高齢者の大腿骨近位部骨折について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
認知症患者は転倒リスクが高く、また骨粗鬆症の有病率も高いことから、大腿骨近位部骨折の重要な危険因子です。一方、大腿骨近位部骨折は閉経後の女性に多く、骨折型によっては骨転位を起こしやすく、特に大腿骨頸部骨折では骨頭壊死を合併するリスクが高いです。最も多い発生原因は軽微な転倒であり、交通事故ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者の大腿骨近位部骨折は、骨粗鬆症を基盤として発症することが多く、閉経後の女性に圧倒的に多く見られます。正しくは:その発生は女性に多く見られる。選びやすい理由:一般的に外傷性の骨折は男性にも多いイメージがありますが、高齢者の大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症との関連が強く、女性に多いという点で注意が必要です。混同注意:若年者のスポーツ外傷などによる骨折の疫学と、高齢者の骨粗鬆症性骨折の疫学を混同しやすいです。
- 2. 大腿骨近位部骨折、特に大腿骨頸部骨折は不安定なことが多く、筋肉による牽引や不安定な骨折線のために転位(骨折部がずれること)がしばしば生じます。大腿骨転子部骨折でも不安定型では転位をきたしやすいです。正しくは:骨折後の転位はしばしば生じる。選びやすい理由:骨折の部位やタイプによっては安定しているものもありますが、大腿骨近位部骨折は解剖学的な特徴から転位しやすい傾向にあります。高齢者だからと安静を保つことで転位が少ないと誤解することもあります。混同注意:安定した骨折と、転位しやすい不安定な骨折(特に大腿骨頸部骨折)との違いや、骨折の分類による安定性の違いを混同しやすいです。
- 3. 大腿骨頸部骨折は関節包内骨折であり、大腿骨頭への主要な栄養血管が損傷されやすいため、高頻度で大腿骨頭壊死を合併するリスクがあります。正しくは:大腿骨頭壊死を合併することがある。選びやすい理由:骨頭壊死はステロイド使用やアルコール多飲など、骨折以外の原因でも起こるため、骨折が直接の原因となり得ることを軽視してしまうことがあります。混同注意:骨頭壊死の他の一般的な原因と、大腿骨頸部骨折後の合併症としての骨頭壊死を混同しやすいです。
- 4. 正解。認知症の患者さんは、身体機能の低下、注意力の低下、薬剤の影響などにより転倒リスクが高く、また骨粗鬆症の有病率も高いため、大腿骨近位部骨折の重要な危険因子とされています。
- 5. 高齢者の大腿骨近位部骨折の最も多い発生原因は、骨粗鬆症を背景とした軽微な転倒(例えば、自宅内での転倒や立ち上がり時のバランスを崩すことなど)です。交通事故は重篤な外傷の原因ですが、最も多い原因ではありません。正しくは:その主な発生原因は、転倒によるものである。選びやすい理由:一般的な外傷性骨折のイメージから、交通事故のような大きな外力が原因だと誤解しやすいです。混同注意:重大な外力による骨折と、骨粗鬆症を背景とした軽微な外力による骨折の発生メカニズムを混同しやすいです。
国試ポイント
高齢者の大腿骨近位部骨折の疫学(性差、原因)、病態(転位、合併症)、および危険因子(認知症など)に関する基本的な知識が問われています。特に、高齢者特有の病態や社会・生活背景が骨折にどう影響するかを理解しているかが重要です。
混同注意
大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折の病態学的・疫学的違い、一般的な外傷による骨折と高齢者の骨粗鬆症性骨折の違い、骨頭壊死の様々な原因について混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
大腿骨近位部骨折の術式選択の基準、術後リハビリテーションの進め方と注意点、骨粗鬆症治療薬の具体的な種類と作用機序、転倒リスク評価ツールの使用方法などが問われる可能性があります。
関連知識
骨粗鬆症の診断と治療、転倒予防のガイドライン、大腿骨近位部骨折の分類と治療法(手術・保存)、合併症(偽関節、深部静脈血栓症など)、高齢者のサルコペニアやフレイルが骨折リスクに与える影響。