多発性硬化症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多発性硬化症は中枢神経系の脱髄性疾患であり、その病変を検出するためにMRI検査が非常に有用です。現在の診断基準(マクドナルド診断基準)でもMRI所見は必須項目の一つです。一方、男性よりも女性に多く、遺伝性の疾患ではなく、体温上昇で症状が悪化するウートホフ現象があるため温熱療法は避けるべきとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性硬化症は、一般的に女性に多く発症する疾患であり、男女比は約1:2~3と報告されています。正しくは:本症は女性に多く発症する。選びやすい理由:他の神経疾患には男性に多いものもあるため、知識が曖昧な場合に混同して誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、男性にやや多いとされる他の神経疾患と混同しやすいです。
- 2. 多発性硬化症は、特定の遺伝形式で親から子へ直接遺伝する疾患ではありません。遺伝的素因の関与は指摘されていますが、単一遺伝子疾患のような遺伝性疾患とは異なります。正しくは:遺伝的素因の関与は指摘されているが、一般に遺伝形式を示す疾患ではない。選びやすい理由:家族内での発症例が報告されることや、特定のHLA型との関連が研究されていることから、遺伝性であると誤解しやすいです。混同注意:遺伝性脊髄小脳変性症や遺伝性ニューロパチーなど、明確な遺伝形式を持つ疾患と混同する可能性があります。
- 3. 多発性硬化症患者の多くは、体温の上昇によって神経症状が悪化する「ウートホフ現象」を示します。そのため、温熱療法は症状を悪化させるリスクがあり、原則として避けるべきか、極めて慎重に行う必要があります。正しくは:温熱療法はウートホフ現象を引き起こす可能性があるため、原則として避けるべきである。選びやすい理由:一般的なリハビリテーションでは温熱療法が広く用いられるため、その知識から有効であると誤解しやすいです。混同注意:一般的な温熱療法の効果(筋肉のリラックス効果など)と、多発性硬化症に特有のウートホフ現象による症状悪化を混同する可能性があります。
- 4. 多発性硬化症は、脳や脊髄といった「中枢神経系」の脱髄性疾患です。末梢神経系の脱髄性疾患には、ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)などがあります。正しくは:中枢神経系における脱髄性疾患である。選びやすい理由:「脱髄性疾患」という点は正しいですが、「末梢神経」という部分を注意深く読まないと誤って選択してしまう可能性があります。中枢と末梢の区別が曖昧な受験生は間違えやすいです。混同注意:ギラン・バレー症候群やCIDPなどの末梢神経系脱髄疾患と混同する可能性があります。
- 5. 正解。多発性硬化症の診断において、脳や脊髄のMRI検査は非常に重要です。脱髄病変を検出するのに優れており、マクドナルド診断基準においても病変の空間的多発性や時間的多発性を確認するための主要な項目となっています。
国試ポイント
この問題は、多発性硬化症の基本的な疫学(男女比)、病態生理(中枢神経脱髄)、症状への影響(ウートホフ現象による温熱禁忌)、そして診断方法(MRIの有用性)といった、疾患の基本的な特徴について理解しているかを問うものです。
混同注意
中枢神経系脱髄疾患(多発性硬化症)と末梢神経系脱髄疾患(ギラン・バレー症候群、CIDP)の区別、遺伝性疾患と遺伝的素因の関与の違い、一般的な温熱療法の効果とウートホフ現象による症状悪化の混同がよく見られます。
次に同じ論点が出たら
次に多発性硬化症に関する問題が出題された場合、中枢神経系脱髄疾患であること、女性に多いこと、温熱療法が禁忌または慎重であること(ウートホフ現象)、そしてMRI検査が診断に極めて有用であることの4点に加え、具体的な症状や治療薬、そしてマクドナルド診断基準の他の要素(髄液検査など)についても確認しておくべきです。
関連知識
多発性硬化症の症状には、視力低下(視神経炎)、感覚障害、運動麻痺、歩行障害、小脳症状、膀胱直腸障害、疲労感など多様なものがあります。マクドナルド診断基準を理解し、その中でMRIがどのように活用されるかを知っておくことが重要です。治療法としては、ステロイドパルス療法による急性期治療や、インターフェロンβなどの疾患修飾薬による再発予防が挙げられます。