覚は触覚の一種であり、主に脊髄前索と脊髄側索の境界付近を上行します。左右については、一次ニューロンは同側に入り、二次ニューロンは対側に交差するため、左上肢からの情報は右脊髄(対側)を上行します。したがって、『左脊髄前索』という記述は、感覚の種類と脊髄内の位置、そして左右のいずれの点においても誤りです。正しくは:圧覚 — 右脊髄前索選びやすい理由:脊髄前索が触覚の一部を伝えることは知られているため、完全な誤りではないと感じるかもしれません。しかし、左右の交差点を考慮すると誤りです。混同注意:粗大触覚(前脊髄視床路)と圧覚の伝導路の正確な走行、および左右の交差点を混同しやすいです。
- 2. 位置覚は深部感覚の一つで、脊髄後索を上行します。しかし、深部感覚の経路は脊髄内で交差せず、同側を上行し延髄で交差します。したがって、左上肢からの位置覚情報は『左脊髄後索』を上行します。『右脊髄後索』は誤りです。正しくは:位置覚 — 左脊髄後索選びやすい理由:位置覚が脊髄後索を通ることは正しい情報であり、一見すると正しく思えます。しかし、左右の伝導路の交差点を誤認すると選択してしまいます。混同注意:脊髄後索路が深部感覚(位置覚、振動覚、識別触覚)を伝え、同側を上行し延髄で交差するという事実と、脊髄視床路が脊髄内で交差するという事実を混同しやすいです。
- 3. 温覚は温度を感じる感覚で、脊髄内の側索(外側脊髄視床路)を上行します。また、温痛覚の経路は脊髄内で対側に交差します。したがって、左上肢からの温覚情報は『右脊髄側索』を上行します。『右脊髄後索』は、温覚が通る部位としても、左右の交差を考慮しても誤りです。正しくは:温覚 — 右脊髄側索選びやすい理由:「右」という方向性だけ合致すると勘違いしやすいかもしれませんが、脊髄後索は深部感覚を伝えるため、温覚の伝導路としては全く異なります。混同注意:脊髄後索路と脊髄視床路が伝える感覚の種類と、それぞれの伝導路が脊髄内でどちらの側を上行するかを混同しやすいです。
- 4. 振動覚は深部感覚の一つで、脊髄後索を上行します。また、深部感覚の経路は脊髄内で交差せず、同側を上行し延髄で交差します。したがって、左上肢からの振動覚情報は『左脊髄後索』を上行します。『左脊髄側索』は、振動覚が通る部位としても誤りです。正しくは:振動覚 — 左脊髄後索選びやすい理由:深部感覚と表在感覚の経路を混同すると誤って選択する可能性があります。混同注意:脊髄後索路が深部感覚を伝えることと、脊髄側索路が温痛覚を伝えることを混同しやすいです。
- 5. 正解。痛覚(および温覚)は、脊髄視床路のうち外側脊髄視床路(脊髄側索を上行)を介して伝達されます。この経路は、脊髄に入った後、同側の後角で二次ニューロンに乗り換え、脊髄内で対側に交差してから上行します。したがって、左上肢からの痛覚は、脊髄内で交差した後に『右脊髄側索』を上行します。この組み合わせは正しいです。
国試ポイント
本問題は、脊髄を通る感覚伝導路について、感覚の種類、脊髄内の走行部位(前索、側索、後索)、そして左右の交差点を正しく理解しているかを問う典型的な知識問題です。特に、脊髄後索路(同側上行)と脊髄視床路(脊髄内で対側交差)の違いが頻繁に出題されます。
混同注意
脊髄後索路(深部感覚:位置覚、振動覚、識別触覚、同側上行、延髄で交差)と、脊髄視床路(表在感覚:温覚、痛覚、粗大触覚、脊髄内で対側交差)が非常に混同しやすいです。また、圧覚の伝導路は、粗大触覚と同様に前脊髄視床路を介して脊髄内で交差する点も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、感覚の種類、伝導路の脊髄内での正確な位置(前索・側索・後索)、そして左右どちらを上行するか(同側か対側か、どこで交差するか)を重点的に確認しましょう。特に、深部感覚と表在感覚の違い、およびそれぞれの交差部位がポイントになります。
関連知識
各感覚伝導路の一次、二次、三次ニューロンの位置、シナプス部位、そして脳幹レベルでの交差部位も重要な知識です。特に、延髄での錐体交差、内側毛帯交差、および脊髄内での脊髄視床路の交差は区別して覚える必要があります。