腰部脊柱管狭窄症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
腰部脊柱管狭窄症の最も特徴的な症状は神経性間欠性跛行です。これは、歩行などの運動によって下肢の神経症状(しびれ、痛み、脱力感)が増悪し、しゃがんだり前かがみになったりして休息をとることで症状が軽減する現象を指します。
選択肢ごとの解説
- 1. 腰部脊柱管狭窄症の多くは、加齢に伴う脊椎の変性(椎間板の膨隆、椎間関節の肥厚、黄色靱帯の肥厚など)による後天性であり、先天性ではありません。正しくは:後天性、特に加齢に伴う変性による発症が多数を占める。選びやすい理由:脊椎疾患の中には先天性のものも存在するため、漠然とした知識だと先天性も含まれると誤解する可能性があります。混同注意:生まれつき脊柱管が狭い先天性脊柱管狭窄症も存在はしますが、一般的に「腰部脊柱管狭窄症」として問題になるのは変性による後天性のものです。
- 2. 腰部脊柱管狭窄症による神経症状として、内反尖足は一般的ではありません。重度の神経障害により足関節の背屈筋力低下が生じ、下垂足となることはありますが、内反尖足は通常、脳性麻痺や脳卒中などの中枢神経系(上位運動ニューロン)障害による痙性麻痺でみられます。正しくは:重度の麻痺を伴う場合、足関節の背屈筋力低下により下垂足を呈することがある。選びやすい理由:下肢に神経症状が出る疾患であるため、足部変形を伴うと連想しやすいかもしれませんが、具体的な変形の種類を正確に把握しているか問われています。混同注意:上位運動ニューロン障害による痙性麻痺に伴う足部変形(内反尖足)と、腰部脊柱管狭窄症による下位運動ニューロン障害症状を混同する可能性があります。
- 3. 正解。間欠性跛行は、腰部脊柱管狭窄症に最も特徴的な症状の一つです。歩行などの運動によって下肢のしびれ、痛み、脱力感が増強し、前かがみになったり座って休んだりすることで症状が一時的に緩和します。これは、運動時に脊柱管内の圧が高まり、神経への圧迫が増すために起こります。正しくは:これは正しい記述です。選びやすい理由:特になし。この症状は腰部脊柱管狭窄症の診断基準にも含まれる重要な項目です。混同注意:血管性間欠性跛行と鑑別が必要です。血管性間欠性跛行では、休息で症状は改善しますが、姿勢は関係なく、また末梢動脈の触知異常や皮膚色の変化を伴います。
- 4. 腰部脊柱管狭窄症では、腰椎を前屈させることで脊柱管が広がり、神経への圧迫が軽減されるため、症状が緩和することが多いです。逆に、腰椎を伸展(反り腰)させると脊柱管が狭くなり、症状が悪化します。正しくは:腰椎を前屈させると症状が軽減することが多い。選びやすい理由:腰痛疾患全般で、特定の姿勢で症状が悪化するというイメージから、前屈を誤って選択する可能性があります。混同注意:椎間板ヘルニアでは腰椎前屈で症状が増強することが多いため、これと混同する可能性があります。
- 5. 腰部脊柱管狭窄症では、神経根や馬尾の圧迫により下位運動ニューロンの障害が生じるため、下肢の深部腱反射は減弱または消失することが一般的です。深部腱反射の亢進は、上位運動ニューロンの障害でみられる所見です。正しくは:下肢の深部腱反射は減弱または消失する。選びやすい理由:神経症状といえば反射異常と考える学生が、亢進か減弱か正確な知識がない場合に判断に迷う可能性があります。混同注意:上位運動ニューロン障害(例: 脳卒中、脊髄損傷など)による深部腱反射の亢進と混同する可能性があります。脊柱管狭窄症では多くの場合、脊髄神経根や馬尾神経といった末梢神経(下位運動ニューロン)が障害されます。
国試ポイント
腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状、身体所見、および症状の増悪・緩和因子について正確な知識が求められます。特に、間欠性跛行の性質、姿勢による症状の変化(前屈で軽減、伸展で増悪)、深部腱反射の異常(減弱・消失)を理解しているかが問われるポイントです。
混同注意
血管性間欠性跛行との鑑別、椎間板ヘルニアとの症状の比較(特に姿勢による症状変化)、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害による深部腱反射の変化。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、腰部脊柱管狭窄症の症状の質的特徴(放散痛、しびれ、脱力感)、増悪・緩和因子(運動、特定の姿勢)、鑑別疾患(血管性跛行、椎間板ヘルニア、末梢神経障害)、およびそれらの病態生理学的根拠を深く理解しているかを確認する問題が考えられます。
関連知識
腰部脊柱管狭窄症の病態生理(脊柱管内の構造物の変性)、神経性間欠性跛行と血管性間欠性跛行の鑑別点、診断方法(画像診断、神経学的検査)、保存療法と手術療法の適応。