急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
慢性炎症は、炎症が長期間続くことで、組織の破壊と同時に修復反応が起こり、その結果として結合組織、特にコラーゲン線維が増加し、組織が硬くなる「線維化」が進行することが特徴です。急性炎症では主に血管反応と液性成分・好中球の浸潤が主体であり、このような組織の器質的変化は限定的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 血管内皮細胞の損傷は、急性炎症における血管透過性亢進の主要なメカニズムの一つであり、急性期に顕著です。正しくは:血管内皮細胞の損傷は、急性炎症の特徴です。選びやすい理由:炎症反応全体で細胞損傷は起こるため、慢性炎症でも見られると誤解しやすいですが、特に「血管内皮細胞の損傷」は急性期の初期変化です。混同注意:炎症全般における細胞・組織損傷と、急性期特有の血管透過性亢進の原因としての血管内皮細胞損傷。
- 2. 血漿タンパク質の滲出は、血管透過性の亢進によるもので、急性炎症における浮腫形成のメカニズムとして中心的です。正しくは:血漿タンパク質の滲出は、急性炎症の特徴です。選びやすい理由:炎症があると滲出液が出るため、慢性炎症でも見られると考えやすいですが、そのメカニズムは急性期の方がはるかに顕著です。混同注意:滲出液の存在(慢性炎症でも少量見られることがある)と、その主要な原因である血管透過性亢進の程度(急性期に著しい)との混同。
- 3. 好中球は急性炎症の主役であり、感染や組織損傷の初期段階で迅速に病巣に集積します。慢性炎症ではマクロファージやリンパ球が優位になります。正しくは:好中球の集積は、急性炎症の特徴です。選びやすい理由:炎症といえば白血球が集まるイメージがあり、好中球も白血球なので選びやすいですが、慢性炎症では細胞の種類が異なります。混同注意:白血球の集積という広い概念と、特定の種類の白血球(好中球)が主体となる時期(急性期)との区別。
- 4. サイトカインの分泌は急性炎症と慢性炎症の両方で見られる普遍的な現象であり、急性炎症期にも炎症を調節する上で重要な役割を果たします。特に慢性炎症に特有というわけではありません。正しくは:サイトカインの分泌は、急性炎症と慢性炎症のどちらでも見られる現象です。選びやすい理由:炎症反応はサイトカインによって引き起こされる・維持されるため、炎症反応全般の特徴として選びやすいです。慢性炎症の持続にもサイトカインは関わりますが、「急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴」としては不適切です。混同注意:炎症反応におけるサイトカインの重要性全般と、急性・慢性炎症の鑑別点としてのサイトカイン分泌の程度・種類。
- 5. 正解。慢性炎症は、炎症が長期間持続することで、組織の破壊と修復が同時に進行し、最終的にコラーゲンなどの線維組織が増加(線維化)することが特徴的です。これは急性炎症では通常見られない、慢性期特有の変化です。
国試ポイント
急性炎症と慢性炎症の病理学的特徴の明確な違いを理解しているかが問われています。特に、急性期の血管透過性亢進や特定の白血球(好中球)の集積、そして慢性期の線維化や異なる白血球(マクロファージ、リンパ球)の浸潤を区別できるかが重要です。
混同注意
炎症の一般的な特徴(血管拡張、発熱など)と、急性・慢性それぞれの段階に特有な病理学的変化との混同。特に「サイトカインの分泌」のように両者に共通する現象も選択肢に含まれるため、より特異的な違いを見抜く力が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、急性炎症と慢性炎症における細胞浸潤の種類(好中球 vs マクロファージ・リンパ球)や、組織の変化(浮腫 vs 線維化・肉芽腫)について問われる可能性が高いです。また、炎症の全身症状や局所症状についても区別できるか確認すると良いでしょう。
関連知識
急性炎症の主役:好中球、血管透過性亢進、浮腫、発赤、熱感、疼痛。慢性炎症の主役:マクロファージ、リンパ球、形質細胞、線維化、肉芽腫形成。炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-αなど)は両者に共通して重要な役割を果たすが、特に慢性炎症の持続にはT細胞由来サイトカイン(IFN-γなど)も関与する。