病理学的な悪性度が最も高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
神経膠芽腫(glioblastoma multiforme, GBM)は、成人における原発性脳腫瘍の中で最も頻度が高く、かつ最も悪性度の高い腫瘍です。WHO分類ではグレードIVに位置づけられ、急速な増殖、強い浸潤性、中心壊死、血管内皮増殖といった特徴を持ちます。他の選択肢は、一般的に良性であるか、または神経膠芽腫と比較して悪性度が低い腫瘍です。特に海綿状血管腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、髄膜腫(一般的なタイプ)は、WHOグレードIに分類される良性腫瘍として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 海綿状血管腫は良性腫瘍であり、血管の異常増殖によるものです。悪性転化の可能性は極めて低いとされています。正しくは:悪性度は低い。選びやすい理由:脳内の病変であるため、一見すると重篤に見えるかもしれませんが、悪性腫瘍とは性質が異なります。混同注意:他の脳腫瘍と混同しやすいが、これは良性である。
- 2. 下垂体腺腫は通常、良性腫瘍であり、ゆっくりと成長します。悪性度は低いですが、ホルモン分泌異常や視機能障害を引き起こすことがあります。正しくは:悪性度は低い。選びやすい理由:内分泌機能に影響を与えるため、重篤な症状を呈することがありますが、病理学的な悪性度は低いという意味で誤りです。混同注意:ホルモン産生腫瘍の機能的な影響と、腫瘍自体の悪性度を混同しやすい。
- 3. 正解。神経膠芽腫(GBM)は、WHO分類でグレードIVに分類される最も悪性度の高い脳腫瘍の一つです。非常に進行が早く、浸潤性があり、予後が不良です。選びやすい理由:他の選択肢も脳腫瘍であり、どれも重篤な疾患であるため迷う可能性がありますが、病理学的な悪性度で比較すると神経膠芽腫が突出しています。混同注意:他のグレードの神経膠腫(例: 星細胞腫グレードII、退形成性星細胞腫グレードIII)と混同しやすいが、神経膠芽腫は最も悪性度が高いグレードIVである。
- 4. 神経鞘腫(シュワン腫)は通常、良性腫瘍であり、末梢神経の神経鞘から発生します。成長は比較的遅く、悪性転化は稀です。正しくは:悪性度は低い。選びやすい理由:神経系に発生する腫瘍であるため、悪性と感じやすいですが、基本的には良性です。混同注意:神経膠腫などの悪性脳腫瘍と混同しやすいが、性質は異なる。
- 5. 髄膜腫は、ほとんどの場合が良性腫瘍で、脳や脊髄を覆う髄膜から発生します。悪性度は低いですが、稀に異型髄膜腫(グレードII)や退形成性髄膜腫(グレードIII)といった悪性度の高いものもありますが、通常は良性として扱われます。正しくは:多くは良性であり、悪性度は低い。選びやすい理由:脳を圧迫することで症状を呈するため重篤に思われがちですが、病理学的な悪性度は基本的に低いです。混同注意:稀に存在する悪性度の高い髄膜腫と、一般的な良性髄膜腫を混同しやすい。
国試ポイント
脳腫瘍のWHO分類における病理学的悪性度、特に最も悪性度が高い腫瘍の知識が問われています。各脳腫瘍の基本的な性質(良性・悪性)とその鑑別が重要です。
混同注意
脳腫瘍の良性・悪性、機能性腫瘍の症状の重篤さと病理学的悪性度の違い、そしてWHO分類におけるグレード分類。特に「神経〜腫」という名称の類似性から、神経膠腫と神経鞘腫、さらには様々なグレードの神経膠腫を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、各脳腫瘍のWHO分類における具体的なグレード、およびその腫瘍の代表的な病理学的特徴(例:浸潤性、壊死、核異型など)を問う可能性があります。また、小児脳腫瘍と成人脳腫瘍で好発する腫瘍の違いについても注意が必要です。
関連知識
脳腫瘍のWHO分類(グレードI〜IV)、各グレードの特徴と代表的な腫瘍、脳腫瘍の症状、診断(MRI、生検)、治療(手術、放射線療法、化学療法)、予後。また、機能性下垂体腺腫のような、腫瘍自体は良性でも分泌するホルモンによって重篤な症状を引き起こす疾患についても理解しておく必要があります。