AEDによる電気的除細動の適応となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
AED(自動体外式除細動器)は、心臓の無秩序な電気活動を一時的に停止させ、正常な心拍リズムへの再開を促す医療機器です。このため、心臓に異常な電気活動が存在し、それが有効なポンプ機能の停止を引き起こしている状態に適応されます。具体的には、心室細動と無脈性心室頻拍がこれに該当します。心室細動は心室が震えるだけで血液を送り出せない状態、心室頻拍の中でも脈が触れないものは、心室細動と同様に生命にかかわる緊急状態です。一方、心静止は心臓の電気活動が完全に停止している状態であり、AEDで電気刺激を与えても効果はありません。洞性頻脈は生理的な反応や基礎疾患によって心拍が速くなっている状態であり、心臓の電気伝導系に大きな異常があるわけではないため除細動の対象外です。房室ブロックは電気信号の伝達遅延・途絶であり、電気ショックでは解決されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 心静止は心臓の電気的活動が完全に停止している状態であり、除細動は効果がありません。AEDは心臓の異常な電気活動をリセットすることで機能するため、電気活動自体がない心静止には適応されません。正しくは:心静止に対しては、心肺蘇生(CPR)と薬物療法が優先されます。選びやすい理由:突然の心停止状況で使用されるため、どんな心停止にも効くと思われがちです。混同注意:心静止と、心室細動や無脈性心室頻拍のような電気活動のある致死性不整脈と混同しやすいです。
- 2. 正解。心室細動は、心室が無秩序かつ非常に速く収縮している状態(細かく震えている状態)であり、有効な血液拍出が行われません。AEDはこの異常な電気活動を停止させ、正常なリズムへの回復を促すことを目的としています。AEDの主要な適応の一つです。選びやすい理由:これはAEDの最も典型的な適応であり、多くの人が正答として認識しています。
- 3. 正解。心室頻拍は、心室が非常に速いペースで規則的または不規則に興奮し収縮する状態です。特に脈を触れない無脈性心室頻拍の場合、心室細動と同様に循環不全を引き起こし、電気的除細動の緊急適応となります。AEDはこのような異常な速い電気活動を停止させ、正常なリズムに戻す効果が期待できます。選びやすい理由:心室頻拍の中でも特に無脈性のものがAEDの適応となるため、脈がある場合の心室頻拍と混同して誤答と判断する可能性があります。
- 4. 洞性頻脈は、洞結節からの正常な電気刺激が速くなっている状態であり、心臓の電気伝導系自体に異常があるわけではありません。この状態は通常、発熱や運動、ストレスなどによって起こり、除細動の対象とはなりません。正しくは:洞性頻脈の治療は、原因となっている基礎疾患の治療が中心となります。選びやすい理由:「頻脈」という言葉から、心臓が速く動いている状態に対して除細動が必要だと思ってしまうかもしれません。混同注意:洞性頻脈と、心室頻拍のような危険な頻脈性不整脈とを混同しやすいです。
- 5. 房室ブロックは、心房から心室への電気信号の伝導が遅延または遮断される状態です。これは電気的活動の過剰や無秩序な状態ではなく、除細動では改善されません。むしろ徐脈の原因となります。正しくは:房室ブロックは、その重症度によって経過観察、薬物療法、またはペースメーカー植え込みの適応となります。選びやすい理由:不整脈の一種であるため、AEDで治療できると誤解する可能性があります。混同注意:伝導障害である房室ブロックと、電気的リセットが必要な細動や頻拍を混同しやすいです。
国試ポイント
AEDの適応となる不整脈の種類について、心臓の電気生理学的な異常と結びつけて正確に理解しているかを問う問題です。特に、除細動が効果的な「異常な電気活動がある致死性不整脈」と、効果がない「電気活動がない心静止」や「電気活動に問題がない頻脈」「伝導障害」との区別が重要です。
混同注意
心静止と心室細動・無脈性心室頻拍の区別、および洞性頻脈のような生理的・二次的な頻脈と致死性頻脈の区別が主な混乱点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、AEDの適応を問うだけでなく、心静止時の対応(CPRと薬物)、ペースメーカーの適応(徐脈や房室ブロック)、あるいは不整脈の種類ごとの治療選択肢(薬物療法、アブレーションなど)についても理解しているかを確認する問題が出る可能性があります。
関連知識
AEDの操作手順、BLS(一次救命処置)の流れ、不整脈の分類(致死性不整脈、徐脈、頻脈)、心電図判読の基礎知識(心室細動、心室頻拍、心静止の波形)。