変形性膝関節症の理学療法介入方法について、理学療法診療ガイドライン第1版(日本理学療法士協会)で推奨グレードが最も低いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
理学療法診療ガイドライン第1版において、変形性膝関節症に対する介入として、運動療法(筋力増強、有酸素、協調運動)、減量療法は高い推奨グレードが与えられています。一方、ホットパックなどの温熱療法は、一時的な疼痛緩和の効果は認められるものの、長期的な機能改善や病態進行抑制への有効性のエビデンスが不足しており、推奨グレードは低いとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 変形性膝関節症の患者において、協調運動はバランス能力の向上や転倒リスクの低減に寄与するため、推奨グレードは比較的高いです。正しくは:この介入は中等度以上の推奨グレードを持つことが多いです。選びやすい理由:運動療法の一種であるため、効果があると思われがちです。混同注意:他の運動療法と混同しやすいですが、それぞれ異なる目的と効果があります。
- 2. 変形性膝関節症において、体重の過多は膝関節への負担を増加させ、症状悪化や進行を早める主要な要因の一つです。そのため、減量療法は非常に高い推奨グレードを持っています。正しくは:減量は変形性膝関節症の治療において非常に重要な位置づけです。選びやすい理由:生活習慣の改善は時間がかかるため、推奨度が低いと誤解することもあります。混同注意:特定の運動療法と混同しやすいですが、減量療法は包括的なアプローチです。
- 3. 変形性膝関節症患者における有酸素運動は、全身の健康状態の改善、疼痛の軽減、身体機能の向上に効果があるとされており、高い推奨グレードが与えられています。正しくは:有酸素運動は、関節への負担を考慮しつつ適切に行うことで、症状改善に有効とされています。選びやすい理由:関節への負担を心配し、推奨度が低いと勘違いすることがあります。混同注意:筋力増強運動やストレッチなど、他の運動療法と混同しやすいです。
- 4. 特に大腿四頭筋の筋力低下は変形性膝関節症の病態と密接に関連しており、筋力増強運動は疼痛の軽減や機能改善に最も効果的な介入の一つとして、非常に高い推奨グレードを持っています。正しくは:変形性膝関節症の理学療法において、筋力増強運動は中核的な介入です。選びやすい理由:運動療法全般の推奨度を混同し、その中で個別の推奨度が低いと誤解することもあります。混同注意:ROM運動や柔軟運動と混同しやすいですが、目的と効果が異なります。
- 5. 正解。『理学療法診療ガイドライン第1版』では、ホットパックなどの温熱療法は、一時的な疼痛緩和には寄与するものの、長期的な機能改善や病態進行の抑制に対する明確なエビデンスが不足しているため、推奨グレードは最も低いレベルに設定されています。正しくは:ホットパックは一時的な対症療法として用いられることはありますが、根本的な治療や機能改善効果の科学的根拠は限定的です。選びやすい理由:温めることで一時的に痛みが和らぐ経験から、効果が高いと勘違いしやすいです。混同注意:電気刺激療法やマッサージなど、他の物理療法と混同しやすいですが、ガイドライン上の推奨度はそれぞれ異なります。
国試ポイント
理学療法診療ガイドラインの内容、特に推奨グレードの低い介入について正確に理解しているかを問う問題です。効果が高いと一般的に思われがちな物理療法でも、ガイドライン上はエビデンスが不足しているとされているものがある点を押さえておく必要があります。
混同注意
他の物理療法(例:電気刺激療法、超音波療法)の推奨度と混同しやすいため、それぞれの介入に対するガイドラインの推奨度を個別に理解しておくことが重要です。また、一時的な症状緩和と長期的な機能改善・病態改善の効果を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『診療ガイドライン』というキーワードに注目し、そのガイドラインにおける各介入の推奨グレードを正確に思い出す必要があります。特に、効果が限定的とされる、またはエビデンスが不足している介入に焦点を当てて学習すると良いでしょう。
関連知識
変形性膝関節症の保存療法全般、運動療法の種類と効果、物理療法の適用とエビデンスレベル、エビデンスに基づく医療(EBM)の概念、理学療法診療ガイドラインの構成と目的。